株ほど下げずに株のように上がる？『グローバル3倍3分法ファンド（1年決算型）』米国株式（楽天・全米株式、NASDAQ100連動型）や先進国株式と実績比較・評価

株ほど下げずに株のように上がるという「増やすための分散」をうたった『グローバル3倍3分法ファンド（1年決算型）』の特徴と運用実績を米国株式や先進国株式のインデックスファンドと比較してみました。

比較の対象は『楽天・全米株式インデックス・ファンド』、『iFreeNEXT NASDAQ100インデックス』、『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』です。

グローバル3倍3分法ファンド・米国株式・先進国株式の特徴

『グローバル3倍3分法ファンド（1年決算型）』（日興AM）は世界の株式、REIT、債券の3つの資産に純資産総額の3倍相当額の投資を行います。先物取引を活用した外債部分は、ほぼ為替の影響を受けません。

投資信託を保有中の運用管理費用（年率）は税込0.484％程度です。信託期間は2028年9月21日までです。

2019年6月22日付交付目論見書2ページより引用

『楽天・全米株式インデックス・ファンド（愛称：楽天・バンガード・ファンド（全米株式））』（楽天投信投資顧問）は、米国株式市場の投資可能な銘柄のほぼ100％をカバーした「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」（円換算ベース・為替ヘッジなし）に連動する投資成果をめざします。

運用管理費用（年率）は税込0.162％程度です。信託期間は無期限です。

CRSP USトータル・マーケット・インデックス 業種別構成比　2019年10月末現在

『iFreeNEXT NASDAQ100インデックス』（大和投資信託）は、「NASDAQ100指数」（円換算ベース・為替ヘッジなし）に連動する投資成果をめざします。

NASDAQ（ナスダック）は米国にある世界最大の新興企業向けの株式市場です。米国以外の企業を含みハイテク（IT）関連銘柄の比率が高いのが特徴です。「NASDAQ100指数」は時価総額上位100銘柄（金融銘柄を除く）で構成されています。

運用管理費用（年率）は税込0.495％です。信託期間は無期限です。

NASDAQ100指数 2019年12月9日現在

『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』（三菱UFJ国際投信）は、日本を除く先進国の株式市場を対象にした「MSCIコクサイ・インデックス」（円換算ベース・為替ヘッジなし）に連動する投資成果をめざします。

運用管理費用（年率）は税込0.10989％以内です（2019年12月27日より税込0.10615％以内に引き下げ予定）。信託期間は無期限です。

MSCIコクサイ・インデックス 業種別構成比と国・地域別構成比　2019年11月末現在

グローバル3倍3分法ファンド・米国株式・先進国株式の運用実績

下のチャートは『グローバル3倍3分法ファンド（1年決算型）』設定来1年2ヵ月強の期間（2018年10月4日～2019年12月6日）で基準価額の推移を比べたものです。

比較しやすいよう起点の基準価額を1万円に統一しています。

基準価額の推移　2018年10月4日～2019年12月6日 過去の実績は将来の成績を保証するものではありません

騰落率の比較は下の表の通りです（2019年12月6日現在）。

下落率は2018年12月4日～同年12月25日の数字、上昇率は2018年12月25日～2019年12月6日の数字、設定来騰落率は1年2ヵ月強の数字です。

2019年12月6日現在 過去の実績は将来の成績を保証するものではありません

『グローバル3倍3分法ファンド（1年決算型）』の設定来の運用成績は極めて好調で、純資産総額の急増ぶりもうなずけます。

・日興AM「【特別レポート】「グローバル３倍３分法ファンド（１年決算型）／（隔月分配型）」おかげさまで1周年」（PDF）

運用効率を追求した「3倍3分法（3倍バランス）」というコンセプトは魅力的に映る反面、貿易摩擦や景気後退懸念が根強い中でレバレッジ型商品に投資するのは、やはりちょっと怖い気もしてしまうでしょうか。

株式だけでなく債券のバブルも心配です。

・アングル：強まる「中銀バブル」の匂い、ギリシャ国債にもマネー流入（ロイター）

・アングル：「債務バブル」は金融安定脅かすか、市場で懸念（ロイター）

上昇と下落を繰り返すレンジ相場が続いた場合も、時間経過とともに減価する傾向にあるレバレッジ型の欠点が露呈しないかは気になるところですよね。

・指数横ばいでも損？　レバレッジ型投信の値動きに迫る（日経STYLE マネー研究所）

信託期間が2028年9月21日までと限られているのも、そもそも長期運用に耐えうる商品設計になっているのか若干疑問に思う部分もあります。

人気が過熱した投資信託によくあることですが、純資産総額の急増後に運用成績がピークアウトしないことを祈ります。直近の騰落率は下の表の通りです。

2019年12月6日現在 過去の実績は将来の成績を保証するものではありません

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