SBI証券の個人型確定拠出年金(iDeCo)のセレクトプランで投資可能な米国株式を対象にした投資信託の特徴と運用実績を簡単にまとめてみました。
比較の対象は『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』、『iFree NYダウ・インデックス』、『農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね』です。
『農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね』(旧名:農林中金<パートナーズ>米国株式長期厳選ファンド)のみアクティブ運用の投資信託です。
・「米国株式長期厳選」がじわり人気(話題の投信)(日本経済新聞)
参考までに先進国株式インデックスファンド(『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』)とも比べてみました。
iDeCoには毎年の所得税や住民税が軽減されるメリットもあります(iDeCo公式サイト「かんたん税制優遇シミュレーション」)。
・マンガでわかるiDeCo 2022年制度改正対応版! iDeCoを知ろう。(PDF/iDeCo公式サイト)
eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)ほか特徴
『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』(三菱UFJ国際投信)はアップル、マイクロソフト、アマゾンなど米国株式市場の時価総額のおよそ8割を占める大型株約500銘柄を対象とした「S&P500指数」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。『iFree NYダウ・インデックス』(大和AM)はユナイテッドヘルス・グループ、ゴールドマン・サックス・グループ、ホーム・デポなど米国を代表する優良30銘柄を対象とした「ダウ・ジョーンズ工業株価平均(NYダウ)」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。
アクティブ運用の『農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね』(農林中金全共連AM)はアンフェノール、マコーミック、ウォルト・ディズニーなど付加価値の高い産業、圧倒的な競合優位性、長期的な潮流の3つの条件を満たす持続可能なキャッシュ・フロー創出能力を有する「構造的に強靭な企業」(20~30社程度)に妥当なバリュエーションレベルで長期厳選投資を行います。
・GAFAやテスラの株をあえて買わない理由、米国株投信の凄腕ファンドマネジャーに聞く(ダイヤモンド)
『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』(三菱UFJ国際投信)はアップル、ネスレ、ロシュ・ホールディングなど日本を除く先進国の株式およそ1,300銘柄を対象にした「MSCIコクサイ・インデックス」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。
今回、取り上げた投資信託は原則として為替ヘッジは行いません。信託期間は、すべて無期限です。
米国株式と先進国株式の運用実績(チャートと騰落率)
下のチャートは『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』設定来4年2ヵ月弱の期間で基準価額の推移(2018年7月3日~2022年8月26日)を比べたものです。比較しやすいよう起点の基準価額を1万円に統一しています。
分配金の出ている『農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね』は、分配金(税引前)を再投資した分配金再投資基準価額です。
騰落率の比較は下の表の通りです(2022年8月26日現在)。
コロナ・ショックの下落率は2020年2月21日~同年3月24日の数字、設定来の騰落率は4年2ヵ月強の数字です。
分配金の出ている『農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね』は、分配金(税引前)を再投資したものとして計算しています。
2022年8月26日現在の純資産総額は『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』14,784.17億円(2018年7月3日設定)、『iFree NYダウ・インデックス』408.05億円(2016年9月8日設定)、『農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね』219.49億円(2017年7月5日設定)、『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』3,693.03億円(2017年2月27日設定)です。
『農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね』はコロナ・ショック時の下落率が相対的に控えめでしたが、市場が動揺しているときにはアクティブ運用の投資信託といえども影響は避けられません。銘柄を厳選してもインデックスファンドに劣後する場面もあり常勝とまではいかないようです。過剰な期待は禁物かもしれないですね。
米国株式と先進国株式の積立投資(月1万円)の成績
毎月1日を積立日に設定しています(約定日は翌営業日)。1日が休日の場合は後ずれします。下のチャートは毎月1万円ずつ積み立てた場合の元本と評価額の推移(2019年1月7日~2022年8月26日)を示しています。
各年月の元本と評価額は約定日の数字ですが、最新月のみ2022年8月26日現在の数字です。
『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』と『iFree NYダウ・インデックス』の積立投資の成績の詳細は下の表の通りです。
『農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね』と『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』の積立投資の成績の詳細は下の表の通りです。
まとめ 過去のショック時の株価(S&P500)推移は?
過去の実績は将来の投資成果を保証するものではありませんが、マーケットがこれまで多くの危機を乗り越えてきたのは心強いところかもしれませんね。・市場急落局面にみる「株式のチカラ」(日興AM)
・米国株式に難路続く?長期積立投資の意義を再認識(楽天証券トウシル)
楽天証券トウシルの記事によれば2007年末から米国株式(S&P500 配当込み/円換算)に毎月3万円ずつ積立投資をした場合、2008年の金融危機で約5割も下落したものの、2022年5月末時点では累計投資額522万円に対し評価額は約3.7倍の約1,950万円に達したそうです。
『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』は米国株式市場の時価総額のおよそ8割をカバーしています。銘柄の分散を意識しながら米国株式に投資したいなら、運用管理費用も低廉で魅力的でしょうか。
選りすぐりの米国株式に投資したいなら、米国を代表する優良30銘柄を対象にした『iFree NYダウ・インデックス』やアクティブ運用の『農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね』も面白い選択肢かもしれませんね。
米国以外の先進国にも分散したいなら先進国株式インデックスファンド、より幅広く分散したいなら全世界株式インデックスファンドやバランスファンドという選択肢もあります。
iDeCoで節税
確定拠出年金の節税メリット
確定拠出年金は積み立てている間、掛け金が所得控除の対象となり所得税や住民税が軽減されるメリットがあります(専業主婦のように所得がない場合は除く)。また60歳以降、老齢給付金として受け取る時も退職所得控除や公的年金控除が適用されます。退職所得控除は老齢給金を「一時金」として受け取る場合に適用され、公的年金控除は「年金」として受け取る場合に適用されます。
老齢給付金を「一時金」として受け取る場合には、勤続年数に応じて非課税金額が増えていく仕組みなのですが、勤続年数をどう数えるか詳しく知りたかったので証券会社に問い合わせてみました。
ちなみに課税の対象となる退職所得の金額は次のように計算します。
(源泉徴収前の収入金額 - 退職所得控除額) × 1 / 2 = 退職所得の金額
退職所得控除額を上回った分についても課税所得はその2分の1になります。
退職所得控除額の計算表
勤続年数は会社に勤めた年数とは限らない?
Q.会社勤めの途中から確定拠出年金を始めた場合、退職所得控除の対象となる勤続年数は?会社に勤めたのが38年、確定拠出年金を積み立てたのが10年だったとしたら?A.掛金を積み立てた年数が退職所得控除計算上の「勤続年数」として扱われるそうです。この場合は、10年が正解で40万円×10年=400万円が非課税の退職所得控除額になります。
もし、最初から確定拠出年金に加入していたら、800万円+70万円×(38年-20年)=2,060万円が退職所得控除額になりますから、早めの加入が有利なことがよくわかりますね。
失業中も積立を継続していれば勤続年数に数えられる?
Q.失業中、あるいは早期退職した後、第1号被保険者(※)として積立を継続している場合は、その間の期間は無職でも「勤続年数」としてカウントされる?※ 国内在住の20歳以上60歳未満の自営業者、農業・漁業者、学生および無職者
A.退職所得控除は、確定拠出年金の老齢一時金では確定拠出年金で掛金を掛けていた期間(通算拠出期間)が勤続期間とみなされ、その期間に応じて金額が決まるそうです。失業中であっても、掛け金を拠出していた期間があれば通算拠出期間に含まれます。
現行の制度の下では、掛金を積み立てた年数が退職所得控除計算上の「勤続年数」として扱われます。そのため老齢給付金を「一時金」として受け取るつもりなら、なるべく早く加入するほうが非課税額が大きくなりますし、失業中でも積立を継続すれば将来の退職所得控除額が増えるメリットは享受できます。
お得なiDeCoの受け取り方法
iDeCo以外に会社からの退職金がある場合等パターン別のお得な受け取り方については下の記事も参考にしてください。・差がつくiDeCoの受け取り方法(前編)分割か一括どっちがいいの?(トウシル)
・差がつくiDeCoの受け取り方法(後編)パターン別の有利な方法とは?(トウシル)
2022年のiDeCoの法改正
・法改正でますます拡充 2022年からiDeCoはどう変わる?(iDeCo公式サイト)おすすめ記事
SBI証券iDeCoセレクトプランの全世界株式インデックスファンドの比較は下の記事を参考にしてください。・【iDeCoで節税】SBI証券「全世界株式」評価 SBI・全世界株式、eMAXIS Slim 全世界株式、EXE-i グローバル中小型株式、セゾン資産形成の達人 月1万円の積立投資の成果も確認
SBI証券iDeCoセレクトプランのバランスファンドの比較は下の記事を参考にしてください。
・【iDeCoで節税】SBI証券「バランスファンド」評価 8資産均等型、年金バランス、SBIグローバル・バランス、セゾン・バンガードGB 月1万円の積立投資の成果も確認
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