8資産均等型の一括投資と積立投資の成績を5年、10年、20年弱で比較してみました。
積立投資より一括投資のほうが資産全体の運用期間が長くなるので合理的と言われていますが、実際の評価額にどれくらい差があるものなのか確認してみました。
8資産均等型の特徴
『8資産均等型』は世界の株式、債券、REIT(不動産投資信託証券)に分散投資します。2020年のコロナ・ショックでは、株式だけでなくREITも大きく値下がりしました。
一般的にはミドルリスク・ミドルリターンと言われるものの、REITの値動きの大きさには要注意かもしれませんね
8資産均等型の一括投資と積立投資の成績は?
一括投資は最初から元本をすべて投資します。積立投資は期間中、毎月1万円ずつ投資していきます。約5年(2017年11月末~2022年10月末)の成績は、元本60万円に対して一括投資の評価額は780,451円(収益率 30.1%)、積立投資の評価額は710,262円(収益率 18.4%)でした。
約10年(2012年11月末~2022年10月末)の成績は、元本120万円に対して一括投資の評価額は2,780,799円(収益率 131.7%)、積立投資の評価額は1,662,226円(収益率 38.5%)でした。
世界的な金融危機であるリーマン・ショックをはさんだ20年弱(2003年3月末~2022年10月末)の成績は、元本236万円に対して一括投資の評価額は9,812,827円(収益率 315.8%)、積立投資の評価額は4,788,435円(収益率 102.9%)でした。
上記の試算は、大和AMの「iツール」のドルコスト平均法シミュレーションを利用しています。
過去のデータは将来の運用成績を保証するものではありません。シミュレーションの結果が良好なのは金融緩和の恩恵もあり過信は禁物です。欧米は金融政策の正常化に動き出しています。
まとめ
リーマン・ショックを含む過去20年弱の場合も、金融緩和の追い風があったこともあり8資産均等型は好調な成績でした。単純に評価額だけで判断するなら一括投資のほうが合理的に映ります。より長くお金を働かせられる一括投資のほうが配当や利子も含めた複利効果の面で恩恵が大きいのでしょうね。
積立投資には機会損失になるかもしれないデメリットもありますが、その一方で少額から投資をスタートして少しずつリスク資産の値動きに慣れていけるメリットもあります。
まとまったお金を最初から用意するのは難しいですし、資産運用に不慣れな場合、大きな金額を一括で投資した直後に相場が急落するようなことがあったらストレスに耐えられないかもしれません。
積立投資の場合、購入タイミングが分散されるので(時間分散)、購入単価が平準化されて極端な高値づかみは避けられます。定額の積立なら価格の高いときは口数が少なく価格の安いときは口数が多くなります。
・資産「2000万円」づくり 手堅い投信の長期積み立て(NIKKEI STYLE)
部分的に一括投資と積立投資を組み合わせる方法もありますが、いずれにせよ冷静な判断力を保つには、預貯金等の安全資産や生活防衛資金を十分に確保することも忘れないようにしたいです。
・バランス型と株式だけの投信はどっちがいいの? 米国株だけに集中したほうがいいって話も聞くけど……(金融庁「教えて虫とり先生」)
成功する投資家になるためのバンガードの4つの基本原則より
世界最大級の運用会社バンガードは、債券が依然としてポートフォリオの分散化のための重要な手段であると強調しています。直近は米国の利上げ観測などにより債券価格が下落しているものの、将来的にはインカムゲイン(利子収入)の改善が期待できます。
株式の値動きの激しさに途中で挫折してしまうくらいなら、債券を含むバランスファンドで手堅い運用をめざすのも悪くない選択肢のように思えます。
全世界株式インデックスファンドと8資産均等型ほかバランスファンドの比較は下の記事も参考にしてください。
・『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』4資産および8資産均等型バランスファンドや世界経済インデックスファンドと比較 リターン・リスク水準も評価
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