『eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)』の実質コストや運用実績を競合と比較してみました。
比較の対象は『<購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンド』と『ひふみプラス』です。
今回、取り上げた投資信託は、つみたてNISA対象商品です。つみたてNISAは少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度(金融庁)です。
国内株式インデックスファンドとひふみプラスの特徴
『eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)』(三菱UFJ国際投信)と『<購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンド』(ニッセイアセットマネジメント)は、東証一部上場の全銘柄を対象にした「TOPIX(東証株価指数)(配当込み)」に連動する投資成果をめざします。運用管理費用(年率)は税込0.154%(税抜0.14%)以内です。
『ひふみプラス』(レオス・キャピタルワークス)は、長期的な将来価値に対して市場価値が割安と考えられる成長企業に投資します。直販のひふみ投信と同じマザーファンドを通じて運用されています。
国内だけでなく海外の企業にも投資先を広げています。外貨建資産は原則として為替ヘッジは行いません。
・国内最大級のアクティブファンド「ひふみ投信」、海外株投資で飛躍するレオス・キャピタルワークス(モーニングスター)
運用管理費用(年率)は純資産総額500億円までは税込1.078%(税抜0.98%)、500億円を超える部分は税込0.968%(税抜0.88%)、1,000億円を超える部分は税込0.858%(税抜0.78%)です。
今回、取り上げた投資信託の信託期間は無期限です。
国内株式インデックスファンドとひふみプラスの実質コスト
上記は運用報告書の1万口当たりの費用明細の抜粋を1年(365日)相当にそろえ最新の信託報酬率を当てはめたもので推計による概算値です。
低コスト化の進むインデックスファンドに比べると、アクティブ運用の『ひふみプラス』のコストはやはり高めですね。
『eMAXIS Slim 国内株式(TOPIX)』の実質コスト(年率 0.159%)は、第4期(2020年4月28日~2021年4月26日)の運用報告書(PDF)の1万口当たりの費用明細を1年(365日)相当に改めて、現時点の信託報酬率を当てはめています。
『<購入・換金手数料なし>ニッセイTOPIXインデックスファンド』の実質コスト(年率 0.157%)は、第6期(2020年2月21日~2021年2月22日)の運用報告書(PDF)の1万口当たりの費用明細を1年相当に改めています。諸経費を足し合わせず費用明細の合計だけを1年相当に改めた場合の実質コストは0.155%です。
『ひふみプラス』の実質コスト(年率 1.005%)は、第10期(2020年10月1日~2021年9月30日)の運用報告書(PDF)の1万口当たりの費用明細に現時点の信託報酬率を当てはめています(※)。
※純資産総額に応じた信託報酬の逓減については2021年12月16日現在の4,804.74億円で計算。ちなみに運用報告書の1万口当たりの費用明細は簡便法による概算のため信託報酬の低減は反映されていないとのこと。
・ひふみプラス 運用報告書に純資産総額に応じた信託報酬の逓減が反映されていない件について問い合わせてみました
国内株式(TOPIX)とひふみプラスの実績(チャートと騰落率)
下のチャートはで過去4年の基準価額の推移(2017年12月18日~2021年12月16日)を比べたものです。比較しやすいよう起点の基準価額を1万円に統一しています。国内株式インデックスファンドは、ほぼ重なっています。
騰落率の比較は下の表の通りです(2021年12月16日現在)。
コロナショック時の下落率は2020年1月20日(ひふみプラスは同14日)~同年3月16日の数字です。
国内株式インデックスファンド同士は僅差にとどまっています。
過去4年の騰落率では、アクティブ運用の『ひふみプラス』がインデックスファンドを上回っています。『ひふみプラス』はコロナショックでは現金比率を高め、確保した資金でその後、巣ごもりやデジタルトランスフォーメーション(DX)関連株を買ったことが奏効したようです。
・ウィズ・コロナ時代の投資戦略 藤野英人氏に聞く(日本経済新聞)
・レオスの「ひふみ」、高い運用効率の秘訣は?(日本経済新聞)
もっとも最近は国内株式インデックスファンドが巻き返していますし、相場の低迷していた2018年には『ひふみプラス』はインデックスファンド以上に値下がりしたこともありましたから過剰な期待は禁物かもしれないですね。
・アクティブファンドも軟調な相場には逆らえない?『ひふみプラス』や『SBI中小型割安成長株ファンド ジェイリバイブ』を国内株式インデックスファンドと比較
投資家の実際の儲けは?
・アクティブVSパッシブ、投資家の“実際の儲け”は?(モーニングスター)アクティブファンドの場合、投資家の実際の儲けであるインベスターリターンが、ファンドを継続保有した場合のトータルリターンに見劣りしがちというデータがあります。
積立投資に利用されることの多いパッシブ(インデックス)ファンドに比べ、アクティブファンドは相場のタイミングを見て投資しようとする人が少なくないことも原因の一つのようです。
マーケットには好不調の波がつきものですから、人気化したファンドを高値づかみして、その後の下落ですぐ売ってしまったり、基準価額が戻ってきたところでやれやれの売りをしていては、なかなか思うようなリターンを獲得できないのも無理はないのかもしれないですね。
逆にいえば、つみたてNISAのように長期の積立投資を前提とするなら、マーケットが荒れ模様のときでも回復と成長を強く信じられるファンドを選ぶべきなのでしょうね。
モーニングスターの記事によれば確定拠出年金専用ファンドではインベスターリターンのアクティブ・パッシブの差は大きく出ておらず、積立投資が投資家の実際の儲けを向上させる一助になっていることがうかがえます。
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