新興国株式インデックスファンドがベンチマークにしている指数(「MSCI エマージング・マーケット・インデックス」)の過去のデータを使って一括投資と積立投資の成績を5年、10年、20年弱で比較してみました。
一般的には、お金をより長く働かせられる一括投資のほうが配当や複利効果の面でも恩恵が大きく合理的だと言われています。
その一方で株価の変動が激しい新興国株式と少しずつ買い付けていく積立投資の相性は悪くないように思えますが……はたして比較の結果は?
新興国株式インデックスファンドの特徴
『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』や『<購入・換金手数料なし>ニッセイ新興株式インデックスファンド』などの新興国株式インデックスファンドは、新興国の株式市場を対象にした「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」(配当込み、円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。2022年10月末現在、ベンチマークの指数はアジア、中南米、中東・アフリカ、欧州の24ヵ国の大型株と中型株1,386銘柄で構成されています。
組入上位5銘柄は台湾セミコンダクター・マニュファクチャリング(台湾)、サムスン電子(韓国)、テンセント・ホールディングス(中国)、アリババ・グループ・ホールディング(中国)、リライアンス・インダストリーズ(インド)です。
「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」は、長期・積立・分散投資をうたうつみたてNISAの対象指数にもなっています。
新興国株式の一括投資と積立投資の成績は?
一括投資は最初から元本をすべて投資します。積立投資は期間中、毎月1万円ずつ投資していきます。約5年(2017年11月末~2022年10月末)の成績は、元本60万円に対し一括投資の評価額は692,359円(収益率 15.4%)、積立投資の評価額は662,556円(収益率 10.4%)でした。
約10年(2012年11月末~2022年10月末)の成績は、元本120万円に対し一括投資の評価額は2,395,771円(収益率 99.6%)、積立投資の評価額は1,573,595円(収益率 31.1%)でした。
世界的な金融危機であるリーマン・ショックをはさんだ20年弱(2003年3月末~2022年10月末)の成績は、元本236万円に対し一括投資の評価額は15,794,741円(収益率 569.3%)、積立投資の評価額は4,689,767円(収益率 98.7%)でした。
上記の試算は、大和アセットマネジメントの「iツール」のドルコスト平均法シミュレーションを利用しています。
過去のデータは将来の運用成績を保証するものではありません。シミュレーションの結果が良好なのは金融緩和の恩恵もあり過信は禁物です。欧米は金融政策の正常化に動き出しています。
新興国株式 まとめ
過去5年、10年、20年弱の比較では一括投資のほうが積立投資より優勢です。ただ、新興国株式は市場の規模が小さいため投資資金の流出入によって値動きが激しくなりがちな傾向にあります。
世界の株式市場で新興国が占める比率は10%前後なのでポートフォリオのスパイスとして投資するなら一括投資もありかもしれませんが、まとまった金額を一度に投資するには胆力も必要でしょうね。
新興国の経済成長への期待値は高くても、突発的なカントリーリスクや地政学リスクが発生する恐れもあります。人口が増加していて経済成長が期待できる国への投資が必ずしも利益の向上に直結するわけではないという点には注意が必要かもしれません。
・ロシア関連の一角は3カ月リターンが9割の急落、世界株式には新興国含むで問題ないか(モーニングスター)
その一方で「新興国でイノベーションが生まれ、先進国がその技術やサービスを逆輸入する」というリバース・イノベーションが新興国の新たな成長の柱として注目されています。
・新興国の新たな成長の柱として期待される「リバース・イノベーション」(日興AM)
資産運用に好不調の波はつきものですから、冷静な判断力を保つには預貯金や個人向け国債などの安全資産(生活防衛資金を含む)を十分に確保することも忘れないようにしたいです。
・株は何割?初心者でもできる「資産配分」計算式:ポートフォリオの作り方(楽天証券トウシル)
新興国株式インデックスファンドのコストと成績、リスク・リターン特性については下の記事を参考にしてください。
・eMAXIS Slim 国内株式・先進国株式・新興国株式の実質コストと運用実績を比較 リスク・リターン特性も評価
おすすめ記事
先進国株式の一括投資と積立投資の比較は下の記事を参考にしてください。・「先進国株式」一括投資と積立投資の成績を5年、10年、20年弱で比較 評価額にどれくらいの差がある?
国内株式の一括投資と積立投資の比較は下の記事を参考にしてください。
・「国内株式」一括投資と積立投資の評価額を5年、10年、20年弱で比較 停滞イメージの強い国内株式は積立投資が有利? それとも…
8資産均等型の一括投資と積立投資の比較は下の記事を参考にしてください。
・「8資産均等型」一括投資と積立投資の評価額を5年、10年、20年弱で比較 積立投資のメリットとデメリットとは?
【楽天ブックス】リバース・イノベーション 新興国の名もない企業が世界市場を支配するとき [ ヴィジャイ・ゴーヴィンダラジャン ]
ブログ村 投資信託
投資信託が話題のブログ
ブログ村 インデックス投資
インデックス投資が話題のブログ
ブログ村 米国株
米国株が話題のブログ
0 件のコメント:
コメントを投稿