『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』は世界(日本を含む先進国と新興国)の株式を投資対象にしたインデックスファンドです。
同ファンドの特徴や運用実績を米国株式インデックスファンドと比較してみました。
比較の対象は『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』、『楽天・全米株式インデックス・ファンド』、『iFree NYダウ・インデックス』、『iFreeNEXT NASDAQ100インデックス』です。
全世界株式および米国株式インデックスファンドの特徴
『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』(三菱UFJ国際投信)は、日本を含む世界の株式を対象にした「MSCI ACWI(オール・カントリー・ワールド・インデックス)」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。ベンチマークの指数は世界50ヵ国(先進国23ヵ国と新興国27ヵ国)の大型株と中型株で構成されています。世界の投資可能な市場時価総額の85%をカバーしています。
投資信託を保有中の運用管理費用(年率)は税込0.1144%以内です。
『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』(三菱UFJ国際投信)は、米国株式市場の時価総額のおよそ8割を占める大型株約500銘柄を対象とした「S&P500指数」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。
運用管理費用(年率)は税込0.0968%以内です。
『楽天・全米株式インデックス・ファンド(愛称:楽天・バンガード・ファンド(全米株式))』(楽天投信投資顧問)は、米国株式市場の投資可能な銘柄のほぼ100%をカバーした「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。
運用管理費用(年率)は税込0.162%程度です。
『iFree NYダウ・インデックス』(大和投資信託)は、米国を代表する優良30銘柄を対象とした「ダウ・ジョーンズ工業株価平均(NYダウ)」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。
運用管理費用(年率)は税込0.2475%です。
『iFreeNEXT NASDAQ100インデックス』(大和AM)は、「NASDAQ100指数」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。
NASDAQ(ナスダック)は米国にある世界最大の新興企業向けの株式市場です。米国以外の企業を含みハイテク(IT)関連銘柄の比率が高いのが特徴です。「NASDAQ100指数」は時価総額上位100銘柄(金融銘柄を除く)で構成されています。
運用管理費用(年率)は税込0.495%です。
今回、取り上げた投資信託は外貨建資産の為替ヘッジは原則として行いません。信託期間はすべて無期限です。
全世界株式および米国株式インデックスファンドのチャートと騰落率
下のチャートはの過去3年の基準価額の推移(2018年12月21日~2021年12月20日)を比べたものです。比較しやすいよう起点の基準価額を1万円に統一しています。
騰落率の比較は下の表の通りです(2021年12月20日現在)。
コロナショックの下落率は2020年2月21日~同年3月24日(iFreeNEXT NASDAQ100インデックスのみ2020年2月20日~同年3月17日)の数字です。
全世界株式インデックスファンドも米国のハイテク大手が組入銘柄の上位を占めていますが、情報技術セクターの比率が高い『iFreeNEXT NASDAQ100インデックス』の突出した成績(過去3年の騰落率)を見ると米国株の強みがよくわかりますね。
逆にハイテク関連銘柄の比率が相対的に低い『iFree NYダウ・インデックス』は、過去3年の騰落率では劣勢です。もっとも、コロナ禍が克服されれば出遅れているセクターが巻き返す可能性もありますよね。
米国の利上げで新興国に逆風が吹くことも懸念されているものの、長い目で見るなら、出遅れている米国以外の地域の伸長にも期待したいです。
・2022 Long-Term Capital Market Assumptions 長期見通し(円ベース)(PDF/J.P.モルガン)
下記はJ.P.モルガンの予測する円換算ベース(為替ヘッジなし)の期待リターン(幾何平均)と年率ボラティリティです。
米国大型株式 2.4%(18.97%)
米国小型株式 2.7%(23.43%)
世界株式 3.3%(19.24%)
先進国株式 3.1%(19.17%)
新興国株式 5.2%(22.65%)
予測が実際に当たるかはわかりませんが、こうした見方もあるというのは興味深いですよね。
全世界株式インデックスファンド まとめ
全世界株式インデックスファンドは、投資信託一本で世界各国の株式にまとめて投資できる手軽さが魅力です。全世界株式インデックスファンドの国別構成比でも米国1ヵ国が過半数を占めるなど、現状は米国の存在感が際立っています。
ただし、過去の実績は将来の運用成績を保証するものではありません。長期投資を前提に将来の不確実性を重視するなら、定石通り世界全体に投資しておくのも堅実な選択肢かもしれませんね。
・米国株か?世界株か?(ピクテ投信)
長期投資を実践するのであれば、経済情勢の変化にも目を配る必要がある。しかし、10年を超える予測というものはほとんど当てにならないうえ、さらにバブルの「形成」と「崩壊」を見分けるのも至難の業だ。このため、はじめから決め打ちせず、先進国株と新興国株を含めた「世界株」に分散投資を行い、いずれ遭遇するであろうバブルの「形成」と「崩壊」に備えることが長期投資にとって重要ではなかろうか?
1970年代と1980年代、ほかの地域を圧倒するパフォーマンスだった日本株はその後、低迷を余儀なくされています。2000年代に騰落率がトップだった新興国株式も、2010年代は他地域に見劣りする成績でした。
時代によって、もてはやされる株式市場が入れ替わってきたことがうかがえます。
また世界最大級の運用会社バンガードは、市場を長期的視点で見ると「世界的な強気相場によるリターンは弱気相場の損失を補って余りある」と述べています(バンガード「終わりのない弱気相場はない」より)。
日本経済新聞の記事(「危機乗り越える世界株投資 夫婦で4000万円目指す」)によると、リーマン・ショック時に株価が回復するまで全世界株式の積立投資を継続していた場合(2008年8月末~2013年2月)、4割ほどの利益が出ていたそうです。
まさに「継続は力なり」といった感じでしょうか。
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