新興国株式インデックスファンドの定番『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』を、ファンダメンタルに着目したスマートベータ指数採用の『iFree 新興国株式インデックス』と比較してみました。
どちらも、つみたてNISA対象商品です。つみたてNISAは少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。詳細については金融庁のWEBサイトで解説されています。
eMAXIS Slim/iFree 新興国株式インデックスファンドの特徴
『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』(三菱UFJ国際投信)は、新興国の株式市場を対象にした「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。投資信託を保有中の運用管理費用(信託報酬)は年率で税抜0.1890%(税込0.2079%)以内です。
ベンチマークの指数は26ヵ国1,404銘柄で構成されています(2019年12月末現在)。
MSCI エマージング・マーケット・インデックス 業種別構成比と国・地域別構成比 2019年12月末現在 |
『iFree 新興国株式インデックス』(大和投資信託)は、ファンダメンタル(株主資本、キャッシュフロー、売上、配当)に着目した「FTSE RAFI エマージング インデックス」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。
投資信託を保有中の運用管理費用(信託報酬)は年率で税抜0.3400%(税込0.3740%)です。
ベンチマークの指数は12ヵ国359銘柄で構成されています(2019年12月末現在)。
FTSE RAFI エマージング インデックス 2019年12月末現在 |
今回、取り上げた投資信託は、為替変動リスクを回避するための為替ヘッジは原則として行いません。信託期間は無期限です。
eMAXIS Slim/iFree 新興国株式インデックスファンドの実質コスト
少数第3位未満は四捨五入しています |
運用管理費用(信託報酬)以外に売買委託手数料や有価証券取引税、その他費用(保管費用、監査費用等)を含めたものが実質コストになります。
上記の数字は最新の信託報酬率を適用した推計による概算値であることに注意してください。
『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』の実質コスト(年率 0.385%)は、第2期(2018年4月26日~2019年4月25日)の運用報告書の1万口当たりの費用明細に現時点の信託報酬率を当てはめています。
信託報酬以外の諸経費 0.177% + 信託報酬 0.208% = 0.385%
『iFree 新興国株式インデックス』の実質コスト(年率 0.694%)は、第3期(2018年7月6日~2019年7月5日)の運用報告書の1万口当たりの費用明細に現時点の信託報酬率を当てはめています。
信託報酬以外の諸経費 0.320% + 信託報酬 0.374% = 0.694%
eMAXIS Slim/iFree 新興国株式インデックスファンドの運用実績
下のチャートは、『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』設定来およそ2年5ヵ月半の基準価額の推移(2017年7月31日~2020年1月14日)を比べたものです。比較しやすいよう起点の基準価額を1万円に統一しています。
基準価額の推移 2017年7月31日~2020年1月14日 過去の実績は将来の成績を保証するものではありません |
騰落率の比較は下の表の通りです(2020年1月14日)。
下落率は2018年1月29日~2019年1月4日の数字、設定来騰落率は約2年5ヵ月半の数字です。
2020年1月14日現在 過去の実績は将来の成績を保証するものではありません |
上記の期間では、ファンダメンタルズ重視の『iFree 新興国株式インデックス』は『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』よりも落ち込みが控えめです。
もう少し長期の場合の運用実績が気になるところですよね。
同じ指数に連動する運用期間の長い姉妹ファンドの基準価額の推移(2010年7月6日~2020年1月14日)を確認してみます。
基準価額の推移 2010年7月6日~2020年1月14日 過去の実績は将来の成績を保証するものではありません |
過去9年6ヵ月強の期間では『eMAXIS 新興国株式インデックス』のほうが『DCダイワ新興国株式ファンダメンタル・インデックスファンド』よりも優勢のようです。
運用管理費用(年率)は前者が税抜0.60%、後者が税抜0.72%です。
eMAXIS Slim/iFree 新興国株式インデックスファンドの積立投資の成績
毎月1日を積立の設定日にしています(約定日は翌営業日)。1日が休日の場合は後ずれします。過去の実績は将来の成績を保証するものではありません |
2018年1月から2年間の積立投資(毎月1万円)の通算成績は、2019年12月30日現在、24万円の投資額に対して『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』の評価額が256,878円(+7.03%)、『iFree 新興国株式インデックス』の評価額が257,589円(+7.33%)でした。
新興国株式(MSCI エマージング)の一括投資と積立投資の比較は下の記事を参考にしてください。
・「新興国株式」一括投資と積立投資の成績を5年、10年、15年で比較 値動きの激しい新興国株式は積立投資向き? それとも…
eMAXIS Slim/iFree 新興国株式インデックスファンド まとめ
『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』設定来の騰落率の比較では、ファンダメンタルに着目した指数を採用する『iFree 新興国株式インデックス』のほうが弱気相場での下落率が控えで優勢でした。ただし、同じく「FTSE RAFI エマージング インデックス」をベンチマークにする『DCダイワ新興国株式ファンダメンタル・インデックスファンド』の運用実績を参考にすると、ファンダメンタル重視のスマートベータ指数に対し過剰な期待は禁物のようにも思えます。コストも高めです。
新興国株式の値動きの激しさが気になるなら投資比率を抑えるか、あるいは新興国株式を含む全世界株式インデックスファンドやバランスファンドを利用するというのも一案でしょうか。
・世界銀行の2020年経済見通しとインデックス投資家の一人(卵?)として悩んでいること
・新興国経済および株式市場、2020年の展望(ピクテ投信投資顧問)
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