低ボラティリティ、高配当、ファンダメンタル分析、最小分散、バリュー等、市場平均以上の投資成果をめざすスマートベータ戦略は有効なのか、これらの戦略を採用する新興国株式ファンドの運用成績を従来のインデックスファンドと比べてみました。
比較の対象はインデックスファンドの「たわらノーロード 新興国株式」と、市場平均以上の投資成果をめざす「たわらノーロードplus 新興国株式低ボラティリティ高配当戦略」、「iFree 新興国株式インデックス」、「ひとくふう新興国株式ファンド」です。
ファンドの特徴
「たわらノーロード 新興国株式」は、新興国の株式を対象にしたMSCIエマージング・マーケット・インデックス(円換算)に連動した投資成果をめざすインデックスファンドです。月報によると組入銘柄数は831銘柄です(2017年2月末現在)。「たわらノーロードplus 新興国株式低ボラティリティ高配当戦略」は、インカム水準等に着目した独自の定量モデルを活用してポートフォリオを構築し、投資効率(リスク調整後リターン)の向上をめざすファンドです。ポートフォリオの構築にあたっては、投資魅力度および地域、業種、銘柄分散を考慮します。月報によると組入銘柄数は95銘柄です(2017年2月末現在)。
「iFree 新興国株式インデックス」は、ファンダメンタル(株主資本、キャッシュフロー、売上、配当)に着目した「FTSE RAFI エマージング インデックス」(円換算)に連動した投資成果をめざすファンドです。月報によると組入銘柄数は345銘柄です(2017年3月末現在)。
「ひとくふう新興国株式ファンド」は、新興国株式市場を対象にしたETF(上場投資信託証券)を市場追随、最小分、バリュー、高配当、小型株、モメンタム、マルチファクター、テーマ型といった戦略ごとに分類・抽出し効果的に組み合わせることで、リスク調整後のリターンを高める運用をめざすファンドです。2017年2月末現在、最小分散、小型株、市場追随戦略に適合する3つのETFに投資しています。
ファンドの成績
2017年4月6日の基準価額を起点に計算 |
「iFree 新興国株式インデックス」と「ひとくふう新興国株式ファンド」は、まだ運用期間が1年に達していません。
上記の期間では、「たわらノーロードplus 新興国株式低ボラティリティ高配当戦略」と「ひとくふう新興国株式ファンド」の騰落率は、「たわらノーロード 新興国株式」に及びませんでした。
「iFree 新興国株式インデックス」の騰落率は、「たわらノーロード 新興国株式」に対し、過去6カ月では上回り、過去1ヵ月では逆転されています。
まとめ
様々な投資手法で戦略を立てたり工夫をこらしたファンドでも、市場平均を上回る投資成果を出すのは、なかなか難しいようです。あれこれ悩んであちこちのファンドに手を出すよりも、オーソドックスなインデックスファンドで分散投資を心がけたほうが、うまくいくのかもしれませんね(苦笑)。堅調な新興国株式に投資資金が戻ってきているというニュースもありましたが、直近で好調な資産に資金を振り分けるのは高値づかみにならないか懸念もありますよね。普段から投資先を分散しておいて定期的にリバランスする――基本に忠実に、初心を忘れるべからず、でしょうか。
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