運用報告書の公表された「eMAXIS Slim」シリーズのうちバランスファンドと全世界株式インデックスファンドの特徴や実質コスト、運用実績について比較してみました。
比較の対象は『eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)』、『eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)』、『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』、『eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)』です。
今回、取り上げた投資信託は、つみたてNISA対象商品です。つみたてNISAは少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度です。
制度の詳細は金融庁のWEBサイトで解説されています。
8資産均等型と全世界株式の特徴
『eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)』は、世界の株式、債券、REIT(不動産投資信託証券)に分散投資します。投資信託を保有中の運用管理費用(年率)は税抜0.140%(税込0.1512%)です。
基本投資割合 |
『eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)』は、日本を含む先進国と新興国の株式市場の値動きに連動した投資成果をめざします。
運用管理費用(年率)は税抜0.142%(税込0.15336%)です。
eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型) 基本投資割合 |
『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』は、日本を含む先進国と新興国の株式市場の値動きに連動した投資成果をめざします。
運用管理費用(年率)は税抜0.142%(税込0.15336%)です。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー) 2019年5月末月報より |
『eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)』は、日本を除く先進国と新興国の株式市場の値動きに連動した投資成果をめざします。
運用管理費用(年率)は税抜0.142%(税込0.15336%)です。
eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本) 2019年5月末月報より |
今回、取り上げた投資信託は原則として外貨建資産の為替ヘッジは行いません。信託期間はすべて無期限です。
8資産均等型と全世界株式の実質コスト
小数第3位未満は四捨五入しています |
『eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)』の実質コスト(0.217%)は、第2期運用報告書の「1万口当たりの費用明細」に最新の信託報酬率を当てはめています。
『eMAXIS Slim 全世界株式』3種は、第1期運用報告書の決算期間が1年を超えていたり1年より短かったりするので、「1万口当たりの費用明細」に記載された信託報酬をもとに1年相当の実質コストを推計しています。
新興国比率の高い『eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)』の実質コスト(0.242%)が、『同(オール・カントリー)』(0.253%)や『同(除く日本)』(0.246%)を下回っているのは意外感があるでしょうか。
『eMAXIS Slim 全世界株式(3地域均等型)』は国内株式も資産構成の3分の1を占めているので相殺されているのでしょうね。
『たわらノーロード 全世界株式』が2019年7月22日に設定されることが発表されました(PDF)。運用管理費用(信託報酬)は税抜0.12%(税込0.1296%)です。
競合の登場で「eMAXIS Slim」シリーズの全世界株式インデックスファンドも信託報酬率の引き下げが期待できそうですね。
「たわらノーロード」シリーズの先進国株式インデックスファンドは、信託報酬以外の諸経費が低廉なので信託報酬が同率でも手ごわいライバルになるかもしれないですね。
ただ、『たわらノーロード 全世界株式』は国内株式のマザーファンドが新設定なのと純資産総額が順調に成長するのかどうかが気になるところです。
8資産均等型と全世界株式の運用実績
下のチャートは、最後発の『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』設定来8ヵ月強(2018年10月31日~2019年7月5日)の期間で基準価額の推移を比べたものです。比較しやすいよう起点の基準価額を1万円に統一しています。貿易摩擦や景気減速懸念などにより株価の変動が激しくなっています。
基準価額の推移 2018年10月31日~2019年7月5日 過去の実績は将来の成績を保証するものではありません |
騰落率の比較は下の表の通りです(2019年7月5日現在)。
2019年7月5日現在 過去の実績は将来の成績を保証するものではありません |
やはり債券を含む『eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)』のほうが値動きが穏やかですね。
基準価額の変動が大きい全世界株式インデックスファンドに投資するなら、預貯金等の安全資産を厚めに持っておきたいです。
eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)と楽天・全世界株式インデックス・ファンドの実質コストと運用実績の比較は下の記事を参考にしてください。
こちらは信託報酬ではなく日数にもとづいて実質コスト(年率)を推計しています。
・『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』実質コストや運用実績を楽天・全世界株式と比較・評価 第1期運用報告書が公表
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