第3期(2020年7月15日決算)の運用報告書が公表された『楽天・新興国株式インデックス・ファンド』(愛称:楽天・バンガード・ファンド(新興国株式))の実質コストや運用実績を新興国株式インデックスのライバルと比較してみました。
比較の対象は『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』です。
楽天・新興国株式インデックス・ファンドほか特徴
『楽天・新興国株式インデックス・ファンド』(楽天投信投資顧問)は、新興国の株式市場を対象にした「FTSEエマージング・マーケッツ・オールキャップ(含む中国A株)・インデックス」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。ベンチマークの指数は新興国24ヵ国の大型株、中型株、小型株を組み入れています。
一般的な新興国株式インデックスファンドに採用されているMSCIのエマージング指数と違い、FTSEでは韓国とポーランドは新興国ではなく先進国に区分されています。
投資信託を保有中の運用管理費用(年率)は税込0.232%程度です。
『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』(三菱UFJ国際投信)は、新興国の株式市場を対象にした「MSCI エマージング・マーケット・インデックス」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。
ベンチマークの指数は新興国26ヵ国の大型株と中型株を組み入れています。
運用管理費用(年率)は税込0.2079%以内ですが、2020年9月25日より税込0.187%以内に引き下げられる予定です。
今回、取り上げた投資信託は原則として為替ヘッジは行いません。信託期間は無期限です。
楽天・新興国株式、eMAXIS Slim 新興国株式の実質コスト
新興国株式インデックスファンドも運用管理費用(信託報酬)の低下が著しいとはいえ、先進国株式インデックスファンドに比べると諸経費がかさみがちで若干コストが高めですね。
上記の数字は推計による概算値であることに注意してください。
信託報酬以外に売買委託手数料や有価証券取引税、その他費用(保管費用、監査費用等)を含めたものが実質コストになります。
『楽天・新興国株式インデックス・ファンド』の実質コスト(年率 0.358%)は、第3期(2019年7月17日~2020年7月15日)の運用報告書(PDF)の1万口当たりの費用明細の合計に実質的な投資対象である投資信託証券の報酬(VWO 経費率0.10%)を加えています。
費用明細の合計 0.258% + VWOの経費 0.100% = 0.358%
『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』の実質コスト(年率 0.404%)は、第3期(2019年4月26日~2020年4月27日)の運用報告書(PDF)の1万口当たりの費用明細の信託報酬以外の諸経費を1年(365日)相当に改めて、2020年9月25日引き下げ後の信託報酬を加えています。
信託報酬以外の諸経費 0.219%×(365日 ÷ 第3期の日数 368日)+ 信託報酬 0.187% = 0.404%(少数第3位未満は四捨五入)
楽天・新興国株式、eMAXIS Slim 新興国株式の運用実績
下のチャートは『楽天・新興国株式インデックス・ファンド』設定来およそ2年10ヵ月の期間で基準価額の推移(2018年11月17日~2020年9月17日)を比べたものです。比較しやすいよう起点の基準価額を1万円に統一しています。
騰落率の比較は下記の通りです(2020年9月17日現在)。
調整局面の上昇率は2020年3月19日(eMAXIS Slimは同24日)~同年9月17日の数字、下落率は2020年2月20日~同年3月19日(eMAXIS Slimは同24日)の数字、設定来騰落率は約2年10ヵ月の数字です。
『楽天・新興国株式インデックス・ファンド』は新興国の幅広い銘柄に投資できるのは魅力ですが、つみたてNISA対象商品にはなっておらず純資産総額がまだ小さいのが惜しいですね。
新興国の株式市場は先進国よりも規模が小さいので投資資金の流出入にともなって値動きが大きくなりがちです。
値動きの激しさについていけるか心配なら、全世界株式インデックスファンドやバランスファンドでまとめて投資するのも一案かもしれませんね。
・『楽天・全世界株式』『楽天・インデックス・バランス』『楽天・全世界債券』コロナショック下の株式と債券の比率による値動きの違いを比較・評価
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