第3期(2020年7月15日決算)の運用報告書が公表された『楽天・全米株式インデックス・ファンド』(愛称:楽天・バンガード・ファンド(全米株式))の実質コストや運用実績を米国株式インデックスのライバルと比較してみました。
比較の対象は『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』です。
・バンガード日本撤退、日本の個人投資家への影響は?投資信託、ETFは大丈夫?(楽天証券トウシル)
結論から申し上げると、現存するETFや投資信託については、現在と変わりなく今後も海外拠点にて運用が継続されるため、心配の必要はありません。
今回閉鎖が決まった日本拠点のバンガード・インベストメンツ・ジャパンには、元から運用拠点としての機能はなかったためです。
良質なコンテンツの豊富な日本語WEBサイトが閉鎖予定なのは残念ですが、バンガードの関連ファンドの運用に支障はないとのことです。
楽天・全米株式、eMAXIS Slim 米国株式の特徴
『楽天・全米株式インデックス・ファンド』(楽天投信投資顧問)は、米国株式市場の投資可能な銘柄のほぼ100%をカバーした「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。投資信託を保有中の運用管理費用(年率)は税込0.162%程度です。
2020年7月末現在(同年8月末月報より) |
『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』(三菱UFJ国際投信)は、米国株式市場の時価総額のおよそ8割を占める大型株約500銘柄を対象にした「S&P500指数」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。
運用管理費用(年率)は税込0.0968%以内です。
2020年8月末月報より |
今回、取り上げた投資信託は原則として為替ヘッジを行いません。信託期間は、すべて無期限です。
楽天・全米株式、eMAXIS Slim 米国株式の実質コスト
少数第3位未満は四捨五入 |
上記の数字は推計による概算値であることに注意してください。
運用管理費用(信託報酬)以外に売買委託手数料や有価証券取引税、その他費用(保管費用、監査費用等)を含めたものが実質コストになります。
『楽天・全米株式インデックス・ファンド』の実質コスト(年率 0.209%)は、第3期(2019年7月17日~2020年7月15日)の運用報告書(PDF)の1万口当たりの費用明細の合計に実質的な投資対象である投資信託証券の報酬(VTI 経費率0.03%)を加えています。
費用明細の合計 0.179% + VTIの経費 0.030% = 0.209%
『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』の実質コスト(年率 0.140%)は、第2期(2019年4月26日~2020年4月27日)の運用報告書(PDF)の1万口当たりの費用明細の信託報酬以外の諸経費を1年(365日)相当に改めて、現時点の信託報酬を加えています。
信託報酬以外の諸経費 0.044% ×(365日 ÷ 第2期の日数 368日)+ 信託報酬 0.0962% (※)= 0.140%(少数第3位未満四捨五入)
※受益者還元型の信託報酬は純資産総額1,568.09億円で計算(500億円未満の部分 税込0.0968%、500億円以上1,000億円未満の部分 税込0.09625%、1,000億円以上の部分 税込0.0957%)
楽天・全米株式、eMAXIS Slim 米国株式の運用実績
下のチャートは後発の『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』設定来2年2ヵ月半弱の期間で基準価額の推移(2018年7月3日~2020年9月16日)を比べたものです。比較しやすいよう起点の基準価額を1万円に統一しています。コロナショックで基準価額の変動が激しいです。
基準価額の推移 2018年7月3日~2020年9月16日 過去の実績は将来を保証するものではありません |
騰落率の比較は下の表の通りです(2020年9月16日現在)。
調整局面の上昇率は2020年3月24日~同年9月16日の数字、下落率は2020年2月21日~同年3月24日の数字、設定来騰落率は2年2ヵ月半弱の数字です。
2020年9月16日現在 過去の実績は将来を保証するものではありません |
『楽天・全米株式インデックス・ファンド』の実質的な投資対象である「バンガード・トータル・ストック・マーケットETF」(VTI)は日本の投資信託より遥かに規模が大きい(ETF純資産総額1,662億米ドル/2020年8月31日現在)ですから、その意味では安心感があるでしょうか。
『楽天・全米株式インデックス・ファンド』は中小型株を幅広く含む分、『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』より良くも悪くも値動きが若干大きめのようです。小型株効果に期待する向きもあるかとは思いますが、時価総額の小さな中小型株の比率は限定的なので『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』と値動きに大差はつきにくいかもしれませんね。
信託報酬の引き下げが功を奏したのか、純資産総額は後発の『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』が逆転しています。今は好調な米国株式がブームのようになっているものの、冬の時代が来ても純資産が成長を続けられるのかが将来の課題になりそうですね。
・米国株か?世界株か?(ピクテ投信)
旬の株式市場は入れ替わってきた 出典:米国株か?世界株か?(ピクテ投信) |
『楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド』と『楽天・全米株式インデックス・ファンド』の実質コストと運用実績の比較は下の記事を参考にしてください。
・『楽天・米国高配当株式インデックス・ファンド』第3期の実質コストやコロナ禍の運用実績を楽天・全米株式と比較・評価
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