信託報酬率の引き下げを積極的に実施している『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』と『<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド』の実質コストや運用実績を比較してみました。
直近では『<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド』の信託報酬(年率)は2020年2月21日より税込0.10989%(税抜0.0999%)から税込0.10230%(税抜0.0930%)へと引き下げられました(PDF)。
『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』も2020年3月17日より税込0.10615%(税抜0.0965%)以内から税込0.10230%(税抜0.0930%)以内へと引き下げが予定されています(PDF)。
先進国株式インデックスファンドの特徴
『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』(三菱UFJ国際投信)と『<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド』(ニッセイAM)は、日本を除く先進国の株式市場を対象にした「MSCIコクサイ・インデックス」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。ベンチマークの指数は北米、欧州、アジア・オセアニア、中東の22ヵ国の大型株と中型株1,320銘柄で構成されています(2020年2月末現在)。
MSCIコクサイ・インデックス 業種別構成比と国別構成比 2020年2月末現在 |
今回、取り上げた投資信託は、原則として為替変動リスクを回避するための為替ヘッジは行いません。信託期間は、どちらも無期限です。
先進国株式インデックスファンドの実質コスト
少数第3位未満は四捨五入しています |
信託報酬(運用管理費用)以外に売買委託手数料や有価証券取引税、その他費用(保管費用、監査費用等)を含めたものが実質コストになります。
上記の数字は推計による概算値であることに注意してください。
『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』の実質コスト(年率 0.178%)は第2期(2018年4月26日~2019年4月25日)の運用報告書(PDF)の1万口当たりの費用明細に2020年3月17日引き下げ後の信託報酬率を当てはめています。
信託報酬以外の諸経費 0.076% + 信託報酬 0.102%(※)= 0.178%
※受益者還元型の信託報酬は純資産総額747.88億円で計算(500億円未満の部分 税込0.102300%、500億円以上1,000億円未満の部分 税込0.100595%)
『<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド』の実質コスト(年率 0.162%)は、第6期(2018年11月21日~2019年11月20日)の運用報告書(PDF)の1万口当たりの費用明細に現時点の信託報酬率を当てはめています。
信託報酬以外の諸経費 0.060% + 信託報酬 0.102% = 0.162%
先進国株式インデックスファンドの運用実績
下のチャートは、後発の『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』設定来3年強の基準価額の推移(2017年2月27日~2020年3月9日)を『<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド』と比べたものです。起点の基準価額を1万円に統一しています。ほぼ重なっています。
基準価額の推移 2017年2月27日~2020年3月9日 過去の実績は将来を保証するものではありません |
両者の基準価額のひらき具合(差額)を示したのが下のチャートになります。
『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』のほうがより頻繁に信託報酬率の引き下げを実施していたこともあり、僅差ではありますが『<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド』に徐々に差をつけています。
基準価額の差額 2017年2月27日~2020年3月9日 過去の実績は将来を保証するものではありません |
騰落率の比較は下の表の通りです(2020年3月9日現在)。
下落率は2020年2月21日~2020年3月9日の数字、設定来騰落率は3年強の数字です。
2020年3月9日現在 過去の実績は将来を保証するものではありません |
前述の通り『<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド』の信託報酬(年率)は2020年2月21日より税込0.10989%から税込0.10230%へと引き下げられました。
『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』も2020年3月17日より税込0.10615%以内から税込0.10230%以内へと引き下げが予定されています。ただ、引き下げ幅は極小なので、運用実績に与える影響は限定的かもしれませんね。
・ドル・円、フラッシュクラッシュ以来の大幅急落 一時101円57銭(ブルームバーグ)
株式市場だけでなく為替相場も荒れ模様になっています。セリング・クライマックスはまだ先とも言われていますし、しばらくはボラティリティの高い状態が続きそうですね。
・投資環境の見通し(2020年3月号)「マクロシナリオの再検討」(PDF/三井住友DSアセットマネジメント)
中国の経済活動の回復が期待される一方で、米日欧の消費の落ち込みが懸念されています。
やや長い目で見れば、不透明感がやわらげば米国を中心にした先進国債券に殺到している投資資金がリスク資産へと戻る余地が大きくなっているとも。
・When you sell during a panic you may miss the market’s best days(CNBC)
それがいつになるのか正確な予想は困難ですから、反転のタイミングを逃したくなければ無理のない範囲で運用を継続してマーケットに居続けるしかないのでしょうね。
世界最大級の運用会社バンガードは、市場を長期的視点で見ると「世界的な強気相場によるリターンは弱気相場の損失を補って余りある」と述べています(バンガード「終わりのない弱気相場はない」より)。
出典:バンガード「終わりのない弱気相場はない」 |
投資に関して見失いがちなもう一つの事実は、弱気相場には終わりが来るということ、そしてチャートが示すように、弱気相場を耐え忍んだ投資家は、その忍耐強さが報われてきたということです。
バンガードはさらに、短期的な損失を避けようとしてポートフォリオを入れ替えたとしても成功する見込みは薄く、むしろ長期的な運用実績を損なう可能性があると注意を促してもいます。
2000年から2018年にかけて、S&P 500インデックスは、複利ベースで年率4.86%のリターンを実現しました。しかし同期間中で最もリターンの高かった10日間を除くと、S&P 500インデックスの年複利リターンはわずか1.10%です。最もリターンの高かった25日間を除けば、年複利リターンは-2.43%になります。投資を継続することは重要です。
・新型コロナウイルスがもらたらすマーケットの動揺について(日興AM)
・波乱相場こそ 長期積み立て投資が強みを発揮(NIKKEI STYLE)
国内外の債券と先進国株式の比較は下の記事を参考にしてください。
・債券インデックスファンドは株安の救世主になれる? 国内・先進国・新興国債券を先進国株式と比較 リターン・リスク水準も評価
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