国内株式インデックスファンドがベンチマークにしている指数(「TOPIX(東証株価指数)」)の過去のデータを使って一括投資と積立投資の成績を5年、10年、20年弱で比較してみました。
一般的には、お金をより長く働かせられる一括投資のほうが合理的だと言われています。
その一方で、株価が停滞していたイメージの強い国内株式では積立投資も健闘しているのでは、という気もしますが……はたして比較の結果は?
国内株式インデックスファンドの特徴
『eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)』や『<購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンド』などの国内株式インデックスファンドは、東京証券取引所に上場する銘柄を対象にした「TOPIX(東証株価指数)」(配当込み)に連動する投資成果をめざします。2022年10月末現在、ベンチマークの指数には2,166銘柄が組み入れられています。組入上位5銘柄はトヨタ自動車、ソニーグループ、キーエンス、日本電信電話、三菱UFJフィナンシャル・グループです。
「TOPIX(東証株価指数)」は、長期・積立・分散投資をうたうつみたてNISAの対象指数にもなっています。
国内株式の一括投資と積立投資の成績は?
一括投資は最初から元本をすべて投資します。積立投資は期間中、毎月1万円ずつ投資していきます。約5年(2017年11月末~2022年10月末)の成績は、元本60万円に対し一括投資の評価額は727,050円(収益率 21.2%)、積立投資の評価額は711,921円(収益率 18.7%)でした。
約10年(2012年11月末~2022年10月末)の成績は、元本120万円に対し一括投資の評価額は3,689,003円(収益率 207.4%)、積立投資の評価額は1,755,470円(収益率 46.3%)でした。
世界的な金融危機であるリーマン・ショックをはさんだ20年弱(2003年3月末~2022年10月末)の成績は、元本236万円に対し一括投資の評価額は8,400,399円(収益率 255.9%)、積立投資の評価額は4,669,466円(収益率 97.9%)でした。
上記の試算は、大和アセットマネジメントの「iツール」のドルコスト平均法シミュレーションを利用しています。
過去のデータは将来の運用成績を保証するものではありません。シミュレーションの結果が良好なのは金融緩和の恩恵もあり過信は禁物です。
国内株式 まとめ
リーマン・ショックを含む過去20年弱でも金融緩和の追い風もあったからか、国内株式は思いのほか好調な成績でした。単純に評価額だけで判断するなら一括投資のほうが、機会損失の発生する積立投資よりも合理的に思えます。長期の運用では、より長くお金を働かせられる一括投資のほうが配当や複利効果の恩恵が大きいのでしょうね。
とはいえ一括でまとまった金額を投資した直後に株価が急落して、その後も停滞が続くようだと強いストレスを感じて運用を続けるのは難しそうです。積立投資の場合も国内株式にしか投資していない場合、後年の回復をなかなか信じられないかもしれません。
冷静な判断力を保つには分散投資や預貯金等の安全資産(生活防衛資金を含む)の確保も大事ですよね。
・資産「2000万円」づくり 手堅い投信の長期積み立て(NIKKEI STYLE)
少子高齢化の影響を受ける国内株式については悲観的な見方もある一方で、日本に暮らし日本円を使って生活をしている以上、そこそこの比率で持っておくべきだという意見もあります。
・資産運用で「日本株を40%も持っていい」と考える逆説的な2つの理由(ダイヤモンド)
資産の大部分を投資信託や株などのリスク資産に回しているなら、円建ての資産もバランスよく持つというのは納得できます(ダイヤモンドの記事の筆者である山崎元さんは生活防衛資金は3ヵ月分で十分との見解)。
ただ、預貯金等の安全資産や生活防衛資金(1~2年分)をしっかり確保していれば相応に日本円を持っていることになりますから、その場合、国内株式は全世界株式インデックスファンドと同程度の比率(10%弱)でもいいのでは、とも思いますね。
最近の著書の解説では国内株式と外国株式の連動性の高まりもあり、より手間を少なくシンプルに日本を含む全世界株式インデックスファンド1本の運用を提案しています。
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