2019年12月26日付で「バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF」(VWO)などバンガード社のETFの経費率改定が発表されています(0.12% → 0.10%)。
・Expense ratio cuts on 56 Vanguard funds mean more savings for you
上記ETFを実質的な投資対象にしている『楽天・新興国株式インデックス・ファンド(愛称:楽天・バンガード・ファンド(新興国株式))』の運用管理費用にも反映されるはずです(税込0.252%程度 → 税込0.232%程度)。
同ファンドの実質コストや運用実績をライバルの『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』と比較してみました。
また、それぞれの積立投資の成績も確認してみました。
楽天・新興国株式とスリム新興国株式の特徴
『楽天・新興国株式インデックス・ファンド』(楽天投信投資顧問)は、新興国の株式市場を対象にした「FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)・インデックス」(円換算ベース)に連動する投資成果を目標として運用を行います。運用管理費用(信託報酬)は年率で税込0.252%程度(税込0.132% + 0.12%程度)です。前述の通り税込0.232%程度に近く変更されるものと思われます。
ベンチマークの指数にはアジア、中南米、中東・アフリカ、欧州の新興国24ヵ国の大型株・中型株・小型株4,043銘柄が組み入れられています(2019年12月末現在)。
一般的な新興国株式インデックスファンドに採用されているMSCIのエマージング指数と違い、FTSEでは韓国とポーランドは新興国ではなく先進国に区分されています。
FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ (含む中国A株)・インデックス 業種別構成比と国・地域別構成比 2019年12月末現在 |
『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』(三菱UFJ国際投信)は、新興国の株式市場を対象にした「MSCI エマージング・マーケット・インデックス」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。
運用管理費用(年率)は税込0.2079%以内です。
ベンチマークの指数にはアジア、中南米、中東・アフリカ、欧州の新興国26ヵ国の大型株と中型株1,410銘柄が組み入れられています(2019年11月末現在)。
MSCIエマージング・マーケット・インデックス 業種別構成比と国・地域別構成比 2019年11月末現在 |
今回、取り上げた投資信託は、原則として為替ヘッジは行いません。信託期間は、すべて無期限です。
楽天・新興国株式とスリム新興国株式の実質コスト
少数第3位未満は四捨五入しています |
運用管理費用(信託報酬)以外に売買委託手数料や有価証券取引税、その他費用(保管費用、監査費用等)を含めたものが実質コストになります。上記の数字は最新の信託報酬率を適用した推計による概算値であることに注意してください。
『楽天・新興国株式インデックス・ファンド』の実質コスト(年率 0.427%)は、第2期(2018年7月18日~2019年7月16日)の運用報告書の1万口当たりの費用明細の信託報酬以外の諸経費を1年(365日)相当に改めて、現時点の信託報酬と実質的な投資対象である投資信託証券の報酬(VWO 経費率0.10%)を加えています。
信託報酬以外の諸経費 0.194% ×(365日 ÷ 第2期の日数 364日)+ 信託報酬 0.132% + VWOの経費 0.100% = 0.427%
『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』の実質コスト(年率 0.385%)は、第2期(2018年4月26日~2019年4月25日)の運用報告書の1万口当たりの費用明細に現時点の信託報酬率を当てはめています。
信託報酬以外の諸経費 0.177% + 信託報酬 0.208% = 0.385%
楽天・新興国株式とスリム新興国株式の運用実績
下のチャートは、『楽天・新興国株式インデックス・ファンド』設定来2年1ヵ月半弱の基準価額の推移(2017年11月17日~2019年12月30日)を競合と比べたものです。比較しやすいよう起点の基準価額を1万円に統一しています。
基準価額の推移 2017年11月17日~2019年12月30日 過去の実績は将来の成績を保証するものではありません |
騰落率の比較は下の表の通りです(2019年12月30日現在)。
下落率は2018年1月29日~2019年1月4日の数字、設定来騰落率は2年1ヵ月半弱の数字です。
2019年12月30日現在 過去の実績は将来の成績を保証するものではありません |
過去1年の騰落率が好調なのは、調整局面の底を起点にした数字だからです。
『楽天・新興国株式インデックス・ファンド』のほうが中小型株まで幅広くカバーしている分、基準価額の値動きがやや大きめかもしれませんね。
楽天・新興国株式とスリム新興国株式の積立投資の成績
毎月1日を積立の設定日にしています(約定日は翌営業日)。1日が休日の場合は後ずれします。過去の実績は将来の成績を保証するものではありません |
2018年1月から2年間の積立投資(毎月1万円)の通算成績は、2019年12月30日現在、24万円の投資額に対して『楽天・新興国株式インデックス・ファンド』の評価額が258,925円(+7.89%)、『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』の評価額が256,878円(+7.03%)でした。
新興国株式(MSCI エマージング)の一括投資と積立投資の比較は下の記事を参考にしてください。
・「新興国株式」一括投資と積立投資の成績を5年、10年、15年で比較 値動きの激しい新興国株式は積立投資向き? それとも…
楽天・新興国株式とスリム新興国株式 まとめ
『楽天・新興国株式インデックス・ファンド』は大型株から小型株まで網羅していますが、一般的な新興国株式インデックスファンドと異なり韓国やポーランドを組み入れていません。新興国は先進国ほど投資環境の整備が進んでいないこともあって、諸経費を含む実質コスト(年率 0.427%)は運用管理費用の見かけより若干高めです。
・ピクテ投信投資顧問「新興国経済および株式市場、2020年の展望」(WEB)
・ピクテ投信投資顧問「市場の反転に備えよ」(WEB)
・岡三AM「2020年のアジア株式-米中通商摩擦の緩和を受けて利益成長率程度の株価上昇を予想-」(PDF)
米中貿易摩擦などの影響で出遅れの目立っていた新興国株式ですが、2020年は経済成長率の回復、抑制されたインフレ率、米ドル安などが新興国資産への追い風になると見られています。
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