先行きの不透明な日本の現状や新興国のカントリーリスクを考慮すると、投資先を投資環境の整った先進国の株式にしぼりたいというニーズもあるでしょうか。
先進国株式インデックスファンドと全世界株式の運用実績を比較し、リターン・リスク特性も確認してみました。
比較の対象とする全世界株式の組み合わせは「先進国80%:国内(日本)10%:新興国10%」(おおむね時価総額比)と「先進国50%:国内(日本)25%:新興国25%」(先進国の比率が控えめ)です。
先進国株式インデックスファンドほか特徴
『eMAXIS 先進国株式インデックス』(三菱UFJ国際投信)は、日本を除く先進国の株式市場を対象にした「MSCIコクサイ インデックス」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。ベンチマークの指数は北米、欧州、アジア・オセアニア、中東の22ヵ国の大型株と中型株1,328銘柄を組み入れています(2019年10月末現在)。
MSCIコクサイ・インデックス 業種別構成比 2019年10月末現在 |
『eMAXIS TOPIXインデックス』(三菱UFJ国際投信)は、東京証券取引所第一部に上場されている全銘柄を対象にした「TOPIX(東証株価指数)」に連動する投資成果をめざします。
ベンチマークの指数は2,152銘柄を組み入れています(2019年10月末現在)。
TOPIX(東証株価指数) 業種別構成比 2019年10月末現在 |
『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』(三菱UFJ国際投信)は、新興国の株式市場を対象にした「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。
ベンチマークの指数はアジア、中南米、中東・アフリカ、欧州の26ヵ国の大型株と中型株1,202銘柄を組み入れています(2019年10月末現在)。
MSCIエマージング・マーケット・インデックス 業種別構成比と国・地域別構成比 2019年10月末現在 |
今回、取り上げた投資信託は為替変動リスクを回避するための為替ヘッジを原則として行いません。信託期間は、すべて無期限です。
先進国株式と全世界株式の成績比較
下のチャートは過去10年間の基準価額の推移(2009年10月末~2019年10月末)です。比較しやすいよう起点の基準価額を1万円に統一しています。
基準価額の推移(月末ベース) 過去の実績は将来の成績を保証するものではありません |
2019年10月31日時点の騰落率の比較(月末ベース)は下の表の通りです。
2019年10月31日現在(騰落率は月末ベース) 過去の実績は将来の成績を保証するものではありません |
直近の株式市場は米国の一人勝ちに近い状況になっています(先進国株式の7割近くが米国株式)。
上記の期間では先進国株式インデックスが国内株式(TOPIX)インデックスファンドや新興国株式インデックスファンドを上回る成績です。
そのため先進国株式のほうが全世界株式より優勢です。
先進国株式と全世界株式のリターン・リスク特性
下の表は先進国株式と全世界株式のリターン(投資収益率)とリスク(投資収益率のぶれ)を過去5年とリーマン・ショックを含む期間(過去16年7ヵ月)で比較したものです。過去のデータは将来の成績を保証するものではありません 野村AM「投信アシスト」より |
上記の期間の比較では先進国に集中して投資するより、全世界株式で分散の度合いを高めたほうがリスク(投資収益率のぶれ)は幾分低減する傾向にあるようです。
ちなみにモンテカルロ法を使った将来シミュレーション(野村AM「投信アシスト」より)では、100万円を一括投資した場合の20年後の評価額の最頻値は先進国株式(リターン9.1%:リスク18.7%)の場合で約354万円、全世界株式1(リターン8.9%:リスク18.4%)の場合で約345万円、全世界株式2(リターン8.6%:リスク18.2%)の場合で約328万円となっています。
年間リターンは下の図表の通りです。
○は年間リターンの平均値 過去のデータは将来の成績を保証するものではありません 野村AM「投信アシスト」より |
2003年3月31日から2019年10月31日までの任意の連続1年間で騰落率のうち最大の騰落率を「最大上昇時」、同じく最小の騰落率を「最大下落時」としています。○は年間リターンの平均値です。
売買手数料、税金等の費用は考慮していません。あくまで過去の指数データを使ったシミュレーションであり、将来の運用成績を保証するものではありません。
まとめ
国内株式は少子高齢化の影響が心配され、新興国株式もカントリーリスクが気になるし、いっそ先進国株式のみでもいいのでは? という疑問もあるでしょうか。過去の実績に照らし合わせた場合には、やはり定石通り幅広く分散しておいたほうが多少なりともリスク(投資収益率のぶれ)を小さくすることができるようです。
もちろん、過去のデータは将来の運用成績を保証するものではないので、国際分散投資がどんな時でも正解とは限らないでしょうね。
とはいえ長期での不確実性を重視するのであれば、投資先を特定の地域に偏らせるのは避け、高いリターンよりホドホドの結果に落ち着くことを期待するのも一案でしょうか。現在は好調な米国株式も割高感を指摘する声が根強いですし。
安定した運用を望むのであれば預貯金等の安全資産を厚めに持つ、あるいは債券を含むバランスファンドという選択肢もあります。
・【インデックス投資】全世界株式に国内債券を組み合わせてリスクを低減 全世界株式70~30%:国内債券30~70%で実績を比較・評価
・【インデックス投資】8資産均等型バランスと全世界株式の運用実績やリターン・リスク水準を比較・評価
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