『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』の特徴や運用実績をインデックスファンドのライバル(米国株式、先進国株式、全世界株式)と比較してみました。
今回、取り上げた投資信託は、つみたてNISA対象商品です。つみたてNISAは少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度(金融庁)です。
米国株式・先進国株式・全世界株式インデックスファンドの特徴
『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』(三菱UFJ国際投信)は、米国株式市場の時価総額のおよそ8割を占める大型株約500銘柄を対象とした「S&P500指数」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。ベンチマークの指数は505銘柄で構成されています(2020年3月末現在)。
投資信託を保有中の運用管理費用(年率)は税込0.0968%以内です。
S&P500指数 業種別構成比 2020年3月末現在 |
『楽天・全米株式インデックス・ファンド(愛称:楽天・バンガード・ファンド(全米株式))』(楽天投信投資顧問)は、米国株式市場の投資可能な銘柄のほぼ100%をカバーした「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。
ベンチマークの指数は大型株・中型株・小型株3,476銘柄で構成されています(2020年3月末現在)。
運用管理費用(年率)は税込0.162%程度です。
CRSP USトータル・マーケット・インデックス 2020年3月末現在 |
『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』(三菱UFJ国際投信)は、先進国の株式市場を対象にした「MSCIコクサイ・インデックス」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。
ベンチマークの指数は北米、欧州、アジア・オセアニア、中東の先進国22ヵ国の大型株と中型株1,320銘柄で構成されています(2020年3月末現在)。
運用管理費用(年率)は税込0.1023%以内です。
MSCIコクサイ・インデックス 業種別構成比と国別構成比 2020年3月末現在 |
『楽天・全世界株式インデックス・ファンド』(楽天投信投資顧問)は、日本を含む世界の株式市場を対象にした「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。
ベンチマークの指数は先進国と新興国を合わせた49ヵ国の大型株・中型株・小型株8,920銘柄で構成されています(2020年3月末現在)。
運用管理費用(年率)は税込0.212%程度です。
FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス 業種別構成比と国・地域別構成比 2020年3月末現在 |
今回、取り上げた投資信託は、原則として為替変動リスクを回避するための為替ヘッジは行いません。信託期間は、すべて無期限です。
米国株式・先進国株式・全世界株式の実質コスト
少数第3位未満は四捨五入しています |
運用管理費用(信託報酬)以外に売買委託手数料や有価証券取引税、その他費用(保管費用、監査費用等)を含めたものが実質コストになります。
上記の数字は推計による概算値であることに注意してください。
『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』の実質コスト(年率 0.176%)は、第1期(2018年7月3日~2019年4月25日)の運用報告書(PDF)の1万口当たりの費用明細の信託報酬以外の諸経費を1年(365日)相当に改めて、現時点の信託報酬率を当てはめています。
信託報酬以外の諸経費 0.065% ×(365日 ÷ 第1期の日数 297日)+ 信託報酬 0.0966% (※)= 0.176%(少数第3位未満 四捨五入)
※受益者還元型の信託報酬は純資産総額821.90億円で計算(500億円未満の部分 税込0.0968%、500億円以上1,000億円未満の部分 税込0.09625%)
『楽天・全米株式インデックス・ファンド』の実質コスト(年率 0.225%)は、第2期(2018年7月18日~2019年7月16日)の運用報告書(PDF)の1万口当たりの費用明細の信託報酬以外の諸経費を1年相当に改めて、現時点の投資信託の信託報酬と実質的な投資対象である投資信託証券の報酬(VTI 経費率0.03%)を加えています。
信託報酬以外の諸経費 0.063% ×(365日 ÷ 第2期の日数 364日)+ 投資信託の信託報酬 0.132% + VTIの経費 0.030% = 0.225%
『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』の実質コスト(年率 0.178%)は第2期(2018年4月26日~2019年4月25日)の運用報告書(PDF)の1万口当たりの費用明細に現時点の信託報酬率を当てはめています。
信託報酬以外の諸経費 0.076% + 信託報酬 0.1016%(※)= 0.178%(少数第3位未満 四捨五入)
※受益者還元型の信託報酬は純資産総額835.95億円で計算(500億円未満の部分 税込0.10230%、500億円以上1,000億円未満の部分 税込0.100595%)
『楽天・全世界株式インデックス・ファンド』の実質コスト(年率 0.291%)は、第2期(2018年7月18日~2019年7月16日)の運用報告書(PDF)の1万口当たりの費用明細の信託報酬以外の諸経費を1年(365日)相当に改めて、現時点の信託報酬と実質的な投資対象である投資信託証券の報酬(VT 経費率0.08%)を加えています。
信託報酬以外の諸経費 0.079% ×(365日 ÷ 第2期の日数 364日)+ 信託報酬 0.132% + VTの経費 0.080% = 0.291%
米国株式・先進国株式・全世界株式の運用実績
下のチャートは、基準価額の推移を『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』設定来1年9ヵ月半弱の期間(2018年7月3日~2020年4月17日)で比べたものです。比較しやすいよう起点の基準価額を1万円に統一しています。
基準価額の推移 2018年7月3日~2020年4月17日 過去の実績は将来を保証するものではありません |
騰落率の比較は下の表の通りです(2020年4月17日現在)。
調整局面の下落率は2020年2月21日~同年3月24日の数字と2018年10月4日~同年12月25日の数字、設定来騰落率は1年9ヵ月半弱の数字です。
2020年4月17日現在 過去の実績は将来を保証するものではありません |
『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』の純資産総額は順調に伸びていて、『楽天・全米株式インデックス・ファンド』や『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』を近いうちに追い抜きそうですね。
まとめ
コロナショックで急落していた株価は、直近は反発していて『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』などの投資信託の基準価額もある程度回復しつつあります。・米国株式市場~成長期待への信認は回復過程へ(三井住友DSアセマネ)
2020年3月24日~同年4月17日 過去の実績は将来を保証するものではありません |
ただし、新型コロナウイルス感染拡大による世界経済への影響は深刻で、IMF(国際通貨基金)は2020年の世界の経済成長見通しをプラス3.3%からマイナス3%へと大幅に下方修正しています。
・深刻な景気後退を示したIMFの世界経済予想(ピクテ投信)
出典:深刻な景気後退を示したIMFの世界経済予想 (ピクテ投信) |
米国の2020年の経済成長見通しもプラス2%からマイナス5.9%へと下方修正されています。
2021年は回復が見込まれていますが、新型コロナの収束時期次第で低迷が長引く可能性もあり、先行きはなかなか楽観しにくい状況かもしれませんね。
・市場急落局面にみる「株式のチカラ」(PDF/日興AM)
出典:市場急落局面にみる「株式のチカラ」 (日興AM) |
それでも、マーケットが過去の危機を何度も乗り越えてきたことを思えば、コロナショックもいつか克服されるものと信じたいですよね。
・ペスト、コレラ、スペイン風邪…人類はどう感染症の流行と向き合ってきたか(フォーブス)
レバレッジ型との比較は下の記事を参考にしてください。
・【積立投資】eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)VS.iFreeレバレッジ S&P500 コロナショックで評価額の推移は?
『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』、先進国株式、全世界株式(オール・カントリー)、バランス(8資産均等型)の積立投資の成績(2019年1月~2020年4月)は下の記事を参考にしてください。
・【積立投資】スリム米国株式(S&P500)、先進国株式、オール・カントリー、8資産均等型の評価額の推移ほか
米国株式、先進国株式、全世界株式の積立投資の成績(2018年1月~2020年4月)は下の記事を参考にしてください。
・【インデックス投資】直近の株価の反発で積立投資の成績は? 米国株式(S&P500・全米株式)、先進国株式、全世界株式の評価額を確認
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