『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』(三菱UFJ国際投信)の運用実績をレバレッジ型投信と比較してみました。
比較の対象は『iFreeレバレッジ S&P500』(大和AM)、『iFreeレバレッジ NASDAQ100』(大和AM)、『グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)』(日興AM)です。
『iFreeレバレッジ S&P500』と『iFreeレバレッジ NASDAQ100』は、日々の基準価額の値動きが指数(米ドルベース)の値動きの2倍程度になることをめざします(為替ヘッジあり)。
『グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)』は世界の株式、REIT、債券の3つの資産に純資産総額の3倍相当額の投資を行います。先物取引を活用した外債部分は、ほぼ為替の影響を受けません。
今回、取り上げる投資信託の中で唯一有期限だった『グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)』の信託期間は2020年12月24日付で無期限に変更されました。
スリム米国株式とレバレッジ型投信の実績(チャートと騰落率)
下のチャートは後発の『iFreeレバレッジ NASDAQ100』設定来4年強の期間(2018年10月19日~2022年10月21日)で基準価額の推移を比べたものです。比較しやすいよう起点の基準価額を1万円に統一しています。
騰落率の比較は下の表の通りです(2022年10月21日現在)。
コロナショック時の下落率は2020年2月の天井から同年3月の底までの数字、設定来の騰落率は4年強の数字です。
為替ヘッジありのレバレッジ型は円安傾向も逆風になっています。
『iFreeレバレッジ S&P500』と『iFreeレバレッジ NASDAQ100』は『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』より更に値動きが激しい分、タイミング次第で大きなリターンを獲得できる可能性がある反面、短期間のうちに大やけどを負いかねない怖さもありますね。
効率的な分散投資をうたった『グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)』も2020年のコロナショックのように金融市場が混乱している場面では急落は避けられないようです。最近は利上げで株も債券もREITも値下がりしているのが痛いですね。
・新型コロナウイルス感染拡大を受けた各資産の値動き(日興AM)
運用管理費用(年率)は『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』が税込0.0968%以内、『iFreeレバレッジ S&P500』と『iFreeレバレッジ NASDAQ100』は税込0.99%、『グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)』は税込0.484%程度です。
『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』と『iFreeレバレッジ S&P500』の積立投資の成績は下の記事を参考にしてください。
・米国株式(S&P500/NASDAQ100)インデックスファンドの積立投資の成績をレバレッジ型と比較・評価
レバレッジ型投信の注意点
『iFreeレバレッジ S&P500』と『iFreeレバレッジ NASDAQ100』は日々の基準価額の値動きがベンチマークの指数(米ドルベース)の2倍程度になることをめざしたファンドです。株式の組入総額と株価指数先物取引の買建玉の時価総額の合計額が、原則として信託財産の純資産総額の2倍程度になるように調整しています。
ファンドの保有期間が2日以上の場合の投資成果は、通常「2倍程度」にはなりません。
レバレッジ型は、一般的には時間の経過とともに指数とのかい離が拡大し減価する傾向にあるため長期保有には向かないと言われています。
指数が上昇・下落をしながら動いた場合には、次第に基準価額が押し下げられることになります。
NIKKEI STYLE(日経電子版)の記事では、レバレッジ型は「短期売買が主体のセミプロ向け」としています。
・指数横ばいでも損? レバレッジ型投信の値動きに迫る(NIKKEI STYLE)
レバレッジ型の商品特性について金融庁も注意喚起しています。
・ レバレッジ型・インバース型 ETF 等への投資にあたってご注意ください(PDF/金融庁)
レバレッジ型・インバース型 ETF 等は主に短期売買により利益を得ることを目的とした商品であり、投資経験が少ない個人投資家の方が中・長期の資産形成を目的としてレバレッジ型・インバース型 ETF 等を投資対象とする場合には十分な注意が必要です。
レバレッジ型は日次(1日)でレバレッジ倍(インバース型ならマイナスのレバレッジ倍)になるよう運用されているので、2日以上の期間ではレバレッジ倍にはならない可能性があります。
例(1)、例(2)のように株価(指数・青)が上下に動いて元に戻ってもレバレッジをかけた場合(レバレッジ指数・オレンジ)はマイナスになることも。
コロナショックでは短期間のうちに株価が急反発することになりましたが、常にそうなるとは限らないのが怖いところですよね。
株価の下落や基準価額の低迷が長引いて資金流出が続いた場合、不本意なタイミングで繰上償還されてしまう恐れもあります(※)。
※受益者に償還の是非を問う場合、繰上償還を回避するには議決権の3分の1を超える反対が必要
レバレッジをかけて損失が拡大したまま途中で運用がストップしてしまったら悲惨です。
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