第1期運用報告書(PDF)の公表された『グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)』の実質コストや運用実績をライバルと比較してみました。
比較の対象は『eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)』と『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』です。
グローバル3倍3分法ファンド・8資産均等型・全世界株式の特徴
『グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)』(日興AM)は、世界の株式、REIT(不動産投資信託証券)、債券の3つの資産に純資産総額の3倍相当額の投資を行います。先物取引を活用した外債部分は、ほぼ為替の影響を受けません。投資信託を保有中の運用管理費用(年率)は税抜0.440%程度(税込0.484%程度)です。信託期間は2028年9月21日までです。
2019年6月22日付交付目論見書2ページより引用 |
『eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)』(三菱UFJ国際投信)は世界の株式、債券、REITに分散投資します。原則として外貨建資産の為替ヘッジは行いません。
運用管理費用(年率)は税抜0.140%以内(税込0.154%以内)です。信託期間は無期限です。
基本投資割合 |
『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』(三菱UFJ国際投信)は、日本を含む世界の株式市場の値動きに連動する投資成果をめざします。原則として外貨建資産の為替ヘッジは行いません。
運用管理費用(年率)は税抜0.104%以内(税込0.1144%以内)です。信託期間は無期限です。
2019年10月末月報より |
グローバル3倍3分法ファンド・8資産均等型・全世界株式の費用
少数第3位未満は四捨五入しています |
運用管理費用(信託報酬)以外に売買委託手数料や有価証券取引税、その他費用(保管費用、監査費用等)を含めたものが実質コストになります。上記の数字は推計による概算値であることに注意してください。
『グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)』の実質コスト(年率 0.506%)は、第1期(2018年10月4日~2019年9月24日)の運用報告書の1万口当たりの費用明細の信託報酬以外の諸経費を1年相当(365日)に改めて、現時点の信託報酬率と投資対象とする投資信託証券の報酬を加えています。
信託報酬以外の諸経費 0.021% × (365日 ÷ 第1期の日数 356日)+ 信託報酬 0.396% + 投資対象とする投資信託証券の報酬 0.088% = 0.506%
『eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)』の実質コスト(年率 0.220%)は第2期(2018年4月26日~2019年4月25日)の1万口当たりの費用明細の信託報酬以外の諸経費に現時点の信託報酬率を当てはめています。
信託報酬以外の諸経費 0.066% + 信託報酬 0.154% = 0.220%
『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』の実質コスト(年率 0.211%)は、第1期(2018年10月31日~2019年4月25日)の運用報告書の1万口当たりの費用明細の信託報酬以外の諸経費を1年相当に改めて、現時点の信託報酬率を当てはめています。
信託報酬以外の諸経費 0.047% × (365日 ÷ 第1期の日数 177日)+ 信託報酬 0.1144% = 0.211%
グローバル3倍3分法ファンド・8資産均等型・全世界株式の運用実績
下記のチャートは、過去1年間の基準価額の推移(2018年11月27日~2019年11月26日)を比べたものです。比較しやすいよう起点の基準価額を1万円に統一しています。
基準価額の推移 2018年11月27日~2019年11月26日 過去の実績は将来の成績を保証するものではありません |
騰落率の比較は下の表の通りです(2019年11月26日現在)。
下落率は2018年12月4日~同年12月25日の数字、上昇率は2018年12月25日~2019年11月26日の数字です。
2019年11月26日現在 過去の実績は将来の成績を保証するものではありません |
グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)まとめ
『グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)』(2018年10月4日設定)の純資産総額は、好調な運用実績を追い風に2019年11月26日時点で3,023.01億円に達しています。下の図表は『グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)』の決算日までの騰落率を国内外の複数の資産と比べたものです。
出典:グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型) 2019年9月決算までの投資環境等について(PDF)2P |
『グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)』の好調さは、REITだけでなく、資産配分比率の大きい(200%)債券が景気後退への警戒感や金融緩和期待を背景に大幅高になっていたことも追い風になっているようです。
・マイナス利回り債残高、16兆ドルと記録更新-景気後退懸念で資金殺到(ブルームバーグ)
『グローバル3倍3分法ファンド(1年決算型)』の実質コスト(年率 0.506%)は、『eMAXIS Slim バランス(8資産均等型)』(0.220%)や『eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)』(年率 0.211%)よりも高めですが、純資産総額の3倍相当額の投資を行っていることを考えれば納得できる水準でしょうか。
ただし、長期投資の対象とするには信託期間が2028年9月21日までと限られている点やレバレッジ型特有のリスクは気になるところですよね。複雑な商品だと値動きが想像しにくい点もデメリットになるかもしれないですね。
・「レバレッジに対する印象を変えたい」日興アセット「3倍3分法ファンド」が人気の理由(WEB)
・ファンド拡大鏡 日興アセットの「3倍3分法」レバレッジに活用する先物投資、分散強化と収益拡大を両立(PDF)
過去の指数データを使ったシミュレーションでは分散投資による逆相関が機能しているように見えても、金利が急騰するなど想定外のケースではどうなるのか。運用成績が悪化して大幅な資金流出が続いた場合、運用が不安定になり繰上償還になる恐れはないのか。
レバレッジ型バランスファンドはちょっとしたブームなのか設定が相次いでいますが、その仕組みについて十分な理解がなされないまま純資産総額が積み上がってしまうと、本格的な弱気相場がやってきたときに反動が怖いですよね。
・山崎元が斬る!グローバル3倍3分法イベントレポート|日興アセットマネジメント(WEB)
おすすめ記事
レバレッジ型ファンドの注意点については下の記事も参考にしてください。・『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』運用実績をレバレッジ型投信と比較・評価(iFreeレバレッジ S&P500/NASDAQ100、グローバル3倍3分法ファンド)
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