三菱UFJ国際投信のプレスリリース(PDF)によると、機動的に信託報酬を引き下げることによって常に業界最低水準の運用コストをめざすという『eMAXIS Slim』シリーズに、2017年7月31日より新興国株式インデックスファンドが追加されるそうです。
マザーファンドを共有するであろう既存の『eMAXIS 新興国株式インデックス』の実績から、『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』の運用成績をある程度予想することも可能でしょうか。
ライバルである『たわらノーロード 新興国株式』や『iFree 新興国株式インデックス』、『EXE-i 新興国株式ファンド』と成績を比較してみたいと思います。
ファンドの特徴
『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』、『eMAXIS 新興国株式インデックス』、『たわらノーロード 新興国株式』のベンチマークは、「MSCI エマージング・マーケット・インデックス」(円換算)で、同指数はアジア、中南米、中東・アフリカ、欧州の23か国832銘柄で構成されています(2016年11月末現在)。『iFree 新興国株式インデックス』のベンチマークは、ファンダメンタル(株主資本、キャッシュフロー、売上、配当)に着目した「FTSE RAFI エマージング インデックス」(円換算)で、同指数は13か国約350銘柄で構成されています(2017年3月末現在)。
『EXE-i 新興国株式ファンド』の参考指標は「FTSE・ エマージング・インデックス」(円換算)ですが、参考指標に対して一定の運用成果をめざすものではなく、かい離する場合があります。2つのETFを通じて2,670銘柄(重複あり)に投資しています(2017年3月末現在)。
新興国株式インデックスファンド成績比較
2017年7月14日現在 過去の実績は将来の運用成績を保証するものではありません |
『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』の予想成績は、『eMAXIS 新興国株式インデックス』の成績に信託報酬(税込)の差を単純に上乗せした数字です。
実際には信託報酬の引き下げがそのまま騰落率に反映されるとは限りませんし、運用開始直後は信託報酬以外に諸経費がかさみがちとも聞きます。あくまで参考値です。
『iFree 新興国株式インデックス』の運用期間はまだ1年に達していません。投資先を一般的なインデックスファンドより絞りこんでいますが、中国が全体の4分の1を占めるなど偏りがあります(2017年6月末現在)。
上記の期間では運用成績が見劣りしているのは中国株式の不振も理由かと思われます。大手格付け機関から中国の格下げが発表され国有企業の資金調達コストの上昇が懸念されたこと、当局が金融規制を強化したことなどが低迷の原因として指摘されています。
『EXE-i 新興国株式ファンド』はファンド・オブ・ファンズ方式をとっていて、上記の表の信託報酬は投資先の投資信託証券の信託報酬を加味した実質的な負担を示しています。
まとめ
同じ新興国株式インデックスファンドでも、ベンチマークが異なるのでそれぞれに好調な時期、不調な時期があります。インデックスファンドで一般的に採用されているのは「MSCI エマージング・マーケット・インデックス」(円換算)ですが、これまで同指数をベンチマークにする投資信託(ETFを除く)で信託報酬の最安は『たわらノーロード 新興国株式』(年率で税抜0.495%)でした。
『iFree 新興国株式インデックス』(同0.34%)のほうが名目上の信託報酬は低くても、ベンチマークにスマートベータ指数を採用している関係で実質コストが予想外に高い可能性があり、投資をためらう人もいたようです。
『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』(同0.34%)は、一般的な指数を採用しながら運用コストを引き下げているので歓迎する人が多そうです。既存の『eMAXIS 新興国株式インデックス』での実績もありますし、比較的安定した運用を期待できそうでしょうか。
・信託報酬0.19%!『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』をたわらやニッセイと比較 ニッセイが健闘?
こぼれ話
『eMAXIS』や『eMAXIS Slim』は純資産総額が500億円と1,000億円を超えた場合に信託報酬を部分的に引き下げる“受益者還元型”信託報酬率を導入しています。
ただし、資産規模が一番大きく運用開始から8年近く経った『eMAXIS 先進国株式インデックス』でも純資産総額は352.32億円(2017年7月14日現在)にとどまります。
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