1月の大和証券投資信託委託の「米国インフラ・ビルダー株式ファンド」を皮切りに、2月にアセットマネジメントONEの「米国インフラ関連株式ファンド(愛称:グレート・アメリカ)」、3月に三井住友トラスト・アセットマネジメントの「USインフラ株式ファンド(愛称:アメリカンインフラ)」(年2回決算型)など、アメリカのインフラに投資するトランプ銘柄投信が相次いで設定されました。
これらテーマ型投資信託の運用成績を、「iFree NYダウ・インデックス」や「i-mizuho米国株式インデックス」といった米国株式インデックスファンドと比べてみました。参考までに、先進国株式インデックスファンドである「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」も比較の対象に加えました。
米国インフラ・ビルダー株式ファンドの特徴
交付目論見書(PDF)によると、アメリカのインフラ設備の建設、改修またはメンテナンス、建設資材の生産または輸送などに直接関わる企業の株式に投資します。月報によると、建設・土木、機械、建設資材、陸運・鉄道、商社・流通業、電気設備、金属・鉱業などの業種に投資しています。米国インフラ関連株式ファンド(グレート・アメリカ)の特徴
交付目論見書(PDF)によると、アメリカの生活インフラ関連企業を「インフラ運営関連企業」と「インフラ開発関連企業」に分類し、投資環境に応じて投資割合を機動的に変更するそうです。景気減速局面では中長期的に安定的な収益が見込める人々の生活に必要不可欠な設備やサービスを運営・提供する「インフラ運営関連企業」(通信、水道、石油、ガス、電力等)への投資割合を高め、景気拡大局面では収益拡大が期待されるインフラの整備・構築等に携わる「インフラ開発関連企業」(建設、素材、運輸、銀行等)への投資割合を高めるというイメージ図を運用例としてあげています。
USインフラ株式ファンド(アメリカンインフラ)の特徴
交付目論見書(PDF)によると、BNYメロン・アセット・マネジメント・ジャパン株式会社が運用する主要投資対象ファンドへの投資を通じて、主として米国のインフラ関連企業の株式に投資します(ファンド・オブ・ファンズ方式)。また、インフラ関連の施設に投資を行う米国の不動産投資信託証券(REIT)にも投資を行う場合があります。インフラ関連企業のイメージとして、道路、鉄道、空港、港湾、電力、ガス、水道、通信、エネルギーを挙げています米国株式インデックスファンドほかの特徴
「iFree NYダウ・インデックス」は、ゴールドマン・サックス・グループ、ボーイング、アップル、ウォルトディズニー、キャタピラーなどアメリカを代表する主要30銘柄を対象としたダウ・ジョーンズ工業株価平均に連動するインデックスファンドです。月報によると投資先の業種は資本財・サービス、金融、情報技術、一般消費財・サービス、ヘルスケア、エネルギー、生活必需品、素材、電気通信サービスと幅広いです。「i-mizuho米国株式インデックス」は、アメリカ全株式の時価総額のうち8割近くを占める大型株約500銘柄を対象としたS&P500指数に連動するインデックスファンドです。月報によると投資先の業種は情報技術、金融、ヘルスケア、一般消費財・サービス、資本財・サービス、生活必需品、エネルギー、公共事業、素材、不動産と多岐にわたっています。
「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」は、日本をのぞく先進国の株式を対象にしたMSCIコクサイ・インデックス(円換算ベース)に連動する投資成果をめざすインデックスファンドです。MSCIコクサイ・インデックスは22か国1,317銘柄で構成されています(2016年11月末現在)。
米国インフラ・ビルダー株式ファンドほか成績比較
2017年4月6日現在の基準価額を起点に計算 |
以下、騰落率はすべて購入時手数料は考慮せず(差し引かずに)基準価額の数字だけで計算しています。
米国インフラ関連株式ファンド(グレート・アメリカ)ほか成績比較
2017年4月6日現在の基準価額を起点に計算 |
USインフラ株式ファンド(アメリカンインフラ)ほか成績比較
2017年4月6日現在の基準価額を起点に計算 |
まとめ
「米国インフラ関連株式ファンド」の2017年4月3日付のファンド通信(PDF)でも言及されているように、3月24日のオバマケア代替法案撤回でトランプ政権の政策実行力に疑問符がつくことになり、株式市場は軟調な展開が続いています。トランプ銘柄投信もさえない成績になっており、過去1カ月の騰落率では、市場平均に連動する米国株式インデックスファンドに対して必ずしも優位であるとは言えず、先進国株式インデックスファンドに対しては劣後しています。
とはいえ、先のファンド通信では、大統領選以降、上昇率が高かった業種や銘柄を中心に売り優勢になったものの、老朽化の進むインフラへの投資に関しては野党議員も賛成する可能性が高いことや、財源が連邦政府予算だけではなく各州の予算で賄われる部分も多いことなどを理由に依然としてインフラ投資の実現性は高く、中長期的な視野で投資したいとしています。
トランプ銘柄投信の信託期間は5年~10年と限られているので、無期限のインデックスファンドのようにいつまでも基準価額の上昇を待てるわけではないという点は留意しておく必要があるかと思われます。運用期間が長期になると高めのコストが負担になる可能性もありますよね。
こぼれ話
為替ヘッジのない米国株式インデックスファンドと比較するのに、トランプ銘柄投信も為替ヘッジなしのものを比較対象にしました。今回取り上げたトランプ銘柄投信はいずれも為替リスクを軽減する為替ヘッジありも選べるようになっていますが、購入時手数料(税込3.24%)を考慮すると残念ながら設定来の成績はどれも赤字(マイナス圏)です(2017年4月6日現在)。
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