「楽天・バンガード」シリーズと「イーマクシス・スリム」シリーズの全世界および米国株式インデックスファンドの特徴、実質コスト、運用実績を比較してみました。
比較の対象は『楽天・全米株式インデックス・ファンド(愛称:楽天・バンガード・ファンド(全米株式))』と『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』、『楽天・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:楽天・バンガード・ファンド(全世界株式))』と『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』です。
すべて、つみたてNISA対象商品です。
米国株式/全世界株式インデックスファンドの特徴は?
『楽天・全米株式インデックス・ファンド』(楽天投信投資顧問)は、米国株式市場の投資可能な銘柄のほぼ100%をカバーした「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。運用管理費用(年率)は税込0.162%程度です。
ベンチマークの指数は米国の大型株・中型株・小型株3,541銘柄を組み入れています(2019年10月末現在)。
CRSP USトータル・マーケット・インデックス 業種別構成比 2019年10月末現在 |
『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』(三菱UFJ国際投信)は、米国株式市場の時価総額のおよそ8割を占める大型株約500銘柄を対象とした「S&P500指数」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。
運用管理費用(年率)は税込0.0968%以内です。
S&P500指数 業種別構成比 2019年11月末現在 |
『楽天・全世界株式インデックス・ファンド』(楽天投信投資顧問)は、日本を含む世界の株式市場を対象にした「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。
運用管理費用(年率)は税込0.222%程度です。
ベンチマークの指数は日本を含む先進国と新興国を合わせた49ヵ国の大型株・中型株・小型株8,925銘柄を組み入れています(2019年11月末現在)。全世界の投資可能な市場時価総額の98%以上をカバーしています。
FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス 業種別構成比と国・地域別構成比 2019年11月末現在 |
『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』(三菱UFJ国際投信)は、日本を含む世界の株式市場を対象にした「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。
運用管理費用(年率)は税込0.1144%以内です。
ベンチマークの指数は、日本を含む先進国と新興国合せて49ヵ国の大型株と中型株3,060銘柄で構成されています(2019年11月末現在)。全世界の投資可能な市場時価総額のおよそ85%をカバーしています。
MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス 業種別構成比と国・地域別構成比 2019年11月末現在 |
今回、取り上げた投資信託は、原則として為替リスクを回避するための為替ヘッジを行いません。信託期間は、すべて無期限です。
米国株式/全世界株式インデックスファンドの実質コストは?
少数第3位未満は四捨五入しています |
運用管理費用(信託報酬)以外に売買委託手数料や有価証券取引税、その他費用(保管費用、監査費用等)を含めたものが実質コストになります。上記の数字は推計による概算値であることに注意してください。
『楽天・全米株式インデックス・ファンド』の実質コスト(年率 0.225%)は、第2期(2018年7月18日~2019年7月16日)の運用報告書の1万口当たりの費用明細の信託報酬以外の諸経費を1年相当に改めて、現時点での投資信託の信託報酬と実質的な投資対象である投資信託証券の報酬(VTI 経費率0.03%)を加えています。
信託報酬以外の諸経費 0.063% ×(365日 ÷ 第2期の日数 364日)+ 投資信託の信託報酬 0.132% + VTIの経費 0.03% = 0.225%
『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』の実質コスト(年率 0.177%)は、第1期(2018年7月3日~2019年4月25日)の運用報告書の1万口当たりの費用明細の信託報酬以外の諸経費を1年(365日)相当に改めて、2019年11月12日引き下げ後の信託報酬率を当てはめています。
信託報酬以外の諸経費 0.065% × (365日 ÷ 第1期の日数 297日)+ 信託報酬 0.097% = 0.177%
『楽天・全世界株式インデックス・ファンド』の実質コスト(年率 0.301%)は、第2期(2018年7月18日~2019年7月16日)の運用報告書の1万口当たりの費用明細の信託報酬以外の諸経費を1年(365日)相当に改めて、現時点の信託報酬率と実質的な投資対象である外国投資信託証券の報酬(VT 経費率0.09%)を加えています。
信託報酬以外の諸経費 0.079% × (365日 ÷ 第2期の日数 364日)+ 信託報酬 0.132% + VTの経費 0.09% = 0.301%
『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』の実質コスト(年率 0.211%)は、第1期(2018年10月31日~2019年4月25日)の運用報告書の1万口当たりの費用明細の信託報酬以外の諸経費を1年相当に改めて、現時点の信託報酬率を当てはめています。
信託報酬以外の諸経費 0.047% × (365日 ÷ 第1期の日数 177日)+ 信託報酬 0.114% = 0.211%
米国株式/全世界株式インデックスファンドの運用実績は?
下のチャートは最後発の『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』設定来の期間(2018年10月31日~2019年12月5日)で基準価額の推移を比べたものです。比較しやすいよう起点の基準価額を1万円に統一しています。
2018年3月28日現在 過去の実績は将来の運用成績を保証するものではありません |
購入時手数料は上限の数字で販売会社によって異なり、ネット証券など無料の場合もあります。「つみたてNISA」では、ETFを除き、投資信託はノーロード(購入時手数料なし)です。
貿易摩擦に対する警戒感から直近の株式市場は下落しています。
『楽天・全世界株式インデックス・ファンド』と『楽天・全米株式インデックス・ファンド』は、設定当初はベンチマークにしている指数からのかい離が目立っていましたが、最近は落ち着いてきたようです。
・『楽天・全世界株式』『楽天・全米株式』ベンチマークからのかい離が大きめ?ライバルとの差は縮小中
過去6ヵ月(2017年9月29日~2018年3月28日)の騰落率では競合する投資信託に見劣りしているものの、過去3ヵ月(2017年12月29日~2018年3月28日)の騰落率ではライバルとおおむねそん色のない成績になっています。
『楽天・全世界株式インデックス・ファンド』、『楽天・全米株式インデックス・ファンド』ともに、純資産総額の伸びはライバルより勢いがありますね。
まとめ
『楽天・全世界株式インデックス・ファンド』と『楽天・全米株式インデックス・ファンド』は株式を対象にした投資信託ですが、直近の株式市場は荒れ模様で先行きが不透明だと不安にかられますよね。下のチャートは、こういう時によく引用されるNYダウ(ダウ・ジョーンズ工業株価平均)の株価の変遷を示したものです。
NYダウ(ダウ・ジョーンズ工業株価平均)の株価チャート |
つみたてNISAのように長期投資を前提にするなら、山や谷はあっても右肩上がりのチャートは心強いですよね。
もちろん慎重に対処するなら、一部換金して様子を見るという方法もあります。ただし、タイミングよく売買するのはとても難しくて、怖くなって安値で売ったものを高くなってから買い戻すことになりがちかもしれないですね。
下の図表は金融庁の「つみたてNISA早わかりガイドブック」の4ページから、定額の積立投資について引用したものです。
出典:金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック」 4ページより http://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/assets/pdf/tsumitate_guidebook.pdf |
タイミングを読まない積立投資は一括投資に比べ機会損失になる欠点もありますが、少額から始められリスク資産の値動きに少しずつ慣れていけるメリットもあります。
相場が低迷して投資信託の基準価額が安い時は、その分、口数を多く買えるチャンスでもあります。
無理のない範囲でコツコツと積み立てを継続していきたいです。
・ラテマネー 朝やお昼の100円コーヒーのかわりに投資信託を10年積み立てたら、いくらになる?
・積立投資は赤字のほうがうまくいく?波乱の相場で赤字続きだった2016年NISAの積立投資を振り返る
追記
2018年5月11日現在の成績表は下の通りです。
2018年5月11日現在 過去の実績は将来の運用成績を保証するものではありません |
過去6ヵ月の騰落率では、僅差ですが、『楽天・全世界株式インデックス・ファンド』はライバルを下回り、『楽天・全米株式インデックス・ファンド』は競合ファンドを上回っています。
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