つみたてNISA対象商品である『楽天・全米株式インデックス・ファンド』と『iFree S&P500インデックス』の特徴と運用実績を比較してみました。
つみたてNISAは少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。制度の詳細については金融庁のWEBサイトで解説されています。
楽天・全米株式とiFree S&P500の特徴
『楽天・全米株式インデックス・ファンド(愛称:楽天・バンガード・ファンド(全米株式))』(楽天投信投資顧問)は、米国株式市場の投資可能な銘柄のほぼ100%をカバーした「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。ベンチマークの指数は3,513銘柄を組み入れています(2019年12月末現在)。
運用管理費用(年率)は税込0.162%程度(投資信託の信託報酬 税込0.132% + 実質的な投資対象である海外ETFの報酬 0.03%程度)です。
CRSP USトータル・マーケット・インデックス 2019年12月末現在 |
『iFree S&P500インデックス』(大和投資信託)は、米国株式市場の時価総額のおよそ8割を占める大型株約500銘柄を対象とした「S&P500指数」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。
ベンチマークの指数は505銘柄を組み入れています(2019年12月末現在)。
運用管理費用(年率)は税込0.2475%です。
より低廉な『SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド(愛称:SBI・バンガード・S&P500)』(税込0.0938%)が2019年9月26日に設定されました。
・『SBI・バンガード・S&P500』『SBI・全世界株式』信託報酬はライバル(スリム米国株式/楽天・全世界株式)より低コストですが運用実績は改善の余地あり?
ただ、NISAでは投資信託を売却しても非課税投資枠の再利用ができないので、既存の分はそのまま保有を続けるのも一案でしょうか。『iFree S&P500インデックス』も十分低廉です。
S&P500指数 業種別構成比 2019年12月末現在 |
今回、取り上げる投資信託は原則として為替ヘッジは行いません。信託期間は無期限です。
楽天・全米株式とiFree S&P500の実質コスト
少数第3位未満は四捨五入しています |
運用管理費用(信託報酬)以外に売買委託手数料や有価証券取引税、その他費用(保管費用、監査費用等)を含めたものが実質コストになります。
上記の数字は推計による概算値であることに注意してください。
『楽天・全米株式インデックス・ファンド』の実質コスト(年率 0.225%)は、第2期(2018年7月18日~2019年7月16日)の運用報告書の1万口当たりの費用明細の信託報酬以外の諸経費を1年相当に改めて、現時点の投資信託の信託報酬と実質的な投資対象である海外ETFの報酬(VTI 経費率0.03%)を加えています。
信託報酬以外の諸経費 0.063% ×(365日 ÷ 第2期の日数 364日)+ 投資信託の信託報酬 0.132% + 海外ETFの報酬 0.030% = 0.225%
『iFree S&P500インデックス』の実質コスト(年率 0.297%)は、第2期(2018年9月8日~2019年9月9日)の運用報告書の1万口当たりの費用明細の信託報酬以外の諸経費を1年(365日)相当に改めて、現時点の信託報酬率を当てはめています。
信託報酬以外の諸経費 0.050% × (365日 ÷ 第2期の日数 367日)+ 信託報酬 0.2475% = 0.297%
毎月、組入比率が変動するため上記の計算には含めていませんが、『iFree S&P500インデックス』は海外ETF(IVV 経費率0.04%)も利用しています。2019年12月末時点の組入比率は10.3%ですが、以前は30%を超えていた時期もあり、海外ETFの報酬も考慮するなら実質コストはもう少し上振れします。
楽天・全米株式とiFree S&P500の運用実績
下のチャートは、後発の『楽天・全米株式インデックス・ファンド』設定来2年4ヵ月強の基準価額の推移(2017年9月29日~2020年1月30日)を『iFree S&P500インデックス』と比べたものです。比較しやすいよう起点の基準価額を1万円に統一しています。
基準価額の推移 2017年9月29日~2020年1月30日 過去の実績は将来を保証するものではありません |
騰落率の比較は下の表の通りです(2020年1月30日現在)。
調整局面の下落率は2018年10月4日~同年12月25日の数字、設定来騰落率は2年4ヵ月強の数字です。
2020年1月30日現在 過去の実績は将来を保証するものではありません |
上記の期間では景気後退懸念などにより小型株がさえない時期があったので、大型株中心の『iFree S&P500インデックス』のほうが若干優勢です。
ただし、『楽天・全米株式インデックス・ファンド』のベンチマークである「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」に含まれる中小型株の比率は限定的なので、多少優勢な時期・劣勢な時期はあっても長期では「S&P500指数」連動型のファンドと大きな差はつきにくいかもしれません。
楽天・全米株式とiFree S&P500の積立投資の成績
つみたてNISAのスタートした2018年1月から毎月1日を積立日に設定しています(約定日は翌営業日)。1日が休日の場合は後ずれします。楽天・全米株式インデックス・ファンド
過去の実績は将来を保証するものではありません |
iFree S&P500インデックス
過去の実績は将来を保証するものではありません |
つみたてNISAのスタートした2018年1月から2年強の積立投資(毎月1万円)の評価額は、2020年1月30日現在、25万円の投資額に対して以下の通りです。
『楽天・全米株式インデックス・ファンド』
290,029円(+16.01%)
『iFree S&P500インデックス』
292,471円(+16.99%)
まとめ
米国企業の国際競争力に魅力を感じるなら、米国株式インデックスファンドは有力な投資候補になるでしょうね。大型株から小型株まで幅広くカバーしている『楽天・全米株式インデックス・ファンド』のほうが純資産総額の伸びでは勢いがあるようです。実質的な投資対象である海外ETFの資産規模が極めて大きいことも、安心感があるのかもしれませんね。
大型株中心の『iFree S&P500インデックス』も米国株式市場の時価総額のおよそ80%をカバーしています。「S&P500指数」はニュースで報道されていて値動きがわかりやすいことは利点ですよね。
つみたてNISAの新規投資可能期間は2037年までです(延長も検討されています)。2037年に設定された非課税投資枠は20年後の2056年まで続きます。
米国は世界有数のグローバル企業を多数擁しているとはいえ、米国株式インデックスファンドは1ヵ国への集中投資になってしまう点は注意が必要でしょうか。
・米国に投資する? 世界に分散する? 米国株式『VTI』と全世界株式『VT』の過去3年・5年・10年の年間平均リターンと将来見通し
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