純資産総額が600億円を超えるなど人気ファンドの『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』の運用実績を競合と比較してみました。
比較の対象は『楽天・全米株式インデックス・ファンド』(愛称:楽天・バンガード・ファンド(全米株式))、『楽天・米国レバレッジバランス・ファンド』(愛称:USA360)、『iFreeNEXT NASDAQ100インデックス』です。
米国株式インデックスファンドなどの特徴
『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』(三菱UFJ国際投信)は、米国株式市場の時価総額のおよそ8割を占める大型株約500銘柄を対象とした「S&P500指数」(円換算ベース・為替ヘッジなし)に連動する投資成果をめざします。投資信託を保有中の運用管理費用(年率)は税込0.0968%以内です。
2020年1月末月報より |
『楽天・全米株式インデックス・ファンド』(楽天投信投資顧問)は、米国株式市場の投資可能な銘柄のほぼ100%をカバーした「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」(円換算ベース・為替ヘッジなし)に連動する投資成果をめざします。
「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF」(VTI)を通じて、米国の大型株、中型株、小型株、合わせて3,550銘柄に投資しています(2019年12月末現在)。
投資信託を保有中の運用管理費用(年率)は税込0.162%程度(投資信託の費用 税込0.132% + VTIの経費 0.030%程度)です。諸経費も含めた実質コストについては下の記事を参考にしてください。
・楽天・バンガードvs.イーマクシス・スリム 米国株式/全世界株式インデックスファンドの特徴、実質コスト、運用実績を比較・評価
2019年12月末現在(2020年1月末月報より) |
『楽天・米国レバレッジバランス・ファンド』(楽天投信投資顧問)は株式と債券への投資比率を1:3として、実質的にファンドの純資産総額の360%(3.6倍)相当額を米国の株式と債券に分散投資します。
運用管理費用(年率)は税込0.4945%程度です。
株式部分は、『楽天・全米株式インデックス・ファンド』と同じく、大型株から小型株まで幅広くカバーした「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF(VTI)」を採用しています。
基本投資割合 株1:債券3 純資産総額合計360% |
『iFreeNEXT NASDAQ100インデックス』(大和投資信託)は、「NASDAQ100指数」(円換算ベース・為替ヘッジなし)に連動する投資成果をめざします。
NASDAQ(ナスダック)は米国にある世界最大の新興企業向けの株式市場です。米国以外の企業を含みハイテク(IT)関連銘柄の比率が高いのが特徴です。「NASDAQ100指数」は時価総額上位100銘柄(金融銘柄を除く)で構成されています。
実質的な投資先である「INVESCO QQQ TRUST SERIES 1(QQQ)」は103銘柄を組み入れています(2020年1月31日現在)。
運用管理費用(年率)は税込0.495%(QQQの経費も加えると税込0.695%程度)です。
2020年1月31日現在 |
今回、取り上げる投資信託の信託期間は、すべて無期限です。
米国株式インデックスファンドなどの運用実績
基準価額の推移(チャート)
下のチャートは、後発の『iFreeNEXT NASDAQ100インデックス』設定来1年6ヵ月弱の期間(2018年8月31日~2020年2月20日)で基準価額の推移を比べたものです。比較しやすいよう起点の基準価額を1万円に統一しています。
運用期間の短い『楽天・米国レバレッジバランス・ファンド』(2019年11月5日)は除外しています。
基準価額の推移 2018年8月31日~2020年2月20日 過去の実績は将来を保証するものではありません |
下のチャートは、最後発の『楽天・米国レバレッジバランス・ファンド』も含めた過去3ヵ月間(2019年11月21日~2020年2月20日)の基準価額の推移を比べたものです。
比較しやすいよう起点の基準価額を1万円に統一しています。
『楽天・全米株式インデックス・ファンド』は『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』の陰に隠れています。
基準価額の推移 2019年11月21日~2020年2月20日 過去の実績は将来を保証するものではありません |
基準価額の騰落率
騰落率の比較は下の表の通りです(2020年2月20日現在)。調整局面の下落率は2018年10月4日~同年12月25日の数字、設定来騰落率は1年6ヵ月弱の数字です。
2020年2月20日現在 過去の実績は将来を保証するものではありません |
米国株式インデックスファンドほか まとめ
米国を対象にした投資信託も選択肢が増えてきたのは嬉しいですね。定番は『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』などの「S&P500指数」連動型だと思いますが、中小型株も幅広くカバーしたいなら『楽天・全米株式インデックス・ファンド』が魅力的ですよね。
運用効率の高さなら『楽天・米国レバレッジバランス・ファンド』も興味深い選択肢かもしれませんね。
出典:販売用資料(2020年1月)6Pより引用 |
ただ、レバレッジバランスファンドはまだ登場して日が浅いので、金利の急騰や株式と債券が同時に下落するような極端な弱気相場に耐えられるのかなど未知数の部分もあります。
オーソドックスな運用に徹するのであれば、債券インデックスファンドをポートフォリオに加えるのがやはり手堅いでしょうね。
・『楽天・全米株式インデックス・ファンド』『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』『楽天・全世界債券インデックス(為替ヘッジ)ファンド』特徴と運用実績を比較・評価
・【インデックス投資】米国株式に国内債券を組み合わせて値動きをマイルドに 米国株式70~30%:国内債券30~70%で実績を比較・評価
世界最大級の運用会社バンガードは、ポートフォリオ分散化のための手段として債券の重要性を改めて強調しています。
・2020年の経済および市場見通し:新たな不透明性の時代(バンガード)
成長期待の高いハイテク株をポートフォリオのスパイスとしてトッピングしたいのであれば、『iFreeNEXT NASDAQ100インデックス』が面白い選択肢になるでしょうか。
運用管理費用が税込0.44%と若干低廉な『NZAM・ベータ NASDAQ100』(農林中金全共連アセットマネジメント)が2020年3月12日に設定されるそうです。
・「NZAM・ベータ」シリーズ4本3月に設定、NYダウ連動などコスト最安(モーニングスター)
直近の株式市場は反発していますが、新型肺炎の世界経済への影響が明らかになるにつれて揺り戻しもありそうですよね。
リスク資産が過多になっていないか、ポートフォリオの再点検も必要かもしれませんね。
・企業活動への影響は? 新型肺炎(日本経済新聞)
・新型コロナウイルスの感染拡大でも米国株が最高値を更新したワケ(ピクテ投信投資顧問)
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