少子高齢化による財源不足から公的年金の縮小が予想される中、運用益が非課税となるNISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)といった資産形成を促す制度の整備が進んでいます。
なるべく手間をかけずシンプルに投資するとして、資産の成長を期待するなら先進国株式(外国株式)インデックスファンドが選択肢の一つになるでしょうか。
NISAを利用する場合、ネット証券なら月あたり最低100円から積み立てできます。iDeCoなら5,000円から積み立てできます。
先進国株式インデックスファンドとは?
先進国株式(MSCIコクサイ インデックス) 業種別構成比と国・地域別構成比 2019年12月末現在 |
先進国株式インデックスファンドは、日本を除く先進国の株式市場の値動きに連動した成果をめざす投資信託です。
ベンチマークとして多くのファンドで採用されている「MSCIコクサイ インデックス」(円換算ベース)は北米、欧州、アジア・オセアニア、中東の22ヵ国の1,322銘柄で構成されています(2019年12月末)。
2019年12月末現在 |
先進国株式インデックスファンドでは多くの国や銘柄に分散投資できるので、個別企業の株式に集中投資する場合のように倒産により全損かそれに近い損失を被る可能性は小さいです。
ただし、世界的な金融危機が起きると評価額が半減することもあり得ます。
出典:外国株式インデックスファンド(SMTAM) 過去の実績は将来の成績を保証するものではありません |
先進国株式インデックスファンドはリーマン・ショック(2008年)前の水準を回復し、さらに上値を追っています。
いざというときに慌てないためには、やはり安全資産(預貯金や個人向け国債)の備えが欠かせないですよね。
メリットとデメリット
資産運用の基本は国内外の株式と債券への分散投資です。先進国株式インデックスファンドと安全資産(預貯金や個人向け国債)のシンプルな組み合わせでも、株式と債券、海外資産と国内資産への分散は実現可能です。
先進国株式インデックスファンドは債券を含むバランスファンドに比べると良くも悪くも値動きは大きめですから、もし資産全体の値動きを抑えたいなら投資信託への配分を控えめにして安全資産を厚めに持ちましょう。
運用資産がある程度まとまった金額になったら、定期的なリバランスを実行することも大事です。
「リバランス」 もとの資産配分よりも比率の増えた資産を売却して 比率の減っている資産に振り向ける |
1年の終わりに投資信託が値上がりして相対的にリスク資産の比率が増えていたら、投資信託を売って預貯金や個人向け国債などの安全資産を増やします。
逆に投資信託が値下がりしてリスク資産の比率が減っていたら、安全資産を崩して投資信託を買い増しします。
リスク資産と安全資産を一定の比率に保つことでリスク水準の変動を抑制します。
課税口座での売買を伴う資産配分の見直しは先延ばしにしがちですが、バンガード(世界最大級の資産運用会社)はリバランス戦略の重要性を強調しています。
・キャピタルゲインは望ましいもの(バンガード)
税負担を抑えるなら、相対的に比率の減った側の資産の積み立てを増やして、逆に相対的に比率の増えた側の資産の積み立てを減らす方法もあります。
NISAでは一度売却すると非課税投資枠の再利用ができないのでノーセルリバランスのほうがいいでしょうね。iDeCoでは運用益には課税されません。
どんな基準でインデックスファンドを選んだらいいの?
ファンド選びの基準を挙げるとしたら、運用実績が注目されがちですが、長期で運用するならコストと資産規模も大事です。途中で繰上償還されては困りますよね。2020年1月20日現在 過去の実績は将来の成績を保証するものではありません |
上の表のインデックスファンドは、どれも購入時や解約時の手数料はありません。つみたてNISAやiDeCoの投資信託はノーロード(購入時手数料なし)です。
運用管理費用(信託報酬)は、ファンドを保有している間、継続的にかかる費用です。
『<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド』の運用管理費用は、2020年2月21日より税抜0.0930%に引き下げられる予定です(PDF)。
最低水準の運用コストをうたった『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』も対抗引き下げに動くものと思われます。
『<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド』(ニッセイAM)、『たわらノーロード 先進国株式』(アセマネOne)、『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』(三菱UFJ国際投信)はこれまでに複数回、信託報酬率を引き下げた実績があります。
今回、取り上げた投資信託は、為替変動リスクを軽減するための為替ヘッジは原則として行いません。信託期間は無期限です。
為替ヘッジつき先進国株式インデックスファンドについては下の記事を参考にしてください。
・マイルドな値動きが魅力? スリム先進国株式やニッセイ外国株式と実績比較『インデックスファンド海外株式ヘッジあり』信託報酬0.16%に引き下げ!
ちなみに、つみたてNISA対象商品は信託報酬の低廉なことも条件の一つですが、「つみたてNISA早わかりガイドブック」(金融庁)では信託報酬率の違いによるリターンの差を試算しています。
Lesson5 手数料について学ぼう! 出典:金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック」 https://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/about/tsumitate/guide/index.html |
上記は信託報酬率が1.5%の投資信託と2.5%の投資信託に100万円を投資した場合の20年間のリターンの差を試算したものです。
信託報酬控除前のリターンが4.5%と仮定すると20年で約33万円の差がつきます。
まとめ
世界経済の成長を取り込みつつ、なるべくシンプルにということであれば、先進国株式インデックスファンドと預貯金や個人向け国債などの安全資産を組み合わせるのがわかりやすいかもしれませんね。先進国株式インデックスファンドの組入国の1位はアメリカで全体の7割近くを占めているので(2019年12月末時点)、ニュースでアメリカの株価や円とドルの為替相場を見れば、それなりに値動きが想像できるのも利点でしょうか。
下記のグラフは世界的な金融危機であるリーマン・ショックを含む過去15年の一括投資と積立投資(毎月1万円)の先進国株式(MSCIコクサイ インデックス)の成績です。
15年(2005年1月~2019年12月) 過去の実績は将来の成績を保証するものではありません |
上記の試算は、大和投資信託の「iツール」のドルコスト平均法シミュレーションを利用しています。過去のデータは将来の運用成績を保証するものではない点に注意してください。
一般的には運用期間が長くとれる一括投資のほうが積立投資より合理的と言われていますが、まとまった投資資金を最初から用意するのは難しいですよね。
仮に用意できたとしても、大きな金額を投資した直後に相場が急落するようなことがあったら、冷静ではいられず損失を抱えたまま撤退することにもなりかねないです。
資産運用には山や谷がつきものなので、運用を長く続けるためにも預貯金等の安全資産や生活防衛資金もしっかりと確保しておきたいです。
積立投資の場合、基準価額が下がっているときは、より多くの口数を購入するチャンスでもありますが、冷静な判断力を保つためには預貯金の備えが大事ですよね。
出典:金融庁「つみたてNISA早わかりガイドブック」 4ページより http://www.fsa.go.jp/policy/nisa2/assets/pdf/tsumitate_guidebook.pdf |
つみたてNISAは少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。詳細は金融庁のWEBサイトで解説されています。
・「107歳まで生きる時代」に必要な投資の心得(NIKKEI STYLE マネー研究所)
・積立投資を学ぶ(大和投資信託)
ネット証券は利便性の高さが魅力
楽天証券では投資信託をスポット購入でも積み立てでも100円から購入可能です。また楽天グループの「楽天スーパーポイント」(期間限定ポイントは除く)でも投資信託を購入できます。少額かつポイントでお試しできるなら、投資が身近になりますね。手軽に投資できるようになっても将来の運用成績までは保証してくれないので、結果については自己責任という原則は忘れないようにしたいです。
NISAと違ってiDeCo(個人型確定拠出年金)は金融機関ごとに商品ラインナップが異なっているので、事前の確認が必要です(手数料にも差があります)。
iDeCoには毎年の所得税や住民税が軽減されるメリットもあります。iDeCo公式サイト「かんたん税制優遇シミュレーション」で軽減額を計算できます。
SBI証券(SBI証券 iDeCo)は商品数の豊富さが特徴です。
2018年11月1日から新プラン「セレクトプラン」が導入されます。
・eMAXIS Slimにも投資可能!SBI証券の個人型確定拠出年金(iDeCo)に新プラン登場 商品ラインナップと主な商品の実績は?
おすすめ記事
主要な資産のリーマン・ショックを含む期間の積立投資の成績は下の記事を参考にしてください。・国内株式・先進国株式・新興国株式・8資産均等型の金融危機を含む過去15年間、毎月1万円の積立投資の成果(評価額)は?
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