米国の新興企業向けの市場を対象にした「NASDAQ100指数」連動型のインデックスファンド4種(『iFreeNEXT NASDAQ100インデックス』、『NZAM・ベータ NASDAQ100』、『eMAXIS NASDAQ100インデックス』、『PayPay投信 NASDAQ100インデックス』)を競合と比較してみました。
比較の対象は『iFreeNEXT FANG+インデックス』、『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』、『楽天・全米株式インデックス・ファンド』(愛称:楽天・バンガード・ファンド(全米株式))です。
「NASDAQ100指数」連動型ほか米国株式インデックス投信の特徴
『iFreeNEXT NASDAQ100インデックス』(大和AM)、『NZAM・ベータ NASDAQ100』(農林中金全共連AM)、『eMAXIS NASDAQ100インデックス』(三菱UFJ国際投信)、『PayPay投信 NASDAQ100インデックス』(PayPay投信)は、「NASDAQ100指数」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。NASDAQ(ナスダック)は米国にある世界最大の新興企業向けの株式市場です。米国以外の企業を含みハイテク(IT)関連銘柄の比率が高いのが特徴です。「NASDAQ100指数」は時価総額上位100銘柄(金融銘柄を除く)で構成されています。
『iFreeNEXT FANG+インデックス』(大和AM)は、「NYSE FANG+指数」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。
同指数はフェイスブック、アップル、アマゾン・ドット・コム、ネットフリックス、グーグル(アルファベット)、アリババ、バイドゥ、エヌビディア、テスラ、ツイッターの10社に等金額投資したポートフォリオで構成されています。
四半期(3・6・9・12月)ごとに等金額となるようリバランスを行ないます。
『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』(三菱UFJ国際投信)は、米国株式市場の時価総額のおよそ8割を占める大型株約500銘柄を対象とした「S&P500指数」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。
『楽天・全米株式インデックス・ファンド』(楽天投信投資顧問)は、米国株式市場の投資可能な銘柄のほぼ100%をカバーした「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。
今回、取り上げた投資信託は、原則として為替リスクを回避するための為替ヘッジを行いません。信託期間は、すべて無期限です。
iFreeNEXT NASDAQ100インデックスほか実質コスト
上記の数字は推計による概算値であることに注意してください。設定から日の浅い『eMAXIS NASDAQ100インデックス』と『PayPay投信 NASDAQ100インデックス』は、まだ運用報告書が公開されていないため除外しています。
運用管理費用(信託報酬)以外に売買委託手数料や有価証券取引税、その他費用(保管費用、監査費用等)を含めたものが実質コストになります。
『NZAM・ベータ NASDAQ100』は第1期ということもあってか保管費用が1%を超えるなど信託報酬以外の諸経費がかさんでいます。
『iFreeNEXT NASDAQ100インデックス』の実質コスト(年率 0.538%)は、第3期(2020年9月1日~2021年8月30日)運用報告書(PDF)の1万口当たりの費用明細の合計を1年(365日)相当に改めて、2022年1月末の月報で2.5%ほど含まれる外国投資信託(QQQ)の経費(0.2%)を加えています。
1万口当たりの費用明細の合計 0.532% ×(365日 ÷ 第3期の日数 364日)+ QQQの経費(0.200% × 0.025)= 0.538%(少数第3位未満 四捨五入)
『NZAM・ベータ NASDAQ100』の実質コスト(年率 1.673%)は、第1期(2020年3月12日~2021年2月22日)の運用報告書(PDF)の1万口当たりの費用明細の合計を1年(365日)相当に改めています。
費用明細の合計 1.595% ×(365日 ÷ 第1期の日数 348日)= 1.673%(少数第3位未満 四捨五入)
『iFreeNEXT FANG+インデックス』の実質コスト(年率 0.822%)は、第3期(2020年1月31日~2021年2月1日)の運用報告書(PDF)の1万口当たりの費用明細の合計を1年相当に改めています。
費用明細の合計 0.829% ×(365日 ÷ 第3期の日数 368日)= 0.822%(少数第3位未満 四捨五入)
『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』の実質コスト(年率 0.122%)は、第3期(2020年4月28日~2021年4月26日)の運用報告書(PDF)の1万口当たりの費用明細の信託報酬以外の諸経費を1年相当に改めて、現時点の信託報酬率を当てはめています。
信託報酬以外の諸経費 0.026% ×(365日 ÷ 第3期の日数 364日)+ 信託報酬 0.0958% (※)= 0.122%(少数第3位未満 四捨五入)
※受益者還元型の信託報酬は純資産総額8,773.47億円で計算(500億円未満の部分 税込0.0968%、500億円以上1,000億円未満の部分 税込0.09625%、1,000億円以上の部分 税込0.0957%)
『楽天・全米株式インデックス・ファンド』の実質コスト(年率 0.187%)は、第4期(2020年7月16日~2021年7月15日)の運用報告書(PDF)の1万口当たりの費用明細の合計に実質的な投資対象である投資信託証券の報酬(VTI 経費率0.03%)を加えています。
費用明細の合計 0.157% + VTIの経費 0.030% = 0.187%
iFreeNEXT NASDAQ100インデックスほか実績(チャートと騰落率)
下のチャートは過去1年の基準価額の推移(2021年2月26日~2022年2月25日)を比べたものです。起点の基準価額を1万円に統一しています。設定から日が浅い『PayPay投信 NASDAQ100インデックス』は除外しています。
『PayPay投信 NASDAQ100インデックス』も含めた騰落率の比較は下の表の通りです(2022年2月25日現在)。
まだ設定から日が浅かったり純資産総額が小さかったりすると運用が安定するまで多少時間がかかるのかもしれませんね。
わずか10銘柄で構成された「FANG+指数」連動型に比べれば「NASDAQ100指数」連動型は約100銘柄に投資先が分散されているものの、上位銘柄の比率の高さには注意が必要でしょうか。
コロナ禍で優位性を発揮してきたハイテク銘柄などのグロース株ですが、新型コロナウイルスのワクチン普及を見越してセクターローテーション(割高な情報技術セクターやグロース株から景気敏感株やバリュー株へ)の動きが見られる場面もありました。
最近はインフレ圧力による積極的な利上げが警戒されています。また米政府のハイテク大手への監視の強まりを懸念する声も聞かれます。
・米独禁当局、M&A審査指針を厳格化へ 巨大ITに対応(日本経済新聞)
・米上院、ITの自社優遇禁止法案を審議へ 委員会が可決(日本経済新聞)
リスク許容度が高く長期目線で投資できるなら、イノベーションに富んだ新興企業向け市場の成長性の高さは魅力的ですね。
・THINK BIG-大きく考え、市場に居続ける。(PDF/日興AM)
・S&P500 or ナスダック100 、2022年に投資するならどっち?(楽天証券トウシル)
下記のグラフはNASDAQ100指数ベースとS&P500指数ベースの暦年EPS(1株当たり利益)の過去10年(2011年以降)の実績と2021年から2023年までの見通し(市場予想平均)を示しています。
・米GAFAMのここからの投資妙味、専門家の見方は 成長性、懸念材料をどう見るか(日本経済新聞)
株式市場の動向は目まぐるしく変わりますから、冷静な判断力を保つためには余力を残しておくことも大事ですよね。
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・『楽天・米国レバレッジバランス・ファンド』米国株式(S&P500/NASDAQ100/FANG+)インデックスファンドとコロナ禍の運用実績を比較・評価
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