「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2019」で1位に選ばれた『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』の純資産総額が150億円を超えました(2020年1月31日現在)。
・「目利きの個人」が選んだ2019年のベスト投信は?(日本経済新聞)
ライバルの『楽天・全世界株式インデックス・ファンド』や『セゾン資産形成の達人ファンド』と特徴や実質コスト、基準価額の推移、騰落率、積立投資の成績を比較してみました。
ちなみに『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』はマネックス証券の個人型確定拠出年金(iDeCo)にもラインナップされています。
オール・カントリー、楽天・全世界株式、セゾン資産形成の達人の特徴
『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』(三菱UFJ国際投信)は、日本を含む世界の株式市場を対象にした「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。ベンチマークの指数は日本を含む先進国と新興国合せて49ヵ国3,050銘柄を組み入れています(2019年12月末現在)。
投資信託を保有中の運用管理費用(信託報酬)は年率で税込0.1144%以内です。
MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス 業種別構成比と国別構成比 2019年12月末現在 |
『楽天・全世界株式インデックス・ファンド』(楽天投信投資顧問)は、日本を含む世界の株式市場を対象にした「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。
ベンチマークの指数は日本を含む先進国と新興国合わせて49ヵ国の大型株・中型株・小型株8,872銘柄を組み入れています(2019年12月末現在)。
運用管理費用(信託報酬)は年率で税込0.222%程度(税込0.132% + 0.09%程度)です。
2019年12月26日付で「バンガード・トータル・ワールド・ストックETF(VT)」などバンガード社のETFの経費率改定が発表されています(0.09% → 0.08%)。
・Expense ratio cuts on 56 Vanguard funds mean more savings for you
上記ETFを実質的な投資対象にしている『楽天・全世界株式インデックス・ファンド』の運用管理費用にも反映されるはずです(税込0.222%程度 → 税込0.212%程度)。
FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス 業種別構成比と国・地域別構成比 2019年12月末現在 |
アクティブファンドの『セゾン資産形成の達人ファンド』(セゾン投信)は、投資対象ファンドを通じて海外および日本の株式に幅広く分散投資します。株式市場の過熱により有望な投資先がないと判断した場合は、債券にも投資する場合があります。
投資先ファンドの選定は企業分析をしっかり行っていること、長期的な視点で運用されていること、手数料が適正なことを条件としています。適格機関投資家限定のファンドにも投資しています。
2019年12月度運用レポート(PDF)によると、9つのファンドを通じて486銘柄(一部重複あり)を組み入れています。
運用管理費用(信託報酬)は年率で税込1.35%±0.2%(概算)です。解約時の信託財産留保額(0.1%)が設定されています。
セゾン資産形成の達人ファンド 業種別構成比と国別構成比 2019年11月末現在 |
今回、取り上げた投資信託は、原則として為替リスクを軽減するための為替ヘッジを行いません。信託期間は、すべて無期限です。
オール・カントリー、楽天・全世界株式、セゾン資産形成の達人の実質コスト
少数第3位未満は四捨五入しています |
運用管理費用(信託報酬)以外に売買委託手数料や有価証券取引税、その他費用(保管費用、監査費用等)を含めたものが実質コストになります。
上記の数字は最新の信託報酬率を適用した推計による概算値であることに注意してください。
『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』の実質コスト(年率 0.211%)は、第1期(2018年10月31日~2019年4月25日)の運用報告書の1万口当たりの費用明細の信託報酬以外の諸経費を1年(365日)相当に改めて、現時点の信託報酬率を当てはめています。
信託報酬以外の諸経費 0.047% × (365日 ÷ 第1期の日数 177日)+ 信託報酬 0.1144% = 0.211%
『楽天・全世界株式インデックス・ファンド』の実質コスト(年率 0.291%)は、第2期(2018年7月18日~2019年7月16日)の運用報告書の1万口当たりの費用明細の信託報酬以外の諸経費を1年相当に改めて、現時点の信託報酬と実質的な投資対象である投資信託証券の報酬(0.08%)を加えています。
信託報酬以外の諸経費 0.079% ×(365日 ÷ 第2期の日数 364日)+ 信託報酬 0.132% + 投資信託証券の報酬 0.080% = 0.291%
ファンド・オブ・ファンズの『セゾン資産形成の達人ファンド』の実質コスト(年率 1.352%±0.200%程度)は第12期(2017年12月12日~2018年12月10日)の運用報告書の1万口当たりの費用明細の信託報酬以外の諸経費を1年相当に改めて、現時点のファンドと投資対象ファンドの信託報酬の合計(概算)を加えています。
信託報酬以外の諸経費 0.002% × (365日 ÷ 第12期の日数 364日)+ 信託報酬の合計(概算)1.350%±0.200% = 1.352%±0.200%程度
オール・カントリー、楽天・全世界株式、セゾン資産形成の達人の運用実績
下のチャートは、『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』設定来およそ1年3ヵ月の基準価額の推移(2018年10月31日~2020年1月31日)をライバルと比べたものです。比較しやすいよう起点の基準価額を1万円に統一しています。
基準価額の推移 2018年10月31日~2020年1月31日 過去の実績は将来を保証するものではありません |
騰落率の比較は下の表の通りです(2020年1月31日現在)。
下落率は2018年11月8日~同年12月25日の数字、設定来騰落率は約1年3ヵ月の数字です。
2020年1月31日現在 過去の実績は将来を保証するものではありません |
どの投資信託も世界各国の株式に分散して投資していることもあり、上記の期間では多少それぞれに優勢な時期・劣勢な時期はあっても運用実績に目立つほどの差はないようです。
コストの高さの割に『セゾン資産形成の達人ファンド』は健闘しているとも言えるかもしれませんね。同ファンドの長期の成績は下の記事を参考にしてください。
・純資産900億円『セゾン資産形成の達人ファンド』世界の株に厳選投資する老舗アクティブファンドの実力は? オール・カントリーなど低コストなインデックスファンドと比較・評価
オール・カントリー、楽天・全世界株式、セゾン資産形成の達人の積立投資の成績
下の表は、2019年1月~2020年1月の1年強の積立投資の成績をまとめたものです。毎月1日を積立日に設定しています。約定日はセゾン以外は翌営業日、セゾンは翌々営業日です。
過去の実績は将来を保証するものではありません |
2019年1月から1年強の積立投資(毎月1万円)の評価額は、2020年1月31日現在、13万円の投資額に対して以下の通りです。
『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』
144,695円(+11.30%)
『楽天・全世界株式インデックス・ファンド』
144,399円(+11.08%)
『セゾン資産形成の達人ファンド』
144,540円(+11.18%)
積立投資の成績も、現時点では僅差にとどまります。
・資産「2000万円」づくり 手堅い投信の長期積み立て(NIKKEI STYLE)
・積立投資を学ぶ(大和投資信託)
コストの低廉さを重視するなら『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』が、組入銘柄の幅広さなら『楽天・全世界株式インデックス・ファンド』が魅力的な選択肢かもしれませんね。
ある程度、コストをかけても厳選された銘柄に投資したいなら、アクティブ運用の『セゾン資産形成の達人ファンド』が有力な選択肢になるでしょうか。
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