『楽天・全米株式インデックス・ファンド』の実質コストや運用実績を米国株式インデックスのライバルと比較してみました。
比較の対象は『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』と『iFreeNEXT NASDAQ100インデックス』です。
楽天・全米株式、eMAXIS Slim 米国株式ほか特徴
『楽天・全米株式インデックス・ファンド』(楽天投信投資顧問)は、米国株式市場の投資可能な銘柄のほぼ100%をカバーした「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』(三菱UFJ国際投信)は、米国株式市場の時価総額のおよそ8割を占める大型株約500銘柄を対象にした「S&P500指数」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。
『iFreeNEXT NASDAQ100インデックス』(大和AM)は、「NASDAQ100指数」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。
NASDAQ(ナスダック)は米国にある世界最大の新興企業向けの株式市場です。米国以外の企業を含みハイテク(IT)関連銘柄の比率が高いのが特徴です。「NASDAQ100指数」は時価総額上位100銘柄(金融銘柄を除く)で構成されています。
今回、取り上げた投資信託は原則として為替ヘッジを行いません。信託期間は、すべて無期限です。
楽天・全米株式、eMAXIS Slim 米国株式ほか実質コスト
上記の数字は推計による概算値であることに注意してください。
運用管理費用(信託報酬)以外に売買委託手数料や有価証券取引税、その他費用(保管費用、監査費用等)を含めたものが実質コストになります。
『楽天・全米株式インデックス・ファンド』の実質コスト(年率 0.209%)は、第3期(2019年7月17日~2020年7月15日)の運用報告書(PDF)の1万口当たりの費用明細の合計に実質的な投資対象である投資信託証券の報酬(VTI 経費率0.03%)を加えています。
費用明細の合計 0.179% + VTIの経費 0.030% = 0.209%
『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』の実質コスト(年率 0.140%)は、第2期(2019年4月26日~2020年4月27日)の運用報告書(PDF)の1万口当たりの費用明細の信託報酬以外の諸経費を1年(365日)相当に改めて、現時点の信託報酬を加えています。
信託報酬以外の諸経費 0.044% ×(365日 ÷ 第2期の日数 368日)+ 信託報酬 0.0959% (※)= 0.140%(少数第3位未満 四捨五入)
※受益者還元型の信託報酬は純資産総額3,785.15億円で計算(500億円未満の部分 税込0.0968%、500億円以上1,000億円未満の部分 税込0.09625%、1,000億円以上の部分 税込0.0957%)
『iFreeNEXT NASDAQ100インデックス』の実質コスト(年率 0.583%)は、第2期(2019年8月31日~2020年8月31日)の運用報告書(PDF)の1万口当たりの費用明細の信託報酬以外の諸経費を1年相当に改めて、現時点の信託報酬と2021年3月末の月報で2.9%ほど含まれる外国投資信託(QQQ)の経費(0.2%)を加えています。
信託報酬以外の諸経費 0.083% ×(365日 ÷ 第2期の日数 367日)+ 信託報酬 0.495% + QQQの経費(0.200% × 0.029)= 0.583%(少数第3位未満 四捨五入)
楽天・全米株式ほか運用実績(チャートと騰落率)
下のチャートは後発の『iFreeNEXT NASDAQ100インデックス』設定来2年7ヵ月半強の期間で基準価額の推移(2018年8月31日~2021年4月16日)を比べたものです。比較しやすいよう起点の基準価額を1万円に統一しています。
騰落率の比較は下の表の通りです(2021年4月16日現在)。
コロナショック時の調整局面の下落率は2020年2月21日~同年3月24日(NASDAQ100連動型は同年2月20日~同年3月17日)の数字、設定来騰落率は2年7ヵ月半強の数字です。
中小型株も幅広くカバーした『楽天・全米株式インデックス・ファンド』は、『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』より良くも悪くも値動きが若干大きめかもしれないですね。
コロナ禍で好調だった『iFreeNEXT NASDAQ100インデックス』ですが、長期金利の上昇で最近はハイテク株に逆風が吹く場面もありました。少数のハイテク大手が支配的な地位を確立し圧倒的な影響力を持つことで独占禁止法の対象になるのではないかといった危惧もあるようです。
・バイデン米大統領、巨大IT規制推進派カーン氏をFTC委員に指名へ(ブルームバーグ)
好調なセクターの後追いは「うまくいかない」とするデータもあります。
・うまくいかない「勝ち組」の後追い、米国株式長期で検証(モーニングスター)
モーニングスターの記事は「(1)最もリターンが高かったセクターに翌年投資する「順張り」戦略、(2)最もリターンが低かったセクターに翌年投資する「逆張り」戦略、(3)全セクターを均等配分で保有する「分散投資」戦略、という3つの投資手法でどれが最も優れた成績となったか」を検証しています。
出典:うまくいかない「勝ち組」の後追い、 米国株式長期で検証(モーニングスター) 過去の実績は将来を保証するものではありません |
大きく勝つこともなければ負けることもない「分散投資」が、長期ではその他を上回るパフォーマンスになったそうです。過去のデータは将来の投資成果を約束するものではありませんが、なかなか興味深い結果ですよね。
時価総額加重平均型の一般的なインデックスファンドは、全セクターを均等配分で保有する場合よりも分散の度合いは控えめになるかと思われます。とはいえ、先行きの不透明感が根強いなら、長期目線で市場全体に投資しておくのも悪いアイデアではないかもしれませんね。
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