下手の考え休むに似たり? |
※ 記事の最後に2017年7月20日現在のデータを追記しました。
相場が軟調の今、リスクに対する収益の最大化を狙ったという「たわらノーロードplus 先進国株式低ボラティリティ高配当戦略」や低リスク高リターンをうたった「ひとくふう先進国株式ファンド」が通常のインデックスファンドより本当に好成績なのか確認してみました。
比較の対象は「たわらノーロード 先進国株式」と「たわらノーロード 先進国株式<為替ヘッジあり>」です。
ファンドの特徴
「たわらノーロードplus 先進国株式低ボラティリティ高配当戦略」は、日本をのぞく先進国の株式が対象で、インカム水準等に着目した独自の定量モデルを活用して投資効率(リスク調整後リターン)の向上をめざすそうです。2017年2月末現在の組入銘柄数は149銘柄です。「ひとくふう先進国株式ファンド」は、日本をのぞく先進国の株式が対象で、株価が割安で上昇傾向にある銘柄に投資し、リスク調整後のリターンを高める運用をめざすそうです。2017年2月末現在の組入銘柄数は107銘柄です。
「たわらノーロード 先進国株式」と「たわらノーロード 先進国株式<為替ヘッジあり>」は、日本をのぞく先進国の株式を対象にしたMSCIコクサイ・インデックスに連動する投資成果をめざすインデックスファンドです。後者は為替リスクを軽減するため為替ヘッジを行います。2017年2月末現在の組入銘柄数は1,313銘柄です。
各ファンドの業種別構成比の上位は下の表のとおりです。
2017年2月末の月報より |
ファンドの成績比較
2017年4月4日の基準価額を起点に計算 |
「たわらノーロードplus 先進国株式低ボラティリティ高配当戦略」の成績は、「たわらノーロード 先進国株式」に対し、年初来では負け、過去1カ月では勝ち、過去1週間では負けとなっています。
「ひとくふう先進国株式ファンド」は、どの期間でも「たわらノーロード 先進国株式」に劣後しています。最近の円高傾向もあってか、為替リスクを軽減した「たわらノーロード 先進国株式<為替ヘッジあり>」が最も優秀な成績でした。
まとめ
残念ながら上記の期間ではスマートベータ戦略に準じた運用のファンドの成績は、インデックスファンドよりも優秀であるとは言いにくいようです。下手に戦略を練ったり工夫をこらしたりするぐらいなら、為替ヘッジをかけておいたほうがマシという結果でした。もちろん相場が軟調な時にいつでも為替ヘッジが万能とは限らないでしょうね。とはいえ為替ヘッジの有無にかかわらず、市場平均に連動する幅広く分散された先進国株式インデックスファンドに勝つのは容易なことではないようです。
こぼれ話
もう少し長期で見た場合の騰落率は下記の通りです。「ひとくふう先進国株式ファンド」と「たわらノーロード 先進国株式<為替ヘッジあり>」は、まだ運用期間が1年に達していません
2017年4月7日の基準価額を起点に計算 |
追記
下の表は2017年7月20日現在のデータです。過去1年の騰落率で「たわらノーロードplus 先進国株式低ボラティリティ高配当戦略」は、「たわらノーロード 先進国株式」に対し11.14%の大差をつけられています。
2017年7月20日現在 過去の実績は将来の運用成績を保証するものではありません |
運用報告書を見ると「たわらノーロードplus 先進国株式低ボラティリティ高配当戦略」は「たわらノーロード 先進国株式」に比べ売買委託手数料や有価証券取引税がやや高めで、また資産規模が小さいからかその他費用(保管費用など)がかさんでいるようです。
2017年6月末の月報によると各ファンドの業種別構成比の上位は下の表のとおりです。
多くの銘柄に投資している「たわらノーロード 先進国株式」は順位の変動はありませんでしたが、銘柄を厳選している「たわらノーロードplus 先進国株式低ボラティリティ高配当戦略」と「ひとくふう先進国株式ファンド」は順位の入れ替わりが見られます。
銘柄数は2017年2月末と2017年6月末を比較すると、「たわらノーロード 先進国株式」は1,313銘柄→1,318銘柄と5銘柄増、「たわらノーロードplus 先進国株式低ボラティリティ高配当戦略」は149銘柄→104銘柄と3割くらい減っています。「ひとくふう先進国株式ファンド」は107銘柄→110銘柄と3銘柄増でした。
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