信託報酬率の引き下げられた(PDF)『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』の実質コストや運用実績を米国株式および全世界株式インデックスファンドやバランスファンドと比較してみました。
株式市場の急落が続く中、それぞれの値動きは?
eMAXIS Slim 先進国株式インデックス |
先進国株式、米国株式、全世界株式、バランスの特徴
『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』(三菱UFJ国際投信)は、日本を除く先進国の株式市場を対象にした「MSCIコクサイ・インデックス」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。ベンチマークの指数は北米、欧州、アジア・オセアニア、中東の先進国22ヵ国の大型株と中型株1,320銘柄で構成されています(2020年2月末現在)。
運用管理費用(年率)は前述の通り2020年3月17日より税込0.10615%(税抜0.0965%)以内から税込0.1023%(税抜0.093%)以内に引き下げられました。
MSCIコクサイ・インデックス 業種別構成比と国別構成比 2020年2月末現在 |
『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』(三菱UFJ国際投信)は、米国株式市場の時価総額のおよそ8割を占める大型株約500銘柄を対象とした「S&P500指数」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。
運用管理費用(年率)は税込0.0968%(税抜0.088%)以内です。
S&P500指数 業種別構成比 2020年2月末現在 |
『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』(三菱UFJ国際投信)は、日本を含む世界の株式市場を対象にした「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。
ベンチマークの指数は先進国と新興国を合せた49ヵ国の大型株と中型株3,044銘柄で構成されています(2020年2月末現在)。
運用管理費用(年率)は税込0.1144%以内(税抜0.104%以内)です。
MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス 業種別構成比と国・地域別構成比 2020年2月末現在 |
『eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)』(三菱UFJ国際投信)は日本を含む世界の株式、債券、REIT(不動産投資信託証券)に分散投資します。
運用管理費用(年率)は税込0.154%(税抜0.140%)以内です。
基本投資割合 |
今回、取り上げた投資信託は、原則として為替変動リスクを回避するための為替ヘッジは行いません。信託期間は、すべて無期限です。
先進国株式、米国株式、全世界株式、バランスの実質コスト
少数第3位未満は四捨五入しています |
運用管理費用(信託報酬)以外に売買委託手数料や有価証券取引税、その他費用(保管費用、監査費用等)を含めたものが実質コストになります。
上記の数字は推計による概算値であることに注意してください。
『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』の実質コスト(年率 0.178%)は第2期(2018年4月26日~2019年4月25日)の運用報告書(PDF)の1万口当たりの費用明細に2020年3月17日引き下げ後の信託報酬率を当てはめています。
信託報酬以外の諸経費 0.076% + 信託報酬 0.102%(※)= 0.178%
※受益者還元型の信託報酬は純資産総額630.40億円で計算(500億円未満の部分 税込0.102300%、500億円以上1,000億円未満の部分 税込0.100595%)
『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』の実質コスト(年率 0.177%)は、第1期(2018年7月3日~2019年4月25日)の運用報告書(PDF)の1万口当たりの費用明細の信託報酬以外の諸経費を1年(365日)相当に改めて、現時点の信託報酬率を当てはめています。
信託報酬以外の諸経費 0.065% ×(365日 ÷ 第1期の日数 297日)+ 信託報酬 0.097% (※)= 0.177%
※受益者還元型の信託報酬は純資産総額540.58億円で計算(500億円未満の部分 税込0.0968%、500億円以上1,000億円未満の部分 税込0.09625%)
『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』の実質コスト(年率 0.211%)は、第1期(2018年10月31日~2019年4月25日)の運用報告書(PDF)の1万口当たりの費用明細の信託報酬以外の諸経費を1年相当に改めて、現時点の信託報酬率を当てはめています。
信託報酬以外の諸経費 0.047% ×(365日 ÷ 第1期の日数 177日)+ 信託報酬 0.114% = 0.211%
『eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)』の実質コスト(年率 0.220%)は第2期(2018年4月26日~2019年4月25日)の運用報告書(PDF)の1万口当たりの費用明細の信託報酬以外の諸経費に現時点の信託報酬率を当てはめています。
信託報酬以外の諸経費 0.066% + 信託報酬 0.154% = 0.220%
先進国株式、米国株式、全世界株式、バランスの運用実績
下のチャートは、基準価額の推移を最後発の『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』設定来1年4ヵ月半強の期間(2018年10月31日~2020年3月17日)で比べたものです。比較しやすいよう起点の基準価額を1万円に統一しています。
基準価額の推移 2018年10月31日~2020年3月17日 過去の実績は将来を保証するものではありません |
騰落率の比較は下の表の通りです(2020年3月17日)。
調整局面の下落率は2020年2月21日~同3月17日の数字と2018年12月4日~同25日の数字、設定来騰落率は1年4ヵ月半強の数字です。
2020年3月17日現在 過去の実績は将来を保証するものではありません |
少し前までは好調なREITに支えられて『eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)』はバランスファンドの中でも堅調な成績だったのですが、マーケットが荒れ模様になって株式だけでなくREITも売られています。
・「【インデックス投資】国内外の株式、債券、REIT、バランスで昨年末比が唯一プラスなのは?」「【つみたてNISA】楽天・全世界株式/全米株式の積立投資の評価額の推移」ほか
ただ、債券を含む分、『eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)』は先進国株式インデックスファンド等よりは相対的に下げ幅が控えめです。
まとめ 株安の一方でネット証券の投信の積立額は増加
新型肺炎の流行拡大で各国で入国制限が行われるなど経済活動の停滞が深刻です。景気後退懸念も強まっていて世界の株安が加速しています。・NYダウ急落、過去最大の下げ幅 2997ドル安(日本経済新聞)
・波乱の相場の乗り切り方 (ピクテ投信)
その一方で株価下落を好機と見る個人投資家の投信の積立額が増加しているというニュースもあります。
NISAやiDeCoといった非課税制度、インデックスファンドの低コスト化やネット証券の利便性向上など投資環境の改善は進んでいます。
・SBIや楽天、投信の積立額が増加 株価下落で個人が開始(日本経済新聞)
世界最大級の運用会社バンガードは、市場を長期的視点で見ると「世界的な強気相場によるリターンは弱気相場の損失を補って余りある」と述べています(バンガード「終わりのない弱気相場はない」より)。
出典:バンガード「終わりのない弱気相場はない」 |
先行きが不透明だと不安にかられがちですが、リスク許容度に応じた無理のない範囲で運用を続けていければと思います。
グローバル株式と債券への異なる資産配分による ベスト、ワースト、平均リターン 1988年~2013年 出典:バンガード「バンガードの4つの基本原則」 |
・日本の投資家の皆さまが成功する投資家になるためのバンガードの4つの基本原則(バンガード)
・波乱相場こそ 長期積み立て投資が強みを発揮(NIKKEI STYLE)
『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』とライバルの先進国株式インデックスファンドの比較は下の記事を参考にしてください。
・信託報酬0.093%に引き下げ!『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』ライバル(ニッセイ、たわらノーロード)も手強い? 実質コスト、運用実績、積立投資の成績を比較・評価
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・債券で値動きをマイルドに『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』『同 先進国債券インデックス』半分ずつ投資した実績を評価
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