『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』の特徴や実質コスト、運用実績を競合と比較してみました。
比較の対象は『<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド』、『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』、『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』です。
eMAXIS Slim 先進国株式インデックスほか特徴
『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』(三菱UFJ国際投信)と『<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド』(ニッセイAM)は、日本を除く先進国の株式市場を対象にした「MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)」に連動する投資成果をめざします。ベンチマークの指数は北米、欧州、アジア・オセアニア、中東の22ヵ国の大型株と中型株1,289銘柄で構成されています(2021年9月末現在)。
運用管理費用(年率)は税込0.1023%(税抜0.093%)以内です。
『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』(三菱UFJ国際投信)は、米国株式市場の時価総額のおよそ8割を占める大型株約500銘柄を対象とした「S&P500指数(配当込み、円換算ベース)」に連動する投資成果をめざします。
運用管理費用(年率)は税込0.0968%(税抜0.088%)以内です。
『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』(三菱UFJ国際投信)は、日本を含む世界の株式市場を対象にした「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(配当込み、円換算ベース)」に連動する投資成果をめざします。
ベンチマークの指数は先進国と新興国を合せた50ヵ国の大型株と中型株2,979銘柄で構成されています(2021年9月末現在)。
運用管理費用(年率)は税込0.1144%(税抜0.104%)以内です。
今回、取り上げた投資信託は、原則として為替変動リスクを回避するための為替ヘッジは行いません。信託期間は、すべて無期限です。
先進国株式、米国株式(S&P500)、全世界株式の実質コスト
上記の数字は推計による概算値であることに注意してください。
運用管理費用(信託報酬)以外に売買委託手数料や有価証券取引税、その他費用(保管費用、監査費用等)を含めたものが実質コストになります。
『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』の実質コスト(年率 0.145%)は第4期(2020年4月28日~2021年4月26日)の運用報告書(PDF)の1万口当たりの費用明細の信託報酬以外の諸経費を1年(365日)相当に改めて、現時点の信託報酬率を当てはめています。
信託報酬以外の諸経費 0.045% ×(365日 ÷ 第4期の日数 364日)+ 信託報酬 0.0999%(※)= 0.145%(少数第3位未満 四捨五入)
※受益者還元型の信託報酬は純資産総額2,539.97億円で計算(500億円未満の部分 税込0.1023%、500億円以上1,000億円未満の部分 税込0.100595%、1,000億円以上の部分 税込0.09889%)
『<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド』の実質コスト(年率 0.154%)は、第7期(2019年11月21日~2020年11月20日)の運用報告書(PDF)の1万口当たりの費用明細の信託報酬以外の諸経費を1年相当に改めて、現時点の信託報酬率を当てはめています。
信託報酬以外の諸経費 0.052% ×(365日 ÷ 第7期の日数 366日)+ 信託報酬 0.1023% = 0.154%(少数第3位未満 四捨五入)
『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』の実質コスト(年率 0.122%)は、第3期(2020年4月28日~2021年4月26日)の運用報告書(PDF)の1万口当たりの費用明細の信託報酬以外の諸経費を1年相当に改めて、現時点の信託報酬率を当てはめています。
信託報酬以外の諸経費 0.026% ×(365日 ÷ 第3期の日数 364日)+ 信託報酬 0.0958% (※)= 0.122%(少数第3位未満 四捨五入)
※受益者還元型の信託報酬は純資産総額6,795.07億円で計算(500億円未満の部分 税込0.0968%、500億円以上1,000億円未満の部分 税込0.09625%、1,000億円以上の部分 税込0.0957%)
『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』の実質コスト(年率 0.175%)は、第3期(2020年4月28日~2021年4月26日)の運用報告書(PDF)の1万口当たりの費用明細の信託報酬以外の諸経費を1年相当に改めて、現時点の信託報酬率を当てはめています。
信託報酬以外の諸経費 0.061% ×(365日 ÷ 第3期の日数 364日)+ 信託報酬 0.1136%(※) = 0.175%(少数第3位未満 四捨五入)
※受益者還元型の信託報酬は純資産総額2,990.71億円で計算(500億円未満の部分 税込0.1144%、500億円以上1,000億円未満の部分 税込0.11385%、1,000億円以上の部分 税込0.1133%)
純資産総額はすべて2021年10月13日現在の数字です。『<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド』の純資産総額は3,302.08億円です。
先進国株式、米国株式、全世界株式の実績(チャートと騰落率)
下のチャートは後発の『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』設定来3年弱の期間(2018年10月31日~2021年10月13日)で基準価額の推移を比べたものです。比較しやすいよう起点の基準価額を1万円に統一しています。『<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド』は『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』とほぼ重なっています。
騰落率の比較は下の表の通りです(2021年10月13日)。
急落局面の下落率は2020年2月21日~同年3月24日(コロナショック)の数字と2018年12月4日~同25日の数字、設定来騰落率は3年弱の数字です。
近年は米国株式が好調(バブル?)だったこともあり、『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』の純資産総額(2,539.97億円/2017年2月27日設定)は、後発の『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』(6,795.07億円/2018年7月3日設定)に追い抜かれ大差をつけられています(2021年10月13日現在)。
先進国株式も現状は約7割が米国で占められていますから米国の影響は無視できませんが、長期投資を前提に米国1ヵ国への集中投資に不安を感じるなら先進国株式あるいは全世界株式インデックスファンドも堅実な選択肢になるでしょうか。
・米国株か?世界株か?(ピクテ投信)
長期投資を実践するのであれば、経済情勢の変化にも目を配る必要がある。しかし、10年を超える予測というものはほとんど当てにならないうえ、さらにバブルの「形成」と「崩壊」を見分けるのも至難の業だ。このため、はじめから決め打ちせず、先進国株と新興国株を含めた「世界株」に分散投資を行い、いずれ遭遇するであろうバブルの「形成」と「崩壊」に備えることが長期投資にとって重要ではなかろうか?
1970年代と1980年代、ほかの地域を圧倒するパフォーマンスだった日本株はその後、低迷を余儀なくされています。2000年代に騰落率がトップだった新興国株式も、2010年代は他地域に見劣りする成績でした。
時代によって、もてはやされる株式市場が入れ替わってきたことがうかがえます。
将来の正確な予測は困難だと思うものの、J.P.モルガンの長期見通しも興味深い数字になっています。
・2021 Long-Term Capital Market Assumptions 長期見通し(円ベース)(PDF/J.P.モルガン)
下記は円換算ベース(為替ヘッジなし)の期待リターン(幾何平均/算術平均)です。()内の数字は年率ボラティリティです。
先進国株式(除く日本) 3.4%/5.18%(19.60%)
米国大型株式 2.7%/4.38%(18.99%)
世界株式 3.7%/5.42%(19.30%)
日本大型株式 5.1%/6.58%(17.94%)
欧州大型株式 5.0%/7.08%(21.43%)
新興国株式 5.8%/8.17%(23.03%)
ちなみに先進国株式のベンチマークである「MSCIコクサイ・インデックス」の過去27年4ヵ月(1994年5月31日~2021年9月30日)の年率リターン(円換算ベース)は7.26%です。
全世界株式のベンチマークである「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」の過去33年9ヵ月(1987年12月31日~2021年9月30日)の年率リターン(円換算ベース)は8.16%です。
過去のパフォーマンスは世界的な金融緩和の恩恵も大きく、今後はリスク資産のリターンの低下もささやかれています。
先進国株式の一括投資と積立投資の成績は下の記事を参考にしてください。
・「先進国株式」一括投資と積立投資の成績を5年、10年、15年で比較・評価 運用成績にどれくらいの差がある?
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