新興国株式インデックスファンドの定番『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』の積立投資の成績を、低コストな『SBI・新興国株式インデックス・ファンド』と比較してみました。
両者の特徴や実質コスト、騰落率も比べています。
どちらも、つみたてNISA対象商品です。つみたてNISAは少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。詳細は金融庁のWEBサイトで解説されています。
新興国株式インデックスファンドの特徴
『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』(三菱UFJ国際投信)は、新興国の株式市場を対象にした「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。投資信託を保有中の運用管理費用(信託報酬)は年率で税込0.2079%以内です。
ベンチマークの指数は26ヵ国1,404銘柄で構成されています(2019年12月末現在)。
MSCI エマージング・マーケット・インデックス 業種別構成比と国・地域別構成比 2019年12月末現在 |
『SBI・新興国株式インデックス・ファンド』(SBIアセットマネジメント)のベンチマークは「FTSE エマージング・インデックス」(円換算ベース)です。
運用管理費用(信託報酬)は年率で税込0.196%程度(税込0.066% + 0.130%程度)です。
ベンチマークの指数は24ヵ国1,764銘柄で構成されています(2019年12月末現在)。
一般的な新興国株式インデックスファンドに採用されているMSCIのエマージング指数と違い、FTSEでは韓国とポーランドは新興国ではなく先進国に区分されています。
「MSCIコクサイ インデックス」に連動する一般的な先進国株式インデックスファンドと組み合わせた場合、これらの国が投資対象から外れてしまう点に注意が必要でしょうか。
FTSE エマージング・インデックス 2019年12月末現在 |
今回、取り上げた投資信託は、為替変動リスクを回避するための為替ヘッジは原則として行いません。信託期間は無期限です。
新興国株式インデックスファンドの実質コスト
少数第3位未満は四捨五入しています |
運用管理費用(信託報酬)以外に売買委託手数料や有価証券取引税、その他費用(保管費用、監査費用等)を含めたものが実質コストになります。
上記の数字は最新の信託報酬率を適用した推計による概算値であることに注意してください。
『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』の実質コスト(年率 0.385%)は、第2期(2018年4月26日~2019年4月25日)の運用報告書の1万口当たりの費用明細に現時点の信託報酬率を当てはめています。
信託報酬以外の諸経費 0.177% + 信託報酬 0.208% = 0.385%
『SBI・新興国株式インデックス・ファンド』の実質コスト(年率 0.266%)は、第2期(2018年11月13日~2019年11月12日)の運用報告書の1万口当たりの費用明細に現時点の信託報酬と実質的な投資対象である投資信託証券の報酬(SCHE 経費率0.13%)を加えています。
信託報酬以外の諸経費 0.070% + 信託報酬 0.066% + SCHEの経費 0.130% = 0.266%
新興国株式インデックスファンドの運用実績
下のチャートは、後発の『SBI・新興国株式インデックス・ファンド』設定来2年1ヵ月半弱の期間(2017年12月6日~2020年1月17日)で基準価額の推移を比べたものです。比較しやすいよう起点の基準価額を1万円に統一しています。
基準価額の推移 2017年12月6日~2020年1月17日 過去の実績は将来の成績を保証するものではありません |
騰落率の比較は下の表の通りです(2020年1月17日)。
下落率は2018年1月29日~2019年1月4日の数字、設定来騰落率は2年1ヵ月半弱の数字です。
2020年1月17日現在 過去の実績は将来の成績を保証するものではありません |
『SBI・新興国株式インデックス・ファンド』設定来(2017年12月6日設定)の騰落率では同ファンドが優勢ですが、過去6ヵ月、過去1年の騰落率では僅差にとどまります。
純資産総額は『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』(2017年7月31日設定)のほうが順調に成長していて8倍以上の大差をつけています。
新興国株式インデックスファンドの積立投資の成績
つみたてNISAのスタートした2018年1月から毎月1日を積立日に設定しています(約定日は翌営業日)。1日が休日の場合は後ずれします。過去の実績は将来の成績を保証するものではありません |
2年強の積立投資(毎月1万円)の通算成績は、2020年1月17日現在、25万円の投資額に対して『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』の評価額が274,146円(+9.66%)、『SBI・新興国株式インデックス・ファンド』の評価額が277,691円(+11.08%)でした。
新興国株式(MSCI エマージング)の一括投資と積立投資の比較は下の記事を参考にしてください。
・「新興国株式」一括投資と積立投資の成績を5年、10年、15年で比較 値動きの激しい新興国株式は積立投資向き? それとも…
新興国株式インデックスファンド まとめ
『SBI・新興国株式インデックス・ファンド』のコストの低さは、なかなか魅力的ですよね。運用実績も新興国株式インデックスファンドの定番とも言える『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』に見劣りしていません。
ただ、「FTSE エマージング・インデックス」をベンチマークにしている『SBI・新興国株式インデックス・ファンド』には韓国が含まれていません。「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」では1割強を占める国が抜けてしまいます。
MSCIエマージング・マーケット・インデックス 2019年12月末現在 |
地政学リスクを考慮して、あえて投資しないという選択肢もあるかもしれませんが……。
・世界銀行の2020年経済見通しとインデックス投資家の一人(卵?)として悩んでいること
・新興国経済および株式市場、2020年の展望(ピクテ投信投資顧問)
先進国株式インデックスファンドの積立投資の成績は下の記事を参考にしてください。
・【インデックス投資】月1万円の積立の成果は? 定番の先進国株式インデックスファンド3種を比較 最新の実質コストや騰落率も確認
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