ハイテク株は復活するか『iFreeNEXT NASDAQ100インデックス』eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)と実質コストや運用実績を比較・評価

2022年2月15日火曜日

実質コスト 米国株式

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『iFreeNEXT NASDAQ100インデックス』S&P500指数連動型と比較・評価・解説

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米国の新興企業向けの株式市場を対象にした『iFreeNEXT NASDAQ100インデックス』の実質コストや運用実績を定番の『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』と比較してみました。

ハイテク株の比率が高く値動きが激しいイメージのNASDAQ100指数ですが(ITバブル崩壊時には約80%のマイナス!※)、果たして最近のインデックスファンドの実績は?

※ネットバブル、ドットコムバブルとも。1990年代前半から2000年代初期に米国を中心に情報・通信産業への期待感からIT関連企業の株価が急激に上昇。2001年にはベンチャー企業の破綻が相次ぎバブルが弾けました(米同時多発テロも株価の下落に拍車)。


iFreeNEXT NASDAQ100、スリム米国株式(S&P500)特徴

iFreeNEXT NASDAQ100インデックス』(大和アセットマネジメント)は、「NASDAQ100指数」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。

投資信託を保有中の運用管理費用(信託報酬)は年率で税込0.495%(税抜0.45%)です。

NASDAQ(ナスダック)は米国にある世界最大の新興企業向けの株式市場です。米国以外の企業を含みハイテク(IT)関連銘柄の比率が高いのが特徴です。「NASDAQ100指数」は時価総額上位100銘柄(金融銘柄を除く)で構成されています。

iFreeNEXT NASDAQ100インデックス 業種別構成比と組入上位10銘柄

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』(三菱UFJ国際投信)は、米国株式市場の時価総額のおよそ8割を占める大型株約500銘柄を対象とした「S&P500指数」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。

運用管理費用(信託報酬)は年率で税込0.0968%(税抜0.088%)以内です。

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500) 組入上位10業種と組入上位10銘柄

S&P500指数 業種別構成比

今回、取り上げる投資信託は原則として為替ヘッジは行いません。信託期間は無期限です。


iFreeNEXT NASDAQ100、スリム米国株式(S&P500)実質コスト

iFreeNEXT NASDAQ100インデックスとeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の実質コスト

定番インデックスファンドの低コスト化が進む中、『iFreeNEXT NASDAQ100インデックス』の実質コストは相対的にやや高めな印象も受けるでしょうか。

上記の数字は最新の信託報酬率等を適用した推計による概算値であることに注意してください。

運用管理費用(信託報酬)以外に売買委託手数料や有価証券取引税、その他費用(保管費用、監査費用等)を含めたものが実質コストになります。

iFreeNEXT NASDAQ100インデックス』の実質コスト(年率 0.538%)は、第3期(2020年9月1日~2021年8月30日)運用報告書(PDF)の1万口当たりの費用明細の合計を1年(365日)相当に改めて、2022年1月末の月報で2.5%ほど含まれる外国投資信託(QQQ)の経費(0.2%)を加えています。

1万口当たりの費用明細の合計 0.532% ×(365日 ÷ 第3期の日数 364日)+ QQQの経費(0.200% × 0.025)= 0.538%(少数第3位未満 四捨五入)

ちなみに第1期の実質コストは、運用報告書に記載された1万口あたりの費用明細の合計に外国投資信託の経費(0.2%)を単純に足し合わせると0.754%程度でした。

外国投資信託の比率が大幅に減って外国株式に直接投資するようになった第2期の実質コストは、期末の比率で外国投資信託の経費(0.2% × 13.5%)を足し合わせると0.605%程度でした(第2期は367日なので諸経費を年率換算)。

eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』の実質コスト(年率 0.122%)は、第3期(2020年4月28日~2021年4月26日)の運用報告書(PDF)の1万口当たりの費用明細の信託報酬以外の諸経費を1年相当に改めて、現時点の信託報酬率を当てはめています。

信託報酬以外の諸経費 0.026% ×(365日 ÷ 第3期の日数 364日)+ 信託報酬 0.0958% (※)= 0.122%(少数第3位未満 四捨五入)

※受益者還元型の信託報酬は純資産総額9,720.50億円で計算(500億円未満の部分 税込0.0968%、500億円以上1,000億円未満の部分 税込0.09625%、1,000億円以上の部分 税込0.0957%)


iFreeNEXT NASDAQ100、スリム米国株式(S&P500)運用実績

iFreeNEXT NASDAQ100、スリム米国株式(S&P500)チャート

下のチャートは『iFreeNEXT NASDAQ100インデックス』設定来3年5ヵ月強の期間(2018年8月31日~2021年2月14日)で基準価額の推移を比べたものです。

比較しやすいよう起点の基準価額を1万円に統一しています。

iFreeNEXT NASDAQ100インデックスとeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の基準価額の推移(チャート)

iFreeNEXT NASDAQ100、スリム米国株式(S&P500)騰落率

騰落率の比較は下の表の通りです(2022年2月14日現在)。

急落局面の下落率は2020年2月20日~同年3月17日(スリム米国株式は同年2月21日~同年3月24日)の数字と2018年10月4日~同年12月25日の数字、設定騰落率は3年5ヵ月強の数字です。

iFreeNEXT NASDAQ100インデックスとeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の騰落率

2022年2月14日現在の純資産総額は『iFreeNEXT NASDAQ100インデックス』441.51億億円(2018年8月31日設定)、『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』9,720.50億円(2018年7月3日設定)です。

設定来の騰落率で『iFreeNEXT NASDAQ100インデックス』のほうが優勢なのは、ハイテク大手が経済動向に関わらず比較的盤石な銘柄として選好されたことや新型コロナの流行で社会の変革を担うIT企業への期待感が高まったことなどが理由として挙げられます。

直近はインフレ懸念から特にハイテク関連銘柄の下落幅が大きくなっていますが、収益力や成長性の高さに期待する声は根強いようです。

S&P500 or ナスダック100 、2022年に投資するならどっち?(楽天証券トウシル)

下記のグラフはNASDAQ100指数ベースとS&P500指数ベースの暦年EPS(1株当たり利益)の過去10年(2011年以降)の実績と2021年から2023年までの見通し(市場予想平均)を示しています。

ナスダック100の業績は一段の向上へ

金融相場から業績相場への移行が進めば利益成長性の高さからNASDAQ100指数が改めて注目を集めることになるのでしょうか。


まとめ 長期目線で考えるなら

最近はインフレ圧力による積極的な利上げが逆風となることも警戒されていますが、長期目線で新興企業向け市場の成長力に期待するならNASDAQ100指数連動型のインデックスファンドはポートフォリオのスパイスとして面白い選択肢の一つかもしれませんね。

THINK BIG-大きく考え、市場に居続ける。(PDF/日興AM)

マイクロソフト、アマゾン、アップルの株価推移

逆風下の米国グロース株 長期金利から業績を重視する展開へのシフトが待たれる(三井住友DSAM)

調整色を強めるグロース株ですが、企業がクラウドを積極的に活用し付加価値を創造するなど、ビジネスのデジタルトランスフォーメーション(DX)化が急速に進む状況に変化はありません。今後もその恩恵を受けるグロース株の業績拡大が期待され、株価パフォーマンスの好転も見込まれます。逆風下だからこそ、次の展開に備え業績に注目しておくことが重要だと考えられます。

その一方で、米政府のハイテク大手への監視の強まりを懸念する声も聞かれます。

米独禁当局、M&A審査指針を厳格化へ 巨大ITに対応(日本経済新聞)

米上院、ITの自社優遇禁止法案を審議へ 委員会が可決(日本経済新聞)

また値上がりした「勝ち組」セクターを後追いする順張り戦略はうまくいかないとする指摘もあります。

うまくいかない「勝ち組」の後追い、米国株式長期で検証(モーニングスター)

米国株式セクター別指数を用いた投資手法別パフォーマンス

2020年4月末までのデータなので参考程度に見てください。順張り戦略はITバブル崩壊の影響を強く受けています。好調なセクターの過熱感はやはり気になるところかもしれませんね。

時間分散で積み立てていくのも一案でしょうか。ただ、下の記事のようにセクター比率に偏りの目立つ指数でFIREをめざすというのは過去のデータを過信しすぎていないか、将来が未知数である以上、危うい流行のようにも感じます。

FIREを目指す?まずはナスダック100の長期積立投資から(楽天証券トウシル)

ナスダック100指数の定時定額(積立)投資

積立投資の成績は下の記事も参考にしてください。

米国新興市場に積立投資『iFreeNEXT NASDAQ100インデックス』楽天・全米株式やeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)と実績比較・評価

PayPay投信 NASDAQ100インデックス』(PayPayアセットマネジメント)が2021年6月29日に設定されました。SBI証券、auカブコム証券、PayPay銀行、松井証券、マネックス証券で販売されています。

運用管理費用(年率)は税込0.418%と『iFreeNEXT NASDAQ100インデックス』(税込0.495%)より若干割安に設定されていますが、資産規模が小さい設定直後は実質コストが高めに出る可能性もありますね。

NASDAQ100連動型4種(iFreeNEXT/NZAM・ベータ/eMAXIS/PayPay)をiFreeNEXT FANG+、スリム米国株式、楽天・全米株式と比較・評価 米国の新興企業向け市場の成長性に期待



おすすめ記事

レバレッジ型との比較については下の記事を参考にしてください。

天国から地獄? 米国株式(S&P500/NASDAQ100)インデックスファンドをレバレッジ型と比較・評価 株価急落時の値動きは?



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