第3期の運用報告書が公表された『たわらノーロード 新興国株式』の実質コストと運用実績を競合と比較してみました。
比較の対象は『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』と『iFree 新興国株式インデックス』です。
たわらノーロード 新興国株式ほか特徴
『たわらノーロード 新興国株式』と『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』は新興国の株式市場を対象にした「MSCI エマージング・マーケット・インデックス」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。2018年11月末月報より |
2018年11月末月報より |
『iFree 新興国株式インデックス』は、ファンダメンタル(株主資本、キャッシュフロー、売上、配当)に着目した「FTSE RAFI エマージング インデックス」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。
2018年11月末時点で、同指数の構成国は13ヵ国と少なめです(「MSCI エマージング・マーケット・インデックス」は24ヵ国)。
組入銘柄数は外国投資証券1、外国株式 先物1を含む 2018年11月末月報より |
米国は外国投資証券や外国株式 先物 2018年11月末月報より |
今回、取り上げた投資信託は為替変動リスクを回避するための為替ヘッジは原則として行いません。信託期間は無期限です。
たわらノーロード 新興国株式ほか実質コスト
項目ごとに小数第3位未満は四捨五入 |
上記は運用報告書から1万口当たりの費用明細を抜粋したものです。
『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』は第1期(2017年7月31日~2018年4月25日)の1万口当たりの費用明細を1年相当に改めて、2018年7月25日変更後の信託報酬率を当てはめています。
『たわらノーロード 新興国株式』の第3期の実質コストは0.647%です。『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』(同 0.389%)に比べると、信託報酬も信託報酬以外の諸経費も割高です。
『iFree 新興国株式インデックス』(同 0.778%)は『たわらノーロード 新興国株式』と信託報酬は同水準ですが、その他費用(特に保管費用)がかさんでいます。
たわらノーロード 新興国株式ほか運用実績
下のグラフは『たわらノーロード 新興国株式』と『iFree 新興国株式インデックス』の過去およそ2年間(2016年11月末~2018年11月末)の基準価額の推移です。基準価額の推移(月末ベース) 過去の実績は将来の成績を保証するものではありません |
『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』も含めた騰落率の比較は下の表の通りです(2018年12月12日現在)。
2018年12月12日現在 過去の実績は将来の成績を保証するものではありません |
米国の利上げや米中貿易戦争などにより、最近の新興国の株式市場は下落基調でした。
『たわらノーロード 新興国株式』の騰落率は、信託報酬の引き下げに積極的な『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』に劣後しています。
ファンダメンタルに着目した指数を採用した『iFree 新興国株式インデックス』は、過去6ヵ月、過去1年の騰落率ではライバルよりマイナス幅が控えめです。
まとめ
信託報酬が割高なこともあり『たわらノーロード 新興国株式』の実質コストは0.647%と、ライバルの『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』(同 0.389%)に比べ見劣りします。ベンチマークの指数を同じくする『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』に対しては、運用実績の面でも不利は否めないようです。ファンダメンタル重視の『iFree 新興国株式インデックス』に対しては過去2年の騰落率では上回っているものの、過去6ヵ月、過去1年の騰落率では劣後しています。
『たわらノーロード 新興国株式』の純資産総額(2018年12月12日現在 47.84億円)は、後発の『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』(同 106.44億円)に追い抜かれ大差をつけられています。
こぼれ話
MSCIの新興国株指数に中国本土上場の人民元建て株式(中国A株)が組み入れられることになりました。2018年11月末現在、「MSCI エマージング・マーケット・インデックス」は1,150銘柄で構成されています。
ライバルの『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』が1,140銘柄を組み入れているのに対し、『たわらノーロード 新興国株式』は988銘柄にとどまります(2018年11月末現在)。
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