新興国株式インデックスファンドの実質コストや運用実績を比較してみました。
比較の対象は『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』、『<購入・換金手数料なし>ニッセイ新興国株式インデックスファンド』、『たわらノーロード 新興国株式』です。
今回、取り上げた投資信託は、すべてつみたてNISA対象商品です。つみたてNISAは少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。
制度の詳細については金融庁のWEBサイトで解説されています。
新興国株式インデックスファンドの特徴
『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』(三菱UFJ国際投信)、『<購入・換金手数料なし>ニッセイ新興国株式インデックスファンド』(ニッセイAM)、『たわらノーロード 新興国株式』(アセマネOne)は、新興国の株式市場を対象にした「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」(配当込み、円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。ベンチマークの指数はアジア、中南米、中東・アフリカ、欧州の26ヵ国の大型株と中型株1,404銘柄で構成されています。
MSCI エマージング・マーケット・インデックス 業種別構成比と国・地域別構成比 2019年12月末現在 |
今回、取り上げたファンドは、原則として為替ヘッジは行いません。信託期間はすべて無期限です。
新興国株式インデックスファンドの実質コスト
少数第3位未満は四捨五入しています |
運用管理費用(信託報酬)以外に売買委託手数料や有価証券取引税、その他費用(保管費用、監査費用等)を含めたものが実質コストになります。上記の数字は最新の信託報酬率を適用した推計による概算値であることに注意してください。
『<購入・換金手数料なし>ニッセイ新興国株式インデックスファンド』は資産規模が小さいためか保管費用がかさんでいます。運用管理費用(信託報酬)は『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』と同水準ですが、実質コストは意外と高めです。
『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』の実質コスト(年率 0.385%)は、第2期(2018年4月26日~2019年4月25日)の運用報告書の1万口当たりの費用明細に現時点の信託報酬率を当てはめています。
信託報酬以外の諸経費 0.177% + 信託報酬 0.208% = 0.385%
『<購入・換金手数料なし>ニッセイ新興国株式インデックスファンド』の実質コスト(年率 0.690%)は、第2期(2018年11月21日~2019年11月20日)の運用報告書の1万口当たりの費用明細に現時点の信託報酬率を当てはめています。
信託報酬以外の諸経費 0.482% + 信託報酬 0.208% = 0.690%(※)
※上記には含めていませんが2019年12月末の月報を見ると組入上位10銘柄に海外ETFが2銘柄入っているので、その報酬も含めると実質コストはもう少し上振れします(+0.024%程度)。
『たわらノーロード 新興国株式』の実質コスト(年率 0.818%)は、第4期(2018年10月13日~2019年10月15日)の運用報告書の1万口当たりの費用明細の信託報酬以外の諸経費を1年相当に改めて、現時点の信託報酬率を当てはめています。
信託報酬以外の諸経費 0.448% × (365日 ÷ 第4期の日数 368日)+ 信託報酬 0.374% = 0.818%
新興国株式インデックスファンドの運用実績
下のチャートは後発の『<購入・換金手数料なし>ニッセイ新興国株式インデックスファンド』設定来2年3ヵ月強の期間(2017年10月13日~2020年1月24日)で基準価額の推移を比べたものです。起点の基準価額を1万円に統一しています。
基準価額の推移 過去の実績は将来の成績を保証するものではありません |
騰落率の比較は下の表の通りです(2020年1月24日現在)。
下落率は2018年1月29日~2019年1月4日の数字、設定来騰落率は2年3ヵ月強の数字です。
2020年1月24日現在 過去の実績は将来の成績を保証するものではありません |
先進国株式インデックスファンドが実質コストも運用実績も僅差なのに比べると、新興国株式インデックスファンドはバラツキが大きめです。
・【インデックス投資】月1万円の積立の成果は? 定番の先進国株式インデックスファンド3種を比較 最新の実質コストや騰落率も確認
純資産総額が伸びてくれば差が縮まる可能性もありますが、現時点で実質コストが高めなファンドをわざわざ選ぶ理由は乏しいでしょうか。
投資環境の整備された先進国に比べ新興国資産はコストがかさみやすいとはいえ、運用管理費用(信託報酬)の見かけより実質コストの上振れが大きいのは困りものですよね。
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