『iTrustインド株式』の特徴と運用成績を、同じくインドの株式に投資する『高成長インド・中型株式ファンド（年1回決算型）』や新興国株式インデックスファンドと比較しながら、簡単にまとめてみました。
参考までに先進国株式インデックスファンドとも比較しています。
iTrustインド株式、高成長インド・中型株式ファンドほか特徴
『iTrustインド株式』（ピクテ投信投資顧問）は、中長期的に成長が期待できるインド企業の株式に投資します。ボトムアップによるファンダメンタルズ分析に基づき、安定した成長が期待できる企業を厳選します。投資信託を保有中の運用管理費用（年率）は税込1.4998％程度です。信託期間は無期限です。
インフォシス（情報技術）、HCLテクノロジーズ（情報技術）、HDFC銀行（金融）など26銘柄を組み入れています（2021年5月末現在）。
『高成長インド・中型株式ファンド（年1回決算型）』（三井住友DSAM）は、インドの中型株式を主要投資対象とし、信託財産の中長期的な成長をめざします。
運用管理費用（年率）は税込2.0505％程度です。解約時の信託財産留保額は0.3％です。信託期間は2027年3月1日までです。
SRF（素材）、パーシステント・システムズ（ソフトウェア・サービス）、アヴァス・フィナンスィア（銀行）など71銘柄を組み入れています（2021年5月末現在）。
『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』（三菱UFJ国際投信）は、新興国の株式市場を対象にした「MSCI エマージング･マーケット・インデックス」（円換算ベース）に連動する投資成果をめざします。
運用管理費用（年率）は税込0.187％以内です。信託期間は無期限です。
ベンチマークの指数にはアジア、中南米、中東・アフリカ、欧州の27ヵ国の大型株と中型株1,412銘柄が組み入れられていて、インドの比率は9.9％です（2021年6月末現在）。
『eMAXIS Slim 先進国株式インデックス』（三菱UFJ国際投信）は、日本を除く先進国の株式市場を対象にした「MSCIコクサイ・インデックス」（円換算ベース）に連動する投資成果をめざします。
運用管理費用（年率）は税込0.1023％以内です。信託期間は無期限です。
ベンチマークの指数には北米、欧州、アジア・オセアニア、中東の22ヵ国の大型株と中型株1,291銘柄が組み入れられています（2021年6月末現在）。
今回、取り上げた投資信託は原則として為替リスクを軽減する為替ヘッジは行いません。
iTrustインド株式、高成長インド・中型株式ファンドほか成績
下のチャートは『iTrustインド株式』設定来3年3ヵ月強の基準価額の推移（2018年4月3日～2021年7月9日）を競合と比べたものです。比較しやすいよう起点の基準価額を1万円に統一しています。
騰落率の比較は下の表の通りです（2021年7月9日現在）。
コロナショック時の調整局面の下落率は2020年2月21日（eMAXIS Slim 新興国株式インデックスのみ同20日）～同年3月24日の数字、設定来騰落率は3年3ヵ月強の数字です。
過去1年の騰落率は『eMAXIS Slim 新興国株式インデックス』を大きく上回る『iTrustインド株式』と『高成長インド・中型株式ファンド（年1回決算型）』ですが、特定の国に集中投資する投資信託は、投資対象の分散されたインデックスファンドに比べ、好不調の波が大きくなりがちかもしれません。
もしインドの株式市場の好調が続くなら、あせらずとも新興国株式インデックスファンドに占めるインドの比率（現状は1割弱）は徐々に増えていくでしょうね。
iTrustインド株式 まとめ
中国の生産年齢（15歳以上65歳未満）人口比率が低下しつつある中、インドは今後も高水準を維持し、中国を上回る経済成長率が続くと予想されています。 |
| 出典：高成長インド・中型株式ファンド 2019年5月24日付交付目論見書4ページ |
とはいえ漫然とした期待感で安易に投資すると、マーケットが荒れ模様になった時に投資信託を保有し続けることができず、結局、損切することになるのではないかという心配もあるでしょうか。
中長期的に成長が期待できるインド企業の株式への投資をうたった『iTrustインド株式』ですが、長期の運用成績は未知数です。
信託報酬が高めなこともあり（100万円の投資に対し年間およそ1万5千円の負担）、設定から比較的日の浅いアクティブ運用の投資信託への投資は慎重に検討すべきでしょうね。
・世界経済の回復は力強いが不均衡－多くの途上国に感染症危機の長期的影響（世界銀行）
世界銀行は2021年6月8日に「世界経済見通し（GEP）2021年6月版」を発表しています。
一般的に財政基盤が脆弱とされる新興国にとって、新型コロナ対策による債務の増大が持続可能なものなのか、将来の成長抑制要因にならないかは気になるところですよね。貧困層の増加も懸念されています。
・インド市場を見る眼～現地からの報告～（HSBC投信）
HSBC投信のレポートによればインドにはワクチンの生産拠点があるそうで、モディ政権のインフラ投資計画による景気回復の後押しにも期待したいところですよね。
・インド経済の見通し～当面は感染爆発で景気が冷え込むものの、ワクチンの普及加速によって再び回復軌道へ（ニッセイ基礎研究所）
先行きは、感染第二波の深刻化と各地で実施された都市封鎖の影響で4-6月期の実質ＧＤＰが再び落ち込むものの、足元の感染改善とワクチンの普及加速による経済再開が進むなかで対面型サービス業を中心に持ち直し、景気回復は安定感が増していくものとみられる。
インド経済の回復が世界経済にも好影響を与えることを祈っています。
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