『楽天・全米株式インデックス・ファンド』の第2期(2019年7月16日決算)の交付運用報告書(PDF)が公表されました。
競合する『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』と実質コストや運用実績を比較してみました。
楽天・全米株式とeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の特徴
『楽天・全米株式インデックス・ファンド(愛称:楽天・バンガード・ファンド(全米株式))』(楽天投信投資顧問)は、米国株式市場の投資可能な銘柄のほぼ100%をカバーした「CRSP USトータル・マーケット・インデックス」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。投資信託を保有中の運用管理費用(信託報酬)は税込0.1596%程度(年率)です。
2019年7月末現在(同年8月末月報より) |
『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』(三菱UFJ国際投信)は、米国株式市場の時価総額のおよそ8割を占める大型株約500銘柄を対象とした「S&P500指数」(円換算ベース)に連動する投資成果をめざします。
運用管理費用(信託報酬)は税込0.1620%(年率)です。
2019年8月末月報より |
今回、取り上げる投資信託は原則として為替ヘッジは行いません。信託期間は無期限です。
楽天・全米株式とeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の実質コスト
小数第3位未満は四捨五入しています |
運用管理費用(信託報酬)以外に売買委託手数料や有価証券取引税、その他費用(保管費用、監査費用等)を含めたものが実質コストになります。上記の数字は推計による概算値を含んでいることに注意してください。
『楽天・全米株式インデックス・ファンド』の実質コスト(年率 0.222%)は、第2期(2018年7月18日~2019年7月16日)の運用報告書の1万口当たりの費用明細を1年(365日)相当に改めて、実質的な投資対象である外国投資信託証券の報酬(VTI 経費率0.03%)を加えています。
1万口当たりの費用明細の合計 0.191% ×(365日 ÷ 第2期の日数 364日)+ VTIの経費 0.03% = 0.222%
『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』の実質コスト(年率 0.242%)は、第1期(2018年7月3日~2019年4月25日)の運用報告書の1万口当たりの費用明細の信託報酬以外の諸経費を1年相当に改めて、2019年6月14日引き下げ後の信託報酬率を当てはめています。
1万口当たりの費用明細の信託報酬以外の諸経費 0.065% × (365日 ÷ 第1期の日数 297日)+ 信託報酬 0.162% = 0.242%
一般的に設定直後の第1期は諸経費がかさみがちなので、第2期以降の実質コストの改善に期待しています。
『楽天・全米株式インデックス・ファンド』も第1期の実質コストは0.294%(当時のVTIの経費率は0.04%)と第2期より割高でした。
楽天・全米株式とeMAXIS Slim 米国株式(S&P500)の運用実績
下のチャートは、過去1年間(2018年9月14日~2019年9月13日)の基準価額の推移を比べたものです。比較しやすいよう起点の基準価額を1万円に統一しています。貿易摩擦や景気減速懸念などにより株価の変動が激しくなっていて、投資信託の基準価額の変動幅も大きくなっています。
基準価額の推移 2018年9月14日~2019年9月13日 過去の実績は将来の成績を保証するものではありません |
騰落率の比較は下の表の通りです(2019年9月13日現在)。下落率は2018年10月4日~同年12月25日の数字、上昇率は2018年12月25日~2019年9月13日の数字です。
2019年9月13日現在 過去の実績は将来の成績を保証するものではありません |
上記の期間では景気や株式市場の先行きが不透明になっていることもあり、中小型株まで幅広くカバーした『楽天・全米株式インデックス・ファンド』は、大型株中心の『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』に若干劣後しています。
もっとも時価総額の小さな中小型株の比率は限定的なので、多少それぞれに優勢な時期や劣勢な時期はあっても、長い目で見れば運用実績にそれほど大きな差はつかないかもしれませんね。
『SBI・バンガード・S&P500インデックス・ファンド』が2019年9月26日に設定される予定です。実質的な投資対象である外国投資信託証券(VOO)の報酬を含めた運用管理費用は税込0.09264%程度です。
『楽天・全米株式インデックス・ファンド』や『eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)』の運用管理費用の対抗引き下げに期待しています。
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