ある程度、長期で見た場合、為替ヘッジの有無が投資信託の成績にどれくらい影響を及ぼすものなのでしょうか。
日本を除く先進国を投資対象にした海外(先進国)株式インデックスファンドについて調べてみました。
海外(先進国)株式インデックスファンドの特徴
比較するのは、日興アセットマネジメントの『インデックスファンド海外株式ヘッジなし(DC専用)』(日興AM)と『インデックスファンド海外株式ヘッジあり(DC専用)』(日興AM)です。投資信託を保有中の運用管理費用(年率)は「ヘッジなし」が税抜0.14%、「ヘッジあり」が税抜0.16%です。先日(2020年1月22日)、信託報酬率の引き下げ(PDF)が行われています。
どちらのファンドも「MSCI-KOKUSAI インデックス(円ベース)」をベンチマークにしていて、名前の通り前者が為替ヘッジなし、後者が為替ヘッジありです。
MSCI-KOKUSAI インデックス 業種別構成比と国・地域別構成比 2019年12月末現在 |
為替ヘッジの有無による長期成績比較
分配金込み(税引前)基準価額で計算しています。下のチャートは設定来17年強の基準価額の推移(2002年12月10日~2020年1月28日)です。
株式を投資対象にしているのでどちらも値動きは小さくありませんが、為替ヘッジなしのほうが為替ヘッジありに比べ上がるときも下がるときも値動きが大きい傾向にあるのが見て取れます。
基準価額の推移 2002年12月10日~2020年1月28日 過去の実績は将来を保証するものではありません |
騰落率の比較は下の表の通りです(2020年1月28日現在)。
下落率は世界的な金融危機があった頃(2007年7月20日~2009年3月10日)の数字、設定来騰落率は17年1ヵ月半強の数字です。
2020年1月28日現在 過去の実績は将来を保証するものではありません |
設定日に100万円投資したとすると、2020年1月28日時点では「ヘッジなし」は約375万、「ヘッジあり」は約321万になります。
ただ、運用期間をどこで区切るかによっても、どちらが優勢かは変わってきます。過去5年では「ヘッジあり」が「ヘッジなし」を上回っています。
年間収益率
交付目論見書によると、リーマンショックの起きた2008年の投資信託の年間収益率は『インデックスファンド海外株式ヘッジなし(DC専用)』が-54.9%、『インデックスファンド海外株式ヘッジあり(DC専用)』が-40.3%となっています。年間収益率の推移は下の表のようになっています。2019年は10月末までの数字です。
年間収益率の推移 過去の実績は将来を保証するものではありません |
「ヘッジなし」のほうがやはり「ヘッジあり」より収益率のバラツキが大きめな傾向にあるようです。
まとめ 為替ヘッジありの注意点
為替ヘッジにもコストがかかります。ヘッジコストは2通貨の金利差や需給要因によっても変化します。将来、米国が利上げに動くとコスト負担が重くなることも考えられます。・為替ヘッジコストについて(2020年1月)(大和投資信託)
・「為替ヘッジあり」投信、コスト上昇に要注意(QUICK資産運用研究所)
為替ヘッジつきの海外(先進国)株式インデックスファンドは為替ヘッジなしに比べれば値動きが若干マイルドですが、株式に投資している以上、相場が荒れ模様のときは相応に基準価額の変動が大きくなる点には注意が必要でしょうか。
値動きを小さくしたいなら、債券と組み合わせてその比率で調整するという選択肢もありますね。
・【インデックス投資】守りを固めるなら 海外債券(為替ヘッジなし、あり)や国内債券を先進国株式と組み合わせた場合の値動きは?
・リターン・リスク比較「先進国株式80%:国内債券20%」「先進国株式50%:国内債券50%」「先進国株式20%:国内債券80%」
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