『iFree 8資産バランス』への投資をためらう理由 新興国株式の実質コストが予想外に高い可能性あり

2016年10月3日月曜日

8資産均等型 新興国株式

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サルバドール旧市街写真
サルバドール旧市街(ブラジル)

※ 記事の最後に新しいデータを追記しました(2017年9月7日)。

2016年9月から『iFree 8資産バランス』と『eMAXIS バランス(8資産均等型)』の2本の投資信託に投資をしています。

信託報酬の安い『iFree 8資産バランス』1本にしぼり切れないのは設定から間もないことも理由の一つですが、それだけでなく新興国株式部分の運用成績と実質コストに不安があるためです。

iFreeの新興国株式のベンチマークは特殊?

新興国株式のベンチマークで一般的なのは「MSCI エマージング・マーケット・インデックス」ですが、『iFree』はファンダメンタル(株主資本、キャッシュフロー、売上、配当)に着目した「FTSE RAFI エマージング インデックス」を採用しています。

「MSCI」が23か国、830銘柄以上を対象としているのに対し、スマートベータの「FTSE RAFI」は13か国、350銘柄程度と対象がしぼられていてブラジルと中国の割合が高めです(2016年9月末現在)。

2016年9月末の月次レポートより

上の表は『iFree 8資産バランス』と『eMAXIS バランス(8資産均等型)』の新興国株式部分とマザーファンドを共有しているインデックスファンド(※)の国・地域別構成と業種別構成を比較したものです。

※ 『iFree 新興国株式インデックス』と『eMAXIS 新興国株式インデックス』

新興国株式の成績比較

『iFree 新興国株式インデックス』は運用期間が短いのでマザーファンドを共有している別のファンドを比較の対象にしました。下の表は『DCダイワ新興国株式ファンダメンタル・インデックスファンド』と『eMAXIS 新興国株式インデックス』の運用成績を比較したものです。

DCダイワ新興国株式ファンダメンタル・インデックスファンドとeMAXIS 新興国株式インデックスのコストと成績比較表
2016年9月30日現在

「FTSE RAFI エマージング インデックス」をベンチマークに採用する『DCダイワ新興国株式ファンダメンタル・インデックスファンド』は過去1年の成績は好調です。

ただし過去5年の騰落率では「MSCI エマージング・マーケット・インデックス」を採用する『eMAXIS 新興国株式インデックス』に大幅に劣後しています。

また『DCダイワ新興国株式ファンダメンタル・インデックスファンド』は信託報酬と実質コストの開きが大きいのも気になります。

コスト比較

下の表はそれぞれの交付運用報告書から1万口当たりの費用明細について抜粋したものです。

DCダイワ新興国株式ファンダメンタル・インデックスファンドとeMAXIS 新興国株式インデックスの1万口当たりの費用明細

『DCダイワ新興国株式ファンダメンタル・インデックスファンド』は『eMAXIS 新興国株式インデックス』にくらべ売買委託手数料とそれに伴う有価証券取引税の比率も高いですが、それ以上にその他費用がかさんでいるのがわかります。

その他費用のうち保管費用は有価証券等を海外で保管するのに海外の保管機関に支払う費用、監査費用はファンドの監査にかかる費用、その他は信託事務処理にかかる費用です。

費用がかさんでいる理由の一端は『DCダイワ新興国株式ファンダメンタル・インデックスファンド』の純資産総額が小さすぎる(約7億円)ためかもしれませんね。

まとめ

交付目論見書によると、『iFree 8資産バランス』に含まれる新興国株式も、『DCダイワ新興国株式ファンダメンタル・インデックスファンド』と同じ「ダイワ新興国株式ファンダメンタル・インデックス・マザーファンド」に投資しています。

そのため見かけ上の信託報酬は安くても実質コストが高い可能性があります

マザーファンドの規模を大きくしないと実質コストを引き下げるのは難しいと思われますが、アメリカの利上げの影響もあり新興国株式に以前ほど人気がない状況では資金の流入も期待薄でしょうか。

追記

新興国株式インデックスファンド費用明細

下の表は、『iFree 8資産バランス』と『eMAXIS バランス(8資産均等型)』の新興国株式部分とマザーファンドを共有している新興国株式インデックスファンドの交付運用報告書から1万口当たりの費用明細について抜粋したものです。

『iFree 新興国株式インデックス』は1年間ではなく、およそ10カ月間のものである点に注意してください。

iFree 新興国株式インデックスとeMAXIS 新興国株式インデックスの1万口当たりの費用明細

『iFree 新興国株式インデックス』は信託報酬以外に諸経費がかさんでいるのが目につきますね。特にその他費用の中の保管費用が高めです。マザーファンドの規模の小ささがやはり一因かもしれませんね。

『iFree 8資産バランス』の交付運用報告書が公開されたら、また改めて記事にしたいと思います。


iFree6ファンドの信託報酬引き下げ

『iFree』シリーズのうち6ファンドの運用管理費用(信託報酬率)の引き下げ(PDF)が発表されました。『iFree 8資産バランス』の信託報酬(年率)も2017年10月2日より以前の税抜0.23%から税抜0.22%に引き下げられます。

『eMAXIS バランス(8資産均等型)』より信託報酬の引き下げられた『eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)』(年率で税抜0.22%)への対抗措置だと思われます。

『eMAXIS Slim』シリーズには新興国株式インデックスファンドも設定されていて、『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』の信託報酬(年率)は『iFree 新興国株式インデックス』と同率の税抜0.34%です。



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