SBI証券の個人型確定拠出年金(iDeCo)のセレクトプランで投資可能な全世界株式を対象にした投資信託の特徴と運用実績を簡単にまとめてみました。
比較の対象は『SBI・全世界株式インデックス・ファンド』、『eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)』、『EXE-i グローバル中小型株式ファンド』、『セゾン資産形成の達人ファンド』です。
2022年6月3日からSBI証券のiDeCoセレクトプランに「ひふみワールド年金」が追加されました。運用管理費用(信託報酬)は年率で税込1.1%です。2021年9月24日設定と運用開始から日が浅いため姉妹ファンドの記事を参考にしてください。
・『ひふみワールド+』全世界株式および米国株式(S&P500)インデックスファンドと実績比較・評価 世界の成長企業に投資するアクティブファンドの実力は?
iDeCoには毎年の所得税や住民税が軽減されるメリットもあります(iDeCo公式サイト「かんたん税制優遇シミュレーション」)。
・マンガでわかるiDeCo 2022年制度改正対応版! iDeCoを知ろう。(PDF/iDeCo公式サイト)
・法改正でますます拡充 2022年からiDeCoはどう変わる?(iDeCo公式サイト)
将来の受け取り時の方法については下の記事を参考にしてください。
・差がつくiDeCoの受け取り方法(前編)分割か一括どっちがいいの?(トウシル)
・差がつくiDeCoの受け取り方法(後編)パターン別の有利な方法とは?(トウシル)
SBI、eMAXIS Slim、セゾンほか全世界株式の特徴
『SBI・全世界株式インデックス・ファンド(愛称:雪だるま(全世界株式))』(SBIアセットマネジメント)は、日本を含む世界の株式を対象にした「FTSEグローバル・オールキャップ・インデックス」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。ベンチマークの指数は先進国や新興国市場を含む48ヵ国の大型株から小型株までカバーしています。
投資信託を保有中の運用管理費用(年率)は税込0.1102%程度です。
『eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)』(三菱UFJ国際投信)は、日本を除く世界の株式を対象にした「MSCI オール・カントリー・ワールド・インデックス(除く日本)」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。
ベンチマークの指数は日本を除く先進国と新興国合せて46ヵ国の大型株と中型株で構成されています。
運用管理費用(年率)は税込0.1144%以内です。
ケイマン諸島に登記している企業には少なからぬ中国企業が含まれるようです。
・なぜアリババの所在地はケイマン諸島なのか(大和総研)
『EXE-i グローバル中小型株式ファンド』(SBIアセットマネジメント)の参考指標は「FTSEグローバル スモール・キャップ インデックス」(円換算ベース)ですが、参考指標に対して一定の運用成果をめざすものではなく、かい離する場合があります。
基本投資割合は米国の中小型株60%:米国以外の中小型株40%です。
運用管理費用(年率)は税込0.327%程度です。
アクティブ運用の『セゾン資産形成の達人ファンド』(セゾン投信)は、投資対象ファンドを通じて海外および日本の株式に幅広く分散投資します。株式市場の過熱により有望な投資先がないと判断した場合は、債券にも投資する場合があります。
投資先ファンドの選定は企業分析をしっかり行っていること、長期的な視点で運用されていること、手数料が適正なことを条件としています。適格機関投資家限定のファンドにも投資しています。
運用管理費用(年率)は税込1.54%程度です。
今回、取り上げた投資信託は、原則として為替ヘッジは行いません。信託期間は、すべて無期限です。
全世界株式の運用実績(チャートと騰落率)
下のチャートは後発の『eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)』設定来4年5ヵ月強の期間(2018年3月19日~2022年8月29日)で基準価額の推移を比べたものです。比較しやすいよう起点の基準価額を1万円に統一しています。
騰落率の比較は下の表の通りです(2022年8月29日現在)。
コロナ・ショック時の下落率は2020年2月の天井から同年3月の底までの数字(※)、設定来の騰落率は4年5ヵ月強の数字です。※2020年2月21日~同年3月24日(セゾンのみ~同23日)
・「アクティブファンドがインデックスに勝てない」根拠とは?(東証マネ部)
コストの高さも一因なのか、グローバル株式に投資するファンドではインデックスファンドに勝てるアクティブファンドはほとんどない(期間が過去3年以上になると勝てない割合が90%近く)というデータもあるようです。
全世界株式の積立投資(月1万円)の成績
毎月1日を積立日に設定しています(約定日は翌営業日)。1日が休日の場合は後ずれします。下のチャートは毎月1万円ずつ積み立てた場合の元本と評価額の推移(2019年1月7日~2022年8月29日)を示しています。
各年月の元本と評価額は約定日の数字ですが、最新月のみ2022年8月29日現在の数字です。
『SBI・全世界株式インデックス・ファンド』と『eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)』の積立投資の成績の詳細は下の表の通りです。
『EXE-i グローバル中小型株式ファンド』と『セゾン資産形成の達人ファンド』の積立投資の成績の詳細は下の表の通りです。
2020年のコロナ・ショックでは株価も投資信託の基準価額も大きく落ち込むことになりましたが、その一方で株価下落を好機と見た個人投資家の投信の積立額が増加したというニュースもありました。
・SBIや楽天、投信の積立額が増加 株価下落で個人が開始(日本経済新聞)
iDeCoやNISAといった非課税制度、インデックスファンドの低コスト化やネット証券の利便性向上など投資環境の改善は進んでいます。
下の図表はiDeCoと同様、長期・積立・分散投資を基本にした、つみたてNISAの資料です。定額の積立投資の場合、基準価額が下がっているときは、より多くの口数を購入するチャンスでもあります。
日本経済新聞によると、リーマン・ショック時に株価が回復するまで全世界株式の積立投資を継続していた場合(2008年8月末~2013年2月)、4割ほどの利益が出ていたそうです。
・危機乗り越える世界株投資 夫婦で4000万円目指す(日本経済新聞)
リスク資産の運用には好不調の波がつきものなので、預貯金等の安産資産や生活防衛資金の備えも忘れないようにしたいです。
リスク許容度が高くないなら、債券を含むバランスファンドという選択肢もあります。
・【iDeCoで節税】SBI証券「バランスファンド」評価 8資産均等型、年金バランス、SBIグローバル・バランス、セゾン・バンガードGB 月1万円の積立投資の成果も確認
SBI証券セレクトプラン「全世界株式」まとめ
世界最大級の運用会社バンガードは、市場を長期的視点で見ると「世界的な強気相場によるリターンは弱気相場の損失を補って余りある」と述べています(バンガード「終わりのない弱気相場はない」より)。『SBI・全世界株式インデックス・ファンド』は日本を含む世界の株式にまとめて投資できて中小型株もカバーしています。
『eMAXIS Slim 全世界株式(除く日本)』は日本を除く先進国と新興国の株式にまとめて投資できます。
『EXE-i グローバル中小型株式ファンド』は世界の中小型株に投資ができます。良くも悪くも値動きは大きめです。
アクティブ運用の『セゾン資産形成の達人ファンド』は運用管理費用は高めですが、世界の厳選されたファンドを組み入れています。
ポートフォリオの中核に据えるなら、運用管理費用の低廉なインデックスファンドが手堅い選択肢になるでしょうか。
中小型株に特化した投信やアクティブ運用の投信は、ポートフォリオのスパイスとして活用するなら面白い選択肢になりそうです。
日本(TOPIX)を含む場合と日本を含まない場合で全世界株式のリスク・リターン特性を比べると、日本を含むほうがわずかにリターン(投資収益率)が低い反面、リスク(投資収益率のぶれ)もわずかに小さいです。
下のグラフは、全世界株式に準拠したポートフォリオ(国内株式1:先進国株式8:新興国株式1)と全世界株式(除く日本)に準拠したポートフォリオ(先進国株式8.5:新興国株式1.5)、それぞれの年間リターン(最大上昇時・平均値・最大下落時)を示しています。
リーマン・ショックを含む2003年3月31日から2022年7月29日までの任意の連続1年間で騰落率のうち最大の騰落率を「最大上昇時」、同じく最小の騰落率を「最大下落時」としています。○は年間リターンの平均値です。
売買手数料、税金等の費用は考慮していません。過去のデータは将来の運用成果を保証するものではありません。
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